5 / 5
3話 後編
しおりを挟む
そこは浜辺で波の音を聞きながら僕は彼女が来るのを待っていた。
しばらくすると浜辺の入り口から彼女の姿が見えた。
そして彼女は口を開き、
「ーーーーーならきっと」
波の音で途切れ途切れに聞こえた彼女の言葉と同時に彼女は穏やかな笑顔で僕に微笑みかけた。
そんな彼女は僕に背を向け元来た場所へと戻ってしまった。
僕はそんな彼女を必死に追いかけるが、
「あっくん。 ねえ、あっくん。 あっくんってば 」
誰かが僕の名前を呼んでいる。
目を開けると見覚えのある顔が視界に映る。
「……沙希」
そうだ。 そういえば昨日突然、沙希が僕の元に現れたんだ。
沙希は長い髪を耳かけ穏やかに微笑んだ。
「おはようあっくん。 朝ご飯できてるよ」
「朝ごはん?」
そういえば確かに味噌汁の香ばしい匂いがする。
ベッドから体を起こすとテーブルの上にできたての朝食が置かれていた。
その横にいる沙希に視線を移すと沙希は得意げな顔をした。
「さあさあ、お食べなさいあっくんや」
「おう……」
見た目はかなり美味しそうだ。
白飯、香ばしい匂いが香る豆腐とわかめの味噌汁とだし巻き卵。
そして焼き魚。
久しぶりにこんな朝食らしい朝食を見た木がする。
僕の冷蔵庫にこんなものあったのか?
と、一瞬不思議に思ったが昨日の夜、沙希と買い出しに行ったことを思い出した。
「どうしたのあっくん早く食べないと味噌汁冷めちゃうよ」
「あ、ああ」
さて、どうしたものか。
生前の沙希の料理といえばとても料理とはいえないようなものだった。
見た目は勿論、味も最悪だった。 原型を失うほど焦げた目玉焼きはこの世のものとは思えないものだった。
でもどうやら見た目は良くなったみたいだ。
ふぐっ。
僕がなかなか料理に手をつけないでいると沙希は無理やり僕の口へとだし巻き卵を突っ込んだ。
「おい沙希、いきなり何すんだよ……って美味い……」
「へっへーん言ったでしょー、私死んでから料理上達したの」
「あんなに料理下手くそだった沙希が……。 何人もの被害者を出した沙希が……」
「ちょっと失礼だよあっくん。 私頑張ったんだよ! ね、ご褒美ちょうだい!」
「ご褒美……?」
「うん、なでなでして」
沙希はそう言うと頭を差し出した。
いきなりのことで僕がうろたえていると沙希は長い髪を左耳にかけ上目遣いで、
「あっくん早くー」
と、僕を急かす。
「……バーカ、からかうな。 味噌汁冷めちまうだろ」
「えー、あっくんのケチ」
「ケチで結構だ」
「ふーん」
僕が言い返すと沙希は口を尖らした。
「なんだよ」
「別にー」
しばらくすると沙希はテレビ番組を見て笑っていた。
まったく怒ったり笑ったり、忙しいやつだ。
「ねえあっくん」
沙希は僕の方を振り返り、
「行きたいところがあるの」
と微笑んだ。
しばらくすると浜辺の入り口から彼女の姿が見えた。
そして彼女は口を開き、
「ーーーーーならきっと」
波の音で途切れ途切れに聞こえた彼女の言葉と同時に彼女は穏やかな笑顔で僕に微笑みかけた。
そんな彼女は僕に背を向け元来た場所へと戻ってしまった。
僕はそんな彼女を必死に追いかけるが、
「あっくん。 ねえ、あっくん。 あっくんってば 」
誰かが僕の名前を呼んでいる。
目を開けると見覚えのある顔が視界に映る。
「……沙希」
そうだ。 そういえば昨日突然、沙希が僕の元に現れたんだ。
沙希は長い髪を耳かけ穏やかに微笑んだ。
「おはようあっくん。 朝ご飯できてるよ」
「朝ごはん?」
そういえば確かに味噌汁の香ばしい匂いがする。
ベッドから体を起こすとテーブルの上にできたての朝食が置かれていた。
その横にいる沙希に視線を移すと沙希は得意げな顔をした。
「さあさあ、お食べなさいあっくんや」
「おう……」
見た目はかなり美味しそうだ。
白飯、香ばしい匂いが香る豆腐とわかめの味噌汁とだし巻き卵。
そして焼き魚。
久しぶりにこんな朝食らしい朝食を見た木がする。
僕の冷蔵庫にこんなものあったのか?
と、一瞬不思議に思ったが昨日の夜、沙希と買い出しに行ったことを思い出した。
「どうしたのあっくん早く食べないと味噌汁冷めちゃうよ」
「あ、ああ」
さて、どうしたものか。
生前の沙希の料理といえばとても料理とはいえないようなものだった。
見た目は勿論、味も最悪だった。 原型を失うほど焦げた目玉焼きはこの世のものとは思えないものだった。
でもどうやら見た目は良くなったみたいだ。
ふぐっ。
僕がなかなか料理に手をつけないでいると沙希は無理やり僕の口へとだし巻き卵を突っ込んだ。
「おい沙希、いきなり何すんだよ……って美味い……」
「へっへーん言ったでしょー、私死んでから料理上達したの」
「あんなに料理下手くそだった沙希が……。 何人もの被害者を出した沙希が……」
「ちょっと失礼だよあっくん。 私頑張ったんだよ! ね、ご褒美ちょうだい!」
「ご褒美……?」
「うん、なでなでして」
沙希はそう言うと頭を差し出した。
いきなりのことで僕がうろたえていると沙希は長い髪を左耳にかけ上目遣いで、
「あっくん早くー」
と、僕を急かす。
「……バーカ、からかうな。 味噌汁冷めちまうだろ」
「えー、あっくんのケチ」
「ケチで結構だ」
「ふーん」
僕が言い返すと沙希は口を尖らした。
「なんだよ」
「別にー」
しばらくすると沙希はテレビ番組を見て笑っていた。
まったく怒ったり笑ったり、忙しいやつだ。
「ねえあっくん」
沙希は僕の方を振り返り、
「行きたいところがあるの」
と微笑んだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!
貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。
隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり
鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。
でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。
あなたと妹がキモ……恐いので、婚約破棄でOKです。あ、あと慰謝料ください。
百谷シカ
恋愛
「妹が帰って来たので、今日はこれにて。また連絡するよ、ルイゾン」
「えっ? あ……」
婚約中のティボー伯爵令息マルク・バゼーヌが、結婚準備も兼ねた食事会を中座した。
理由は、出戻りした妹フェリシエンヌの涙の乱入。
それからというもの、まったく音沙汰ナシよ。
結婚予定日が迫り連絡してみたら、もう、最悪。
「君には良き姉としてフェリシエンヌを支えてほしい。婿探しを手伝ってくれ」
「お兄様のように素敵な方なんて、この世にいるわけがないわ」
「えっ? あ……ええっ!?」
私はシドニー伯爵令嬢ルイゾン・ジュアン。
婚約者とその妹の仲が良すぎて、若干の悪寒に震えている。
そして。
「あなたなんかにお兄様は渡さないわ!」
「無責任だな。妹の婿候補を連れて来られないなら、君との婚約は破棄させてもらう」
「あー……それで、結構です」
まったく、馬鹿にされたものだわ!
私はフェリシエンヌにあらぬ噂を流され、有責者として婚約を破棄された。
「お兄様を誘惑し、私を侮辱した罪は、すっごく重いんだからね!」
なんと、まさかの慰謝料請求される側。
困った私は、幼馴染のラモー伯爵令息リシャール・サヴァチエに助けを求めた。
彼は宮廷で執政官補佐を務めているから、法律に詳しいはず……
婚約した幼馴染の彼と妹がベッドで寝てた。婚約破棄は嫌だと泣き叫んで復縁をしつこく迫る。
佐藤 美奈
恋愛
伯爵令嬢のオリビアは幼馴染と婚約して限りない喜びに満ちていました。相手はアルフィ皇太子殿下です。二人は心から幸福を感じている。
しかし、オリビアが聖女に選ばれてから会える時間が減っていく。それに対してアルフィは不満でした。オリビアも彼といる時間を大切にしたいと言う思いでしたが、心にすれ違いを生じてしまう。
そんな時、オリビアは過密スケジュールで約束していたデートを直前で取り消してしまい、アルフィと喧嘩になる。気を取り直して再びアルフィに謝りに行きますが……
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
【完結】大好きなあなたのために…?
月樹《つき》
恋愛
私には子供の頃から仲の良い大好きな幼馴染がいた。
2人でよく読んだ冒険のお話の中では、最後に魔物を倒し立派な騎士となった男の子と、それを支えてきた聖女の女の子が結ばれる。
『俺もこの物語の主人公みたいに立派な騎士になるから』と言って、真っ赤な顔で花畑で摘んだ花束をくれた彼。あの時から彼を信じて支えてきたのに…
いつの間にか彼の隣には、お姫様のように可憐な女の子がいた…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる