植物人間の子

うてな

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第4章 侵食―エローション―

158 ひっくり返れ

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すると誠治は、扉の外で女性の研究員を発見。
研究員は部屋に入ってきた。

「代表…ハッ!」

研究員はそれを見てしまい、思わず携帯で写真を撮ってしまう。

「やめてください!というか助けて!」

誠治はそう言ったが、女性研究員はその写真を収めると携帯を胸に当てて目を閉じた。
どうやら心に留めている様子。
誠治は涙目になってしまう。

「記録に残さないで…!」

研究員はルンルンで立ち去るので、誠治は脱力。
遂には綺瑠に上半身を脱がされてしまった。

「助けて……守…」

誠治のか細い声に、守は困った顔。
綺瑠は誠治の体を観察しながら言う。

「えっと、刺さっている箇所はこことここと…
あはは誠治、どうしたのグッタリして。被検体は元気にしてないとダメじゃないか~」

最早狂気を感じた守は息を飲んだ。

(誠治さんを助けてやらねぇと。)

守は手元にガラスを生成すると、思い切って誠治の腹に刺した。

「いっ!!?守!?」

誠治は驚いてしまい、守は自分の目を庇ってやっていた。
ちなみにそれを見ていた綺瑠は呆然としている。
誠治は刺された腹を押さえながらも、すぐに傷が癒えるのを見ていた。

「きゅ、急に何をするんだ守…」

誠治が言うと、守は綺瑠の様子を見てから言う。

「え、ホモが止まんないから、人格ひっくり返してやろうと思って。」

それを聞いて誠治は綺瑠を見ると、綺瑠の様子が一変していた。
興奮している様子から、無表情になっている。
綺瑠は誠治から退くと、右手をポケットに入れた。

「ごめんよ、興奮すると彼は手がつけられなくてね。」

誠治は驚いてから言った。

「あ、まさか奈江島さんの別人格さん…!?別人格さんは落ち着いた方で良かったです…」

誠治が安心していると、綺瑠は眉を潜める。

「君は彼の楽しみだからね、僕は彼の楽しみを奪うつもりはないよ。」

その言葉に鳥肌を感じる誠治。
すると守は綺瑠に言った。

「僕の検査結果は?」

「守は五島の様に、人間に害のない生物みたいだ。
元より、守は植物人間とは言い難い生物なんだけどね。」

「そうなの?」

守が聞くと、誠治も目を丸くして聞いた。
綺瑠は頷く。

「植物人間は皆、人間の体から植物が生えるのに対し、守は植物が生えてこないだろう。
あれが一番に、守が純粋な植物人間ではない事を表している。」

「わ、確かに。いつも周りにばっか生える。」

守が目を丸くすると、誠治も納得した顔。
すると守は俯いて言った。

「つまり新種のバケモンじゃん…僕。」

「そ、そんな事言ったら私はゾンビじゃないですか…!」

と誠治。
綺瑠は言った。

「ショックかい?」

それに対し、守は首を横に振った。
誠治はそれに目を丸くすると、守は言う。

「別に。
この力持って、こんな姿になって、不便だと思った事は一度もないから。」

「そうかい。戻りたいとは思わないんだね。」

「うん。」

それに対し綺瑠は頷くと、守は言った。

「ねえねえ、検査受けたからお礼してよ。」

「お礼?…ああ、そう言えば研究所に行く時に彼と約束したっけ。
何か欲しい物があったらどうぞ。」

それを聞いた誠治は苦笑。

「奈江島さんそんな約束したんですか?」

すると守は俯く。
一同はそれを見ていると、守は顔を上げて言った。

「現金くれ!」

「無心!?」

と驚いたのは誠治。
綺瑠は財布を開く。
綺瑠の高そうな財布を見た守は、ブランドを知らなくともその財布がブランド物だと感じた。

「いち、に、さん、し、ご、ろく、なな、はち、きゅ…はい、十万円。」

綺瑠は平然と差し出すので、誠治は驚く。

「ま、待ってください!現金って言われて十万…というか大金持ち歩かないてください!危ない!」

差し出される大金に、守は愕然としていた。
手元に渡る十万円。
守は息を飲んだ。
綺瑠は誠治に怒られ、若干困惑していた。

「十万円は大金なのかい…?
夜の街は危険だから、いつ恐喝されてもいいように持ち歩いていたんだけど…」

「どういう準備ですかそれ!」

すると守は焦って、五万円だけ返す。

「こっ、これを持ってけ…これなら恐喝回避できる。」

「そういう問題でもないよ守!」

と誠治。
綺瑠はそれに納得すると受け取った。

「ありがとう。」

誠治は思わず苦笑。
更に守は言いにくそうにしたが、綺瑠に言った。

「あと、行きたい所があるから街まで車出してくんないかな。」

「どこへ?僕にも仕事の予定があるから、あまり長くは付き合えないよ。」

「二時間でいいから!」

守の熱意ある様子に、目を丸くする綺瑠。
すると綺瑠は頷いた。

「わかった。」
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