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第4章 侵食―エローション―
番外編 セオーネ・バーリン 5
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数年後。
あの日から、グレネは見つかっていません。
見かけたという情報も一切なく、村の人は諦めていました。
私は度々森に出かけ、隣町に出かけ、グレネの情報がないか集めています。
そして施設はというと…
施設ではクロマが今度は、グレネの代わりになろうと奮闘していました。
しかしクロマはぶっきらぼうで無愛想、元気なグレネとはまた違う子供です。
完全にグレネと同じでなくとも、それでもクロマは最善を尽くしています。
子供達もそんなクロマの努力を認めているのか、協力的です。
いつの間にやら施設の子供達はリーダーがいなくとも、お互いが切磋琢磨していく様になりました。
いい変化と言えばいい変化ですが、子供達の心の隙間が埋まる事はありませんでした。
グレネがいなくなった事は、施設の子供達にとってはとても大きな事です。
グレネはこの施設が一番最初に預かった孤児。
つまりその後に入ってきた子供達は全員、入った時からグレネと関わってきたのです。
グレネは子供達にとっては友達以上の、家族のような存在でした。
家族が欠けた…。
子供達はこの数年、それを抱えて過ごしていました。
私にも勿論、心に大きな穴が空いていました。
でも、それを子供達に見せてはいけません。
私は気丈に振舞う事を誓いました。
そしてお昼も近い時間。
急に施設の外が賑やかになりました。
子供達の喜ぶ声、怖がる声。
何か動物でも見つけたのでしょうか?
私は外へ向かいました。
すると、クロマが小さな白い子犬を抱いていました。
子供達はそれを囲み、喜んだり怯えたり。
子犬は怪我をして弱っている様子だったので、クロマは慌てた様子で私の元へ来ました。
「牧師様!子犬が怪我をしています、子犬はどう手当てすれば良いのですか?」
「落ち着いてクロマ。今、獣医さんを呼んできますから。」
私はそう言うと、急いで村を走りました。
そして子犬の治療が終え、施設の子供達は犬の様子を眺めています。
クロマも心配しているようで、付きっきりでした。
そこに、ミンスがやってきます。
「クロマ、今度は子犬を拾ったのですか?この前はスズメを助けましたよね?ふふふ。」
ミンスは笑っていました。
「放っておくわけにもいかんだろう。」
「それもそうですね…」
ミンスはそう言って、二人で子犬の様子を見ていました。
そこで他の子達が言い出します。
「名前何にする?」
「え!?ここで飼うのー!?」
「だって可愛いじゃん、怪我もしてるし。」
確かに、このまま逃がすのも酷な話です。
その時、子犬が目を覚ましました。
子犬は目を覚ますと、真っ先にクロマを見ました。
クロマは子犬に言います。
「安心しろ、私達は貴様を襲ったりはしない。」
子犬はじっとクロマを見ていました。
クロマは変に思っていると、更に子犬はミンスの方も見ます。
どうやらちょっぴり警戒しているみたいです。
ミンスはそれを見てクスクスと笑いました。
「おやおや、わたくし達は嫌われているようですね。」
「警戒されているのだ。
この犬は傷だらけで倒れていたのだ、天敵にでも襲われたのだろう。
私達を警戒するのも当然だ。」
しかし、子犬はクロマに擦り寄ってきました。
クロマは驚き、ミンスも目を丸くしていました。
子供達は羨ましがります。
「いいなクロマ。」
「可愛い~!」
子供達の喜ぶ声を傍に、クロマは子犬を抱き上げて言います。
「どこから来たのだ?行く宛てがないのなら…」
クロマはそう言うと、私の事をじっと見ます。
「飼いたい」そう訴えています。
…勿論!
命の尊さを知るいい機会になりそうです。
「飼ってもいいですよ。」
私が言うと、子供達は喜びます。
クロマも目を丸くしていましたが、これは驚いたのではなくて嬉しかったのでしょう。
クロマは子犬を見つめると言います。
「ここにいてもいいのだぞ、『野良』。」
クロマはどうやら、子犬さんが気に入ったみたいですね。
子犬さんは子供達から大人気。
ミンスも生物が好きだから、子犬に興味を持ったでしょうか…?
私はミンスを見ましたが、ミンスは子犬は見てませんでした。
ミンスはクロマを見て微笑んでいます。
たまに不思議に思います。
ミンスはまるで、クロマを見守る母親のような顔をします。
ミンスは兄弟なはずなんだけど、そうでない気がして…。
あの日から、グレネは見つかっていません。
見かけたという情報も一切なく、村の人は諦めていました。
私は度々森に出かけ、隣町に出かけ、グレネの情報がないか集めています。
そして施設はというと…
施設ではクロマが今度は、グレネの代わりになろうと奮闘していました。
しかしクロマはぶっきらぼうで無愛想、元気なグレネとはまた違う子供です。
完全にグレネと同じでなくとも、それでもクロマは最善を尽くしています。
子供達もそんなクロマの努力を認めているのか、協力的です。
いつの間にやら施設の子供達はリーダーがいなくとも、お互いが切磋琢磨していく様になりました。
いい変化と言えばいい変化ですが、子供達の心の隙間が埋まる事はありませんでした。
グレネがいなくなった事は、施設の子供達にとってはとても大きな事です。
グレネはこの施設が一番最初に預かった孤児。
つまりその後に入ってきた子供達は全員、入った時からグレネと関わってきたのです。
グレネは子供達にとっては友達以上の、家族のような存在でした。
家族が欠けた…。
子供達はこの数年、それを抱えて過ごしていました。
私にも勿論、心に大きな穴が空いていました。
でも、それを子供達に見せてはいけません。
私は気丈に振舞う事を誓いました。
そしてお昼も近い時間。
急に施設の外が賑やかになりました。
子供達の喜ぶ声、怖がる声。
何か動物でも見つけたのでしょうか?
私は外へ向かいました。
すると、クロマが小さな白い子犬を抱いていました。
子供達はそれを囲み、喜んだり怯えたり。
子犬は怪我をして弱っている様子だったので、クロマは慌てた様子で私の元へ来ました。
「牧師様!子犬が怪我をしています、子犬はどう手当てすれば良いのですか?」
「落ち着いてクロマ。今、獣医さんを呼んできますから。」
私はそう言うと、急いで村を走りました。
そして子犬の治療が終え、施設の子供達は犬の様子を眺めています。
クロマも心配しているようで、付きっきりでした。
そこに、ミンスがやってきます。
「クロマ、今度は子犬を拾ったのですか?この前はスズメを助けましたよね?ふふふ。」
ミンスは笑っていました。
「放っておくわけにもいかんだろう。」
「それもそうですね…」
ミンスはそう言って、二人で子犬の様子を見ていました。
そこで他の子達が言い出します。
「名前何にする?」
「え!?ここで飼うのー!?」
「だって可愛いじゃん、怪我もしてるし。」
確かに、このまま逃がすのも酷な話です。
その時、子犬が目を覚ましました。
子犬は目を覚ますと、真っ先にクロマを見ました。
クロマは子犬に言います。
「安心しろ、私達は貴様を襲ったりはしない。」
子犬はじっとクロマを見ていました。
クロマは変に思っていると、更に子犬はミンスの方も見ます。
どうやらちょっぴり警戒しているみたいです。
ミンスはそれを見てクスクスと笑いました。
「おやおや、わたくし達は嫌われているようですね。」
「警戒されているのだ。
この犬は傷だらけで倒れていたのだ、天敵にでも襲われたのだろう。
私達を警戒するのも当然だ。」
しかし、子犬はクロマに擦り寄ってきました。
クロマは驚き、ミンスも目を丸くしていました。
子供達は羨ましがります。
「いいなクロマ。」
「可愛い~!」
子供達の喜ぶ声を傍に、クロマは子犬を抱き上げて言います。
「どこから来たのだ?行く宛てがないのなら…」
クロマはそう言うと、私の事をじっと見ます。
「飼いたい」そう訴えています。
…勿論!
命の尊さを知るいい機会になりそうです。
「飼ってもいいですよ。」
私が言うと、子供達は喜びます。
クロマも目を丸くしていましたが、これは驚いたのではなくて嬉しかったのでしょう。
クロマは子犬を見つめると言います。
「ここにいてもいいのだぞ、『野良』。」
クロマはどうやら、子犬さんが気に入ったみたいですね。
子犬さんは子供達から大人気。
ミンスも生物が好きだから、子犬に興味を持ったでしょうか…?
私はミンスを見ましたが、ミンスは子犬は見てませんでした。
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たまに不思議に思います。
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