植物人間の子

うてな

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第4章 侵食―エローション―

144 怪しい焼却炉

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第二故郷病院、会議室にて。
会議室はだいぶ片付けが進み、窓にはビニールシート。
そんな会議室には、ハジメが訪ねていた。

「どうした引きこもり。」

と数男。
ハジメは青ざめており、いつものように数男にツッコミも入れずに言った。

「大変なんだ…!大変な事に気づいたんだよ…!」

一同は首を傾げると、ハジメは言った。

「僕…根無しの植物人間だったんだよ…!」

それを聞いて、一同は目を剥いた。

『えぇ!?』

一同は一斉に驚くと、ハジメは青ざめたままその場でしゃがみこむ。
ハジメの体は震えていた。

「つまり、僕が人と接触すれば人が植物人間になる。そんな、恐ろしい化物なんだよ僕は…!」

「今頃化物を自覚したんだな!」

と、笑顔のシュン。
そしてアンジェルも動じない様子で言った。

「ここの人達は全員植物人間だから気にしなくていいんじゃない。」

「そっ、そういう問題じゃないだろう!?」

ハジメは涙目。
しかしアンジェルは言う。

「ここに居たらいいんじゃない。研究所行ったら殺されるらしいよ?根無しの植物人間は全員殺処分。」

それを聞いたハジメは震え上がる。
シュンは子供をあやしながらも頷いた。

「そうしろ!今、研究所の人達は植物人間を人間に戻す方法を探してるらしいから。
もしそれがわかったら、ハジメも元に戻れるぜ!」

しかし、その言葉に違和感を感じるハジメ。
ハジメは言った。

「今、根無しの植物人間は処分してるって言わなかった?戻す方法を探してるなら処分しなくても…」

それを聞いた一同は目を丸くした。
アンジェルは難しい顔をした。

「人を救う為に方法を考えてるのに、対象を処分するのは確かにおかしいね。」

「なんか面白い事起こってたりなぁ!」

シュンはお気楽な事にそう言うが、ハジメとアンジェルの表情は険しくなっていく一方。
ハジメは真っ青ではあったが言った。

「な、なんだろう…。研究所の奴等は一体何を考えているんだ?
…いっそ、尋ねてみるか?誠治辺りに…」

「ゴミ拾いの人?なんで?」

シュンが聞くと、ハジメは言った。

「奈江島の秘書をし始めたから、あの研究所にずっといるんだ。」

「へ~!」

するとアンジェルは眉を潜める。

「ねえ、話を聞くのはやめな。」

「え?」

ハジメが目を丸くすると、アンジェルは険しい表情のまま言った。

「誠治って男は植物人間を恨んでる。キミが人間を脅かす植物人間だって知ったら、アイツはどう対応する?」

ハジメはそれを聞いて、誠治の今までを思い出して息を飲んだ。





そして。
とある工業地帯。
ここは廃工業地帯という事もあり、人は誰もいない。

そしてこの工業地帯の建造物の中には、大きな大きな焼却炉がある。
その建造物に、数人の研究員と誠治がいた。
研究員は誠治に言う。

「美空地区の避難所に、花粉を大量に吸った避難者を一人確認しました。
避難者の半数を調べた所、これから植物人間になる可能性のある人間はほぼ全員でした。」

それを聞いた誠治は驚いた表情に。

「Bレベルの避難所が…たった一晩でCレベル並に…。これは危険ですね…。」

「どうしますか?」

「避難所のレベルをCに設定。Cレベルの避難者が増える場合、こちらへ…。」

「はい。」

返事をした研究員は、この場を後にした。

誠治は焼却炉を見つめる。
焼却炉は炎で満たされており、中から人の呻き声が聞こえてきた。
誠治はホチキス留めされたひと束の報告書を持って、眉を潜める。

(ごめんなさい奈江島さん…植物人間の驚異を抑えるには、今はこうするしか…)





綺瑠が入院する病院にて、数男は綺瑠に会いに来ていた。
数男の隣には、サチも護衛で一緒にいた。
綺瑠はニコニコ笑顔で言う。

「これ以上は資料見てね。でもま、家の鍵は誠治に渡しちゃったんだけど。」

すると数男は調子が狂ったのか眉を吊り上げる。

「あのゴミ拾いめ。」

「予備はないんですか?自分の家の鍵ですよ?」

サチが聞くと、綺瑠は笑顔。

「家の中。」

数男が溜息をつく。
それから数男は綺瑠を見た。
数男は考える。

(以前はコイツを見ると変な気分になったのだが、今は何ともないな。)

数男がそう考えていると、綺瑠は聞く。

「そう言えば久坂は?元気にしてる?」

それを聞くと、数男は反応。
サチは眉を困らせた。
綺瑠はその様子に違和感を感じていると、数男は言った。

「秀也は植物人間になって、今は石だ。」

綺瑠は目を見開く。
思わず口に手を当て、暫く沈黙した。
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