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第5章 大絶滅―グレートダイイング―
182 幼少の過ち
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クロマは城下町に出ていて、商店街を歩いていく。
道行く人がクロマを見つける度に言う。
「あれクロマ王子、今日はミンス王子とは別行動なのね。良かったらお二つりんごどうぞ。」
りんごを貰ったり(勿論ミンスの為に一つは持って帰る)、
「第二王子!今度の祭りに射的勝負な!」
と言われたり。
クロマ自身も受け答えや物をもらったりしているだけでなく、困っている人の手助けをして町の人とコミュニケーションをとっていた。
「第二王子はまだ幼いのにご立派ねぇ。お手伝いありがとうございます。」
老婆は荷物運びを手伝ってくれたクロマに深々と頭を下げた。
クロマは自信に満ちた笑みを浮かべる。
「お安い御用だ。御婦人も体にはお気をつけて、深く頭を下げすぎて腰を折るでないぞ。」
そう言って立ち去るのである。
すると老婆は笑った。
「本当に逞しい王子様だねぇ」
クロマはふと、建物と建物の隙間道が気になる。
あの路地裏は子供にとっては良い探検ロード。
クロマも行ってみたくて仕方がないのだが、いつもはミンスが怖がって進ませてもくれなかったのだ。
(いつもはミンスが行きたくないと駄々を捏ねるが、今日こそ…!)
クロマはその先に堂々と進み歩いた。
その先には七人ほど、クロマよりも年上の男の子達がいた。
どうやら何かをしているようで、クロマは話しかける。
「貴様等、一体そこで何をしている。」
少年達はクロマを見ると驚いたり好奇心の目で見たり。
「あ!第二王子のクロマじゃね!?」
「ホントにまだガキだよ!」
クロマは動じずに言った。
「もう一度聞こう、貴様等は何をしている。」
すると次はしっかり答えてくれた。
「虫殺してんの。」
一人の少年が言うと、別の少年がその少年の頭を軽く殴ってから言った。
「バカ!王子に何て事言うんだよ!」
「害虫駆除だよ。町の人が嫌いな虫を殺してんのさ。」
「どれ。」
クロマはそう言ってその様子を見ると、セミが何匹か踏み潰されて殺されていた。
理解が進まないのかクロマは眉を潜める。
「セミは害虫なのか?」
クロマが聞くと、少年等は頷く。
「だってセミのせいでみんな悲鳴をあげたりするんだぜ?一日の気分はもう最悪、だから俺等がこうして駆除してあげてんの。」
「ほう。」
クロマが答えると、少年は言う。
「王子も混ざる?隠れてコソコソっと人助けするってのはいいもんだぜ?」
まだ無知な幼少クロマは、それを聴いて数回頷いた。
「ふむ、そういう人助けもあるのか。私もやろう。」
少年等は面白そうな顔でクロマを見ていたが、一部は不穏そうに思っているようだ。
「王子、これは影でやるからこそ意味があるんだ。だから外の人には内緒なんだぜ?」
「承知した。」
ある日の事だ。
ミンスはクロマに言う。
「クロマお兄様、一緒に城下町まで遊びに行きましょう。久々に公園に行きたくなりました。」
しかしクロマはせっせと出かける支度をして部屋を出ようとする。
「すまん、また後日な。」
「え?な、なぜですか!クロマお兄様!わたくしと遊んでください!」
ミンスは我儘を言うが、クロマは言う。
「たまには兄上と遊んでおけ。私にも用事というものがある。」
それを聴いてミンスは膨れてしまい、クロマはそれを無視して外へ出かけていってしまった。
今日もクロマは少年等の元に来ていて、少年等は今日も虫に残虐行為を働いている。
「オラオラ!人間様には逆らえないだろ!オラ!」
楽しそうに少年等は虫を殺して遊んでいる。
「うっわこの貝殻キメェ…中身グチャグチャだよ。ほら見ろよ!」
クロマはそんな少年等の楽しそうな声を聞きながらも、クロマも虫を殺していく。
「貴様等が悪を働くからいけないのだぞ。」
クロマは虫に言う。
そこで、仲間の少年の一人が恐怖を覚えた表情で言った。
「もうやめようぜこんなの!」
他の少年はその少年を見つめる。
「俺、親に見つかったんだ。そしたらカンカンに怒られてよ…!
もうやめようぜ、俺なんか怖くなってきた!」
訴える少年に対し、他の少年は大笑いする。
「親に怒られただけでビビってやんのコイツ!」
「虫如き殺して罪になるわけねえだろ!」
「王子も何か言ってやれよ!」
少年等が口々に言うので、クロマは言った。
「貴様は、善行を働いているのにも関わらず親に処罰を受けたのか?」
「善行なわけないだろ!これは立派な!」
少年が言ったところで、他の少年はその少年を囲んだ。
「あーはいはいもういいから。お前は黙っとけって!」
一人の少年は反対した少年を殴る。
そして続くように他の少年もその少年に手を出すので、クロマは焦った。
「貴様等!何をしている!人に暴力を働いてはならんのだぞ!」
クロマは叱るが、少年等は言った。
「あ?善行を否定したヤツが悪いに決まってんだろ?コイツは裏切ったんだよ!逆らいやがって!」
「これは暴力じゃなくて躾だよ!悪いヤツに使う!善い行いなんだよッ!」
「こういうヤツがいるからまた世の中が悪くなっていくんだぜ?王子。」
「王子も一発殴ってやったら?」
クロマは反対した少年を見つめる。
(裏切り…?それを正す為の、躾…?)
