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第4章 侵食―エローション―
159 閑静な商店街
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綺瑠の車に乗せられ、商店街に着いた守達。
守は商店街を見ると呆然とした。
商店街は誰もおらず、店も全てシャッターが閉まっている。
「なんで…?いつも人で賑わってたのに!」
守が言うと、誠治は神妙な顔。
「植物人間が増えて、みんな避難をしたり家に篭ったりしているんだよ。
スーパーを除く多くの店も閉まっているはずだ。」
「そんな…!」
守は俯いてしまうと、綺瑠は言う。
「何か買いたい物でもあったのかい?」
それに対し、守は少し黙ってから言った。
「ない。」
「ない!?」
誠治が驚くと、守は二人の方を見た。
守は真剣な顔をして言う。
「誠治さんも綺瑠さんも、お父さんの誕生日って何渡す!?」
二人は驚いて目を丸くすると、守はもじもじした様子で言った。
「僕…そういうの数男に渡した事なくてさ…わかんなくて…」
「なぜ急に渡す気になったの?」
綺瑠が聞くので、守は反応。
それから守は言った。
「数男、最近柔らかくなったから。」
そう言うと、二人は守を見る。
守は続けた。
「一度でもいいから!親父に愛されてみたいんだよ!
どうやったらって考えたら……誕生日プレゼントくらしか思いつかなくて…」
それを聞くと、綺瑠は気に入らないのか思わず眉を潜めてしまう。
対し誠治は優しく微笑んだ。
「わかった、一緒に考えよう!」
「ホント…!?」
守が目を光らせて喜ぶ。
誠治は笑顔で頷いた。
守は思わず誠治に飛び込むので、誠治は守を抱っこした。
「あれ、私がお父さんになってないか?」
誠治は苦笑して言うと、守はニッコリして言う。
「いーの!」
「にしても店が閉まってるとなると困るな、プレゼントどうしようか。」
誠治が言うと、守は聞いた。
「二人は親にプレゼントとかしないの?何渡してる?」
守の問いに、誠治は微笑む。
「私の父は汗っかきだから…小さい頃にハンカチをプレゼントして以来、毎年ハンカチを渡しているよ。
たまに家族で食事に出かけたりしたけどね。」
「なるほど、親を観察して……」
守はそう言ったが、難しい顔を見せた。
「アイツの特徴、何一つわからねぇ…」
それを聞いた誠治は苦笑。
守は次に綺瑠を見た。
「綺瑠さんは親に何か渡してる?…まあ、ボンボンの子だから渡してるだろうよ。」
「渡せてないよ。」
綺瑠の言葉に、二人とも違和感を感じる。
「渡してない、ではなくて、渡せてない?」
誠治が言うと、綺瑠は頷いた。
「父さんの誕生日の前日に、父さんが定めた記念日があってね。
愛用ナイフで初めて僕を傷をつけた記念日だって。だから毎年父さんの相手をしなきゃならない。
その度に父さんの相手をする人格の出番になるから、彼も僕も父さんの誕生日を祝えないのさ。」
誠治は眉を潜めて気の毒そうな顔をし、守は眉を釣り上げた。
「な、なんつー親だ…!病みすぎ…!」
「あれは愛…いや、ただの暴力…だったね。
何一つ意味のない時間だったわけだ…全く溜息しか出てこない。
僕も普通の親とやらの元に生まれたかったよ、ねえ守。」
その返しに、守は俯いてから頷いた。
「本当。自分の親が、まともだったら…」
誠治は気の毒そうな表情を変えないまま言った。
「お二人共、苦しい思いを沢山なさったんですね…。
私では、理解しきれないほどの…。申し訳ない気もしてしまいます。」
「申し訳なく思うなら、大人しく彼の被検体になってくれないか誠治。」
綺瑠が淡々と言うと、誠治は思わず苦笑。
「それは嫌です。」
「じゃあ今日一日だけでも…彼の為にお願いだよ。」
綺瑠は一歩誠治に近づくので、誠治は危険を感じて一歩後退。
「や、やめてください…!」
涙目になった誠治を見ると、守は誠治の頭を撫でてあげた。
誠治は目を丸くし、守を見ると微笑んだ。
それを見た綺瑠は言う。
「守、確かにここらの商店街は閉まっているが、僕ならある程度の店を開ける事が可能かもしれない。
早く何を買うか、考えた方がいいんじゃないかな?」
「で、でも数男の事なんてわかんないし…」
守が俯いて言うと、綺瑠は続けた。
「君が好きだと思った物でもいいんじゃないか。全てが全て、相手に寄り添える物じゃなくていいよ。
プレゼントなんだから。」
「そういうもの?」
守は綺瑠に言うと、綺瑠は頷いた。
そして更に誠治を見ると、誠治は微笑む。
「そうだね。気持ちさえこもっていれば、私だったら嬉しいかな。」
守はそれを聞いていくつか瞬乾をする。
それから言った。
「服屋。」
「服?」
誠治が言うと、守は目を輝かせた。
「服を買ってあげたい!」
その言葉を聞いた誠治は、同じく目を輝かせる。
綺瑠は頷くと言った。
「それなら、丁度いい店がある。」
守は商店街を見ると呆然とした。
商店街は誰もおらず、店も全てシャッターが閉まっている。
「なんで…?いつも人で賑わってたのに!」
守が言うと、誠治は神妙な顔。
「植物人間が増えて、みんな避難をしたり家に篭ったりしているんだよ。
スーパーを除く多くの店も閉まっているはずだ。」
「そんな…!」
守は俯いてしまうと、綺瑠は言う。
「何か買いたい物でもあったのかい?」
それに対し、守は少し黙ってから言った。
「ない。」
「ない!?」
誠治が驚くと、守は二人の方を見た。
守は真剣な顔をして言う。
「誠治さんも綺瑠さんも、お父さんの誕生日って何渡す!?」
二人は驚いて目を丸くすると、守はもじもじした様子で言った。
「僕…そういうの数男に渡した事なくてさ…わかんなくて…」
「なぜ急に渡す気になったの?」
綺瑠が聞くので、守は反応。
それから守は言った。
「数男、最近柔らかくなったから。」
そう言うと、二人は守を見る。
守は続けた。
「一度でもいいから!親父に愛されてみたいんだよ!
