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第4章 侵食―エローション―
160 いつも何着てる?
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そして着いたのは、エンジェルスネイティブという服屋。
服屋は綺瑠の申し出のお陰か、ライトを点灯して開いている様子だった。
守は以前も行った事がある店だったので、驚いた様子だった。
「え!?綺瑠さんってこの会社動かしてんの!?」
「うん。」
「やべぇじゃんやべぇじゃん…!」
守はそう言いながらも、店内に入った。
誠治は苦笑しながら言う。
「奈江島さんって凄いですよね…」
しかし綺瑠は無表情のまま言った。
「僕が凄いんじゃない、財閥を大きくした父さんや曽祖父さんが凄いんだよ。」
そう言って守を追いかけた。
店内を探すと、守は一部だけライトアップされた店内を新鮮に思う。
「すごごぉ!」
そして守がやってきたのはスーツコーナー。
綺瑠や誠治も追いついてきて、誠治は言った。
「そう言えば、五島さんは教師だよね。スーツを新調するのもいいかもしれない。」
守はスーツをじっと眺めていた。
二人はそんな守の後ろで守の様子を眺めているだけ。
守は二人の方を振り向くと言った。
「スーツはいいや。」
それを聞いた誠治は目を丸くする。
「どうして?」
守は二人から視線を逸らすと言った。
「数男、『いつか教師を辞めてやる』って言ってたし…。
母さんから買ってもらったスーツを嫌って意地でも着ないし。スーツなんて買ったらぶん殴られるや。」
それを聞くと、誠治は眉を困らせる。
守は立ち去るので、二人はさらに追いかけた。
すると守は、ネクタイコーナーの前で立ち止まる。
守は言った。
「数男、いつもネクタイを使ってる。」
すると夢中になってネクタイ選びを始めた守。
それを見て、誠治は微笑ましく思う。
まるで子を眺める親の顔。
綺瑠は不思議そうな顔をして言った。
「本当に不思議だよね。」
「何がですか?」
「守は父親に愛されなかったのに、プレゼントを渡そうと思う事だよ。」
そう言われてみると誠治も不思議に思う。
「ほう…言われてみれば…」
誠治が呟くと、それを聞いていたのか守は振り返ってきた。
守はちょっぴり無愛想な顔、ではなくいつもの顔を向けていた。
「愛が羨ましいからだよ、決まってんじゃん。」
綺瑠はそれに反応すると、守は続ける。
「僕も欲しいんだよ、愛が。…でも、数男はきっとそんなの持ってない。
だから僕からって……間違ってるかな…?」
守は迷った様子で言っていた。
すると綺瑠は言う。
「間違ってはないんじゃない。」
守は顔を上げると、綺瑠は続けた。
「だけど、それで相手が君の思う通りに動くとは限らない。
関係が変わらないかもしれない。」
それを聞いた守は難しい顔をした。
その迷いある顔を見て、綺瑠は少し考えてから言う。
「…だからね、もしそんな事があったら、構わず僕達の所に来るといいよ。」
「え?」
守はポカンとすると、綺瑠は続けた。
「問題解決はできないけれど、話を聞く事ならできる。安心して、受け止めるのは慣れてるからさ。
頭を撫で撫でしてあげるよ。」
守は呆然と聞いていたが、次に誠治は微笑んで頷いた。
「うん。
守、間違ってるなんて思わないで、正直な気持ちを伝えてみようよ。
その時の話は、どんな内容でも最後までキッチリ私達が聞く。」
そう言われた守は、急に目を潤ませる。
そして守は言った。
「なんでそんなに優しくしてくれるの…?」
そう言われると、誠治は目を丸くしてから微笑んだ。
綺瑠は上の空を見ながら言う。
「僕達が、そういう人間だからだよ。」
守は眉を潜めるので、誠治は苦笑。
「奈江島さんそれ、私の言葉じゃないですか…。」
「僕にも似た経験があるから、他人事だとは思えないんだ。」
綺瑠が本当の理由を言うと、守はポカンと口を開けながらも納得。
続いて誠治は言った。
「私は、守の笑顔が見たいからかな。」
「それは理解できない。」
守が即答すると、誠治はショックを受ける。
綺瑠も言った。