クロマは呆然と考えていた。
少年は暴力に怯えた目で、クロマに助けを求めていた。
しかし、
「貴様は、悪だ。」
クロマは言い、その少年を思い切り殴るのであった。
道行く人がクロマを見つける度に言う。
「あれクロマ王子、今日はミンス王子とは別行動なのね。良かったらお二つりんごどうぞ。」
りんごを貰ったり(勿論ミンスの為に一つは持って帰る)、
「第二王子!今度の祭りに射的勝負な!」
と言われたり。
クロマ自身も受け答えや物をもらったりしているだけでなく、困っている人の手助けをして町の人とコミュニケーションをとっていた。
「第二王子はまだ幼いのにご立派ねぇ。お手伝いありがとうございます。」
老婆は荷物運びを手伝ってくれたクロマに深々と頭を下げた。
クロマは自信に満ちた笑みを浮かべる。
「お安い御用だ。御婦人も体にはお気をつけて、深く頭を下げすぎて腰を折るでないぞ。」
そう言って立ち去るのである。
すると老婆は笑った。
「本当に逞しい王子様だねぇ」
クロマはふと、建物と建物の隙間道が気になる。
あの路地裏は子供にとっては良い探検ロード。
クロマも行ってみたくて仕方がないのだが、いつもはミンスが怖がって進ませてもくれなかったのだ。
(いつもはミンスが行きたくないと駄々を捏ねるが、今日こそ…!)
クロマはその先に堂々と進み歩いた。
その先には七人ほど、クロマよりも年上の男の子達がいた。
どうやら何かをしているようで、クロマは話しかける。
「貴様等、一体そこで何をしている。」
少年達はクロマを見ると驚いたり好奇心の目で見たり。
「あ!第二王子のクロマじゃね!?」
「ホントにまだガキだよ!」
クロマは動じずに言った。
「もう一度聞こう、貴様等は何をしている。」
すると次はしっかり答えてくれた。
「虫殺してんの。」
一人の少年が言うと、別の少年がその少年の頭を軽く殴ってから言った。
「バカ!王子に何て事言うんだよ!」
「害虫駆除だよ。町の人が嫌いな虫を殺してんのさ。」
「どれ。」
クロマはそう言ってその様子を見ると、セミが何匹か踏み潰されて殺されていた。
理解が進まないのかクロマは眉を潜める。
「セミは害虫なのか?」
クロマが聞くと、少年等は頷く。
「だってセミのせいでみんな悲鳴をあげたりするんだぜ?一日の気分はもう最悪、だから俺等がこうして駆除してあげてんの。」
「ほう。」
クロマが答えると、少年は言う。
「王子も混ざる?隠れてコソコソっと人助けするってのはいいもんだぜ?」
まだ無知な幼少クロマは、それを聴いて数回頷いた。
「ふむ、そういう人助けもあるのか。私もやろう。」
少年等は面白そうな顔でクロマを見ていたが、一部は不穏そうに思っているようだ。
「王子、これは影でやるからこそ意味があるんだ。だから外の人には内緒なんだぜ?」
「承知した。」
ある日の事だ。
ミンスはクロマに言う。
「クロマお兄様、一緒に城下町まで遊びに行きましょう。久々に公園に行きたくなりました。」
しかしクロマはせっせと出かける支度をして部屋を出ようとする。
「すまん、また後日な。」
「え?な、なぜですか!クロマお兄様!わたくしと遊んでください!」
ミンスは我儘を言うが、クロマは言う。
「たまには兄上と遊んでおけ。私にも用事というものがある。」
それを聴いてミンスは膨れてしまい、クロマはそれを無視して外へ出かけていってしまった。
今日もクロマは少年等の元に来ていて、少年等は今日も虫に残虐行為を働いている。
「オラオラ!人間様には逆らえないだろ!オラ!」
楽しそうに少年等は虫を殺して遊んでいる。
「うっわこの貝殻キメェ…中身グチャグチャだよ。ほら見ろよ!」
クロマはそんな少年等の楽しそうな声を聞きながらも、クロマも虫を殺していく。
「貴様等が悪を働くからいけないのだぞ。」
クロマは虫に言う。
そこで、仲間の少年の一人が恐怖を覚えた表情で言った。
「もうやめようぜこんなの!」
他の少年はその少年を見つめる。
「俺、親に見つかったんだ。そしたらカンカンに怒られてよ…!
もうやめようぜ、俺なんか怖くなってきた!」
訴える少年に対し、他の少年は大笑いする。
「親に怒られただけでビビってやんのコイツ!」
「虫如き殺して罪になるわけねえだろ!」
「王子も何か言ってやれよ!」
少年等が口々に言うので、クロマは言った。
「貴様は、善行を働いているのにも関わらず親に処罰を受けたのか?」
「善行なわけないだろ!これは立派な!」
少年が言ったところで、他の少年はその少年を囲んだ。
「あーはいはいもういいから。お前は黙っとけって!」
一人の少年は反対した少年を殴る。
そして続くように他の少年もその少年に手を出すので、クロマは焦った。
「貴様等!何をしている!人に暴力を働いてはならんのだぞ!」
クロマは叱るが、少年等は言った。
「あ?善行を否定したヤツが悪いに決まってんだろ?コイツは裏切ったんだよ!逆らいやがって!」
「これは暴力じゃなくて躾だよ!悪いヤツに使う!善い行いなんだよッ!」
「こういうヤツがいるからまた世の中が悪くなっていくんだぜ?王子。」
「王子も一発殴ってやったら?」
クロマは反対した少年を見つめる。
(裏切り…?それを正す為の、躾…?)
クロマは呆然と考えていた。
少年は暴力に怯えた目で、クロマに助けを求めていた。
しかし、
「貴様は、悪だ。」
クロマは言い、その少年を思い切り殴るのであった。
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