どうやったらって考えたら……誕生日プレゼントくらしか思いつかなくて…」
それを聞くと、綺瑠は気に入らないのか思わず眉を潜めてしまう。
対し誠治は優しく微笑んだ。
「わかった、一緒に考えよう!」
「ホント…!?」
守が目を光らせて喜ぶ。
誠治は笑顔で頷いた。
守は思わず誠治に飛び込むので、誠治は守を抱っこした。
「あれ、私がお父さんになってないか?」
誠治は苦笑して言うと、守はニッコリして言う。
「いーの!」
「にしても店が閉まってるとなると困るな、プレゼントどうしようか。」
誠治が言うと、守は聞いた。
「二人は親にプレゼントとかしないの?何渡してる?」
守の問いに、誠治は微笑む。
「私の父は汗っかきだから…小さい頃にハンカチをプレゼントして以来、毎年ハンカチを渡しているよ。
たまに家族で食事に出かけたりしたけどね。」
「なるほど、親を観察して……」
守はそう言ったが、難しい顔を見せた。
「アイツの特徴、何一つわからねぇ…」
それを聞いた誠治は苦笑。
守は次に綺瑠を見た。
「綺瑠さんは親に何か渡してる?…まあ、ボンボンの子だから渡してるだろうよ。」
「渡せてないよ。」
綺瑠の言葉に、二人とも違和感を感じる。
「渡してない、ではなくて、渡せてない?」
誠治が言うと、綺瑠は頷いた。
「父さんの誕生日の前日に、父さんが定めた記念日があってね。
愛用ナイフで初めて僕を傷をつけた記念日だって。だから毎年父さんの相手をしなきゃならない。
その度に父さんの相手をする人格の出番になるから、彼も僕も父さんの誕生日を祝えないのさ。」
誠治は眉を潜めて気の毒そうな顔をし、守は眉を釣り上げた。
「な、なんつー親だ…!病みすぎ…!」
「あれは愛…いや、ただの暴力…だったね。
何一つ意味のない時間だったわけだ…全く溜息しか出てこない。
僕も普通の親とやらの元に生まれたかったよ、ねえ守。」
その返しに、守は俯いてから頷いた。
「本当。自分の親が、まともだったら…」
誠治は気の毒そうな表情を変えないまま言った。
「お二人共、苦しい思いを沢山なさったんですね…。
私では、理解しきれないほどの…。申し訳ない気もしてしまいます。」
「申し訳なく思うなら、大人しく彼の被検体になってくれないか誠治。」
綺瑠が淡々と言うと、誠治は思わず苦笑。
「それは嫌です。」
「じゃあ今日一日だけでも…彼の為にお願いだよ。」
綺瑠は一歩誠治に近づくので、誠治は危険を感じて一歩後退。
「や、やめてください…!」
涙目になった誠治を見ると、守は誠治の頭を撫でてあげた。
誠治は目を丸くし、守を見ると微笑んだ。
それを見た綺瑠は言う。
「守、確かにここらの商店街は閉まっているが、僕ならある程度の店を開ける事が可能かもしれない。
早く何を買うか、考えた方がいいんじゃないかな?」
「で、でも数男の事なんてわかんないし…」
守が俯いて言うと、綺瑠は続けた。
「君が好きだと思った物でもいいんじゃないか。全てが全て、相手に寄り添える物じゃなくていいよ。
プレゼントなんだから。」
「そういうもの?」
守は綺瑠に言うと、綺瑠は頷いた。
そして更に誠治を見ると、誠治は微笑む。
「そうだね。気持ちさえこもっていれば、私だったら嬉しいかな。」
守はそれを聞いていくつか瞬乾をする。
それから言った。
「服屋。」
「服?」
誠治が言うと、守は目を輝かせた。
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「それなら、丁度いい店がある。」
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