死んだ幼馴染が僕の元へと帰って来ました

淳平

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3話 前編

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 「ねえあっくん。 この辺スーパーとかない? ほしいものがあるんだよね」

 散歩の途中、沙希がそう言いだし近所のスーパーへ寄ることになった。
 何やら沙希は欲しいものがあるらしい。
 思えば昔から沙希にはよく付き合わされた。
 それこそ小さい頃からだ。
 半ば強引に色々なところに連れてかれたものだ。
 春には近所の公園に花見へ、夏には夏祭りへ、秋は少し休んで冬にはよく雪合戦をして遊んだものだ。
 そんな僕たちにも当然、思春期というものがあってお互いにお互いの存在が時に恥ずかしくなる瞬間があった。
 それに気付くきっかけとなったのは周囲の存在だった。
 中学生になり、話題の多くが異性のことになる頃周りのみんなはやはり異性に対して敏感になっていた。
 やれ誰々が付き合ったとか別れたとかそんな話題でクラスは持ちきりだった。
 だから僕たちが注目されるのはごく自然なことだった。
 僕と沙希はそれまで毎朝一緒に登校し、学校でも共に過ごすことが多かったからだ。
 そんな僕たちは自然とみんなの注目の的になった。
 最初は冷やかされてもなんとも思わなかったのだが、次第に周りも盛り上がっていき無視できないものになっていた。
 先に意識し始めたのは僕の方だった。

「お前らって付き合ってるの?」
「お似合いのカップルだな、羨ましいぜ」
「どこまでいったんだ?」

 と、毎日のように言われ気が滅入っていた。
 それと同時にモヤモヤとした気持ちが渦巻いていた。
 それは沙希のことを考えると起こる現象だった。
 確かにそれまで沙希を、女子をそういう風に見たことがなかった。
 モヤモヤした気持ちを抱えてから僕は次第に沙希を避けるようになった。
 そして沙希もまた僕を避けるようになった。

「おおー、いい感じに寂