「うん、僕も未だに理解できないよ。」
二人にそう言われ、誠治は理解されないショックで涙目になってしまうのであった。
服屋は綺瑠の申し出のお陰か、ライトを点灯して開いている様子だった。
守は以前も行った事がある店だったので、驚いた様子だった。
「え!?綺瑠さんってこの会社動かしてんの!?」
「うん。」
「やべぇじゃんやべぇじゃん…!」
守はそう言いながらも、店内に入った。
誠治は苦笑しながら言う。
「奈江島さんって凄いですよね…」
しかし綺瑠は無表情のまま言った。
「僕が凄いんじゃない、財閥を大きくした父さんや曽祖父さんが凄いんだよ。」
そう言って守を追いかけた。
店内を探すと、守は一部だけライトアップされた店内を新鮮に思う。
「すごごぉ!」
そして守がやってきたのはスーツコーナー。
綺瑠や誠治も追いついてきて、誠治は言った。
「そう言えば、五島さんは教師だよね。スーツを新調するのもいいかもしれない。」
守はスーツをじっと眺めていた。
二人はそんな守の後ろで守の様子を眺めているだけ。
守は二人の方を振り向くと言った。
「スーツはいいや。」
それを聞いた誠治は目を丸くする。
「どうして?」
守は二人から視線を逸らすと言った。
「数男、『いつか教師を辞めてやる』って言ってたし…。
母さんから買ってもらったスーツを嫌って意地でも着ないし。スーツなんて買ったらぶん殴られるや。」
それを聞くと、誠治は眉を困らせる。
守は立ち去るので、二人はさらに追いかけた。
すると守は、ネクタイコーナーの前で立ち止まる。
守は言った。
「数男、いつもネクタイを使ってる。」
すると夢中になってネクタイ選びを始めた守。
それを見て、誠治は微笑ましく思う。
まるで子を眺める親の顔。
綺瑠は不思議そうな顔をして言った。
「本当に不思議だよね。」
「何がですか?」
「守は父親に愛されなかったのに、プレゼントを渡そうと思う事だよ。」
そう言われてみると誠治も不思議に思う。
「ほう…言われてみれば…」
誠治が呟くと、それを聞いていたのか守は振り返ってきた。
守はちょっぴり無愛想な顔、ではなくいつもの顔を向けていた。
「愛が羨ましいからだよ、決まってんじゃん。」
綺瑠はそれに反応すると、守は続ける。
「僕も欲しいんだよ、愛が。…でも、数男はきっとそんなの持ってない。
だから僕からって……間違ってるかな…?」
守は迷った様子で言っていた。
すると綺瑠は言う。
「間違ってはないんじゃない。」
守は顔を上げると、綺瑠は続けた。
「だけど、それで相手が君の思う通りに動くとは限らない。
関係が変わらないかもしれない。」
それを聞いた守は難しい顔をした。
その迷いある顔を見て、綺瑠は少し考えてから言う。
「…だからね、もしそんな事があったら、構わず僕達の所に来るといいよ。」
「え?」
守はポカンとすると、綺瑠は続けた。
「問題解決はできないけれど、話を聞く事ならできる。安心して、受け止めるのは慣れてるからさ。
頭を撫で撫でしてあげるよ。」
守は呆然と聞いていたが、次に誠治は微笑んで頷いた。
「うん。
守、間違ってるなんて思わないで、正直な気持ちを伝えてみようよ。
その時の話は、どんな内容でも最後までキッチリ私達が聞く。」
そう言われた守は、急に目を潤ませる。
そして守は言った。
「なんでそんなに優しくしてくれるの…?」
そう言われると、誠治は目を丸くしてから微笑んだ。
綺瑠は上の空を見ながら言う。
「僕達が、そういう人間だからだよ。」
守は眉を潜めるので、誠治は苦笑。
「奈江島さんそれ、私の言葉じゃないですか…。」
「僕にも似た経験があるから、他人事だとは思えないんだ。」
綺瑠が本当の理由を言うと、守はポカンと口を開けながらも納得。
続いて誠治は言った。
「私は、守の笑顔が見たいからかな。」
「それは理解できない。」
守が即答すると、誠治はショックを受ける。
綺瑠も言った。
「うん、僕も未だに理解できないよ。」
二人にそう言われ、誠治は理解されないショックで涙目になってしまうのであった。
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