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第2章 正体―アイデンティティ―
095 三つの知りたい事
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そしてその日の夜、秋田宇宙生物研究所では。
綺瑠は久坂の報告を受け、驚いている様子だった。
「嘘…あの子が石の巫女の分身だって…!?」
『ああ。でも話し合って、これからは植物人間を増やさないって約束したから。
まあ本当かどうかは知らないが、第二故郷病院で様子見する事にした。』
「そ…そうかい…」
『ん、報告は以上。じゃあな。』
「ひ、久坂!」
綺瑠が少し怯えた声で言った。
久坂は変に思う。
『…どうした?』
すると綺瑠は少し黙ってから首を横に振った。
「あ…いや……。気をつけて…」
『え?…ああ、じゃあな。』
そう言って、久坂は切った。
綺瑠は携帯を下ろすと、呆然としていた。
(…石の巫女の力を継ぐ者が現れた…)
綺瑠はそう思うと、胸ポケットから赤い石を出した。
植物人間が力を失った時にできる石によく似た、赤い石。
(もし石の巫女が言った事が本当なら…)
そう思いながら、綺瑠は思い出した。
石の巫女と遊んだ、幼い日の事を。
――幼い綺瑠は、楽しそうに石の巫女を追いかけていた。
石の巫女も楽しそうにしており、石の巫女は足を挫いて転んでしまう。
「あ!大丈夫石っ子ちゃん!」
「くぅ…大丈夫だもやしっ子。」
石の巫女はそう言い、擦りむいた膝を心配した。
綺瑠はすぐに公園の蛇口へ走ると、ハンカチを水に濡らして石の巫女の方へとやってきた。
傷の汚れを落とすと、石の巫女は言った。
「…もやしっ子は優しいんだな。」
「うん!母さんがね、人には優しくしなさいって。」
すると石の巫女は視線を逸らす。
「人…か。
生憎、私は人じゃないぞ。」
「え?じゃあ何?ヒーロー?」
綺瑠は首を傾げるので、石の巫女は鼻で笑った。
「私は何でも知っている。
もやしっ子、三つだけ教えてやろう。お前が知らない事を何でもだ。」
「何でも?未来も!?」
「ああ。」
それを聞いた綺瑠は、目を輝かせながら即答した。
「僕って将来結婚する!?」
「しない。」
「えぇ…!?じゃあ、じゃあ…」
綺瑠はそう言うと、ふと思ったのか落ち着いた様子で聞く。
「僕の母さん、変な生物に誘拐されちゃったんだって。父さんは今、その生物を探していて…
父さんはその生物に捕まったり…しないよね…?」
それを聞いた石の巫女は驚いた顔をした。
しかし虚しい表情を見せ、石の巫女は言う。
「残念だが、もやしっ子の父は将来…その生物の力を受け継ぐ者によって…殺されてしまう。」
綺瑠の表情はどんどん青ざめる。
「嘘……嘘、父さん、死んじゃうの!?」
「もやしっ子が父と同じ道を歩むというのなら、もやしっ子も同じようになる。父と同じ仕事はしないんだな。」
しかし綺瑠は涙目になって、真剣な目で石の巫女を見つめる。
それを見た石の巫女は溜息をつき、そして目を閉じた。
すると周囲から植物が生え、植物は二人を優しく包んだ。
綺瑠は驚いて植物を見ていると、石の巫女の体からも植物が生えた。
植物は神秘的な光を放ち、綺瑠は呆然。
石の巫女は言う。
「どう導いても、お前は意地でも親と同じ道を歩もうとするんだな…。」
綺瑠の目の前で、小さな小さな赤く光る珠が現れる。
あまりの輝きに綺瑠は視線を取られていた。
石からは強い力を感じ、綺瑠は恐怖さえも感じる。
やがて光は収まり、赤く透明な小石となった。
「もやしっ子、ちょっと手を出せ。」
「なぁに、石っ子ちゃん。」
石の巫女はそれを綺瑠に渡すと、植物を退かせた。
「これを今日から、肌身離さず持っていろ。御守りだ。」
「御守り…?」
「ああ。誰にも、父にも渡すんじゃないぞ。もしそんな事をしたら、御守りの効果は切れてしまう。」
綺瑠は不思議そうに石を見つめると、石の巫女は綺瑠の前で言う。
「最後に…知りたい事はあるか?」
綺瑠は石を見つめながら言った。
「…父さんが死んじゃうの…いつ?」
綺瑠の質問に、石の巫女は胸に手を当てて眉を潜めた。
石の巫女は虚しい表情を見せると呟く。
「父がもやしっ子の前からいなくなったら…その時が近い。」
綺瑠はそれを真剣に聞いていた。
石の巫女から貰った、赤い石を握り締めながら。――
綺瑠は赤い小石を見つめながらも、頭を抱えていた。
(早く…早くしないと…!現実になってしまうかもしれない…!)
綺瑠は再び机に向かうと、とある資料を引き出しから出した。
それは以前久坂が見たものと同じ、『植物人間殺傷機 開発案』であった。
綺瑠はその資料を見つめ、真剣な表情に。
(かくなる上は…)
綺瑠は久坂の報告を受け、驚いている様子だった。
「嘘…あの子が石の巫女の分身だって…!?」
『ああ。でも話し合って、これからは植物人間を増やさないって約束したから。
まあ本当かどうかは知らないが、第二故郷病院で様子見する事にした。』
「そ…そうかい…」
『ん、報告は以上。じゃあな。』
「ひ、久坂!」
綺瑠が少し怯えた声で言った。
久坂は変に思う。
『…どうした?』
すると綺瑠は少し黙ってから首を横に振った。
「あ…いや……。気をつけて…」
『え?…ああ、じゃあな。』
そう言って、久坂は切った。
綺瑠は携帯を下ろすと、呆然としていた。
(…石の巫女の力を継ぐ者が現れた…)
綺瑠はそう思うと、胸ポケットから赤い石を出した。
植物人間が力を失った時にできる石によく似た、赤い石。
(もし石の巫女が言った事が本当なら…)
そう思いながら、綺瑠は思い出した。
石の巫女と遊んだ、幼い日の事を。
――幼い綺瑠は、楽しそうに石の巫女を追いかけていた。
石の巫女も楽しそうにしており、石の巫女は足を挫いて転んでしまう。
「あ!大丈夫石っ子ちゃん!」
「くぅ…大丈夫だもやしっ子。」
石の巫女はそう言い、擦りむいた膝を心配した。
綺瑠はすぐに公園の蛇口へ走ると、ハンカチを水に濡らして石の巫女の方へとやってきた。
傷の汚れを落とすと、石の巫女は言った。
「…もやしっ子は優しいんだな。」
「うん!母さんがね、人には優しくしなさいって。」
すると石の巫女は視線を逸らす。
「人…か。
生憎、私は人じゃないぞ。」
「え?じゃあ何?ヒーロー?」
綺瑠は首を傾げるので、石の巫女は鼻で笑った。
「私は何でも知っている。
もやしっ子、三つだけ教えてやろう。お前が知らない事を何でもだ。」
「何でも?未来も!?」
「ああ。」
それを聞いた綺瑠は、目を輝かせながら即答した。
「僕って将来結婚する!?」
「しない。」
「えぇ…!?じゃあ、じゃあ…」
綺瑠はそう言うと、ふと思ったのか落ち着いた様子で聞く。
「僕の母さん、変な生物に誘拐されちゃったんだって。父さんは今、その生物を探していて…
父さんはその生物に捕まったり…しないよね…?」
それを聞いた石の巫女は驚いた顔をした。
しかし虚しい表情を見せ、石の巫女は言う。
「残念だが、もやしっ子の父は将来…その生物の力を受け継ぐ者によって…殺されてしまう。」
綺瑠の表情はどんどん青ざめる。
「嘘……嘘、父さん、死んじゃうの!?」
「もやしっ子が父と同じ道を歩むというのなら、もやしっ子も同じようになる。父と同じ仕事はしないんだな。」
しかし綺瑠は涙目になって、真剣な目で石の巫女を見つめる。
それを見た石の巫女は溜息をつき、そして目を閉じた。
すると周囲から植物が生え、植物は二人を優しく包んだ。
綺瑠は驚いて植物を見ていると、石の巫女の体からも植物が生えた。
植物は神秘的な光を放ち、綺瑠は呆然。
石の巫女は言う。
「どう導いても、お前は意地でも親と同じ道を歩もうとするんだな…。」
綺瑠の目の前で、小さな小さな赤く光る珠が現れる。
あまりの輝きに綺瑠は視線を取られていた。
石からは強い力を感じ、綺瑠は恐怖さえも感じる。
やがて光は収まり、赤く透明な小石となった。
「もやしっ子、ちょっと手を出せ。」
「なぁに、石っ子ちゃん。」
石の巫女はそれを綺瑠に渡すと、植物を退かせた。
「これを今日から、肌身離さず持っていろ。御守りだ。」
「御守り…?」
「ああ。誰にも、父にも渡すんじゃないぞ。もしそんな事をしたら、御守りの効果は切れてしまう。」
綺瑠は不思議そうに石を見つめると、石の巫女は綺瑠の前で言う。
「最後に…知りたい事はあるか?」
綺瑠は石を見つめながら言った。
「…父さんが死んじゃうの…いつ?」
綺瑠の質問に、石の巫女は胸に手を当てて眉を潜めた。
石の巫女は虚しい表情を見せると呟く。
「父がもやしっ子の前からいなくなったら…その時が近い。」
綺瑠はそれを真剣に聞いていた。
石の巫女から貰った、赤い石を握り締めながら。――
綺瑠は赤い小石を見つめながらも、頭を抱えていた。
(早く…早くしないと…!現実になってしまうかもしれない…!)
綺瑠は再び机に向かうと、とある資料を引き出しから出した。
それは以前久坂が見たものと同じ、『植物人間殺傷機 開発案』であった。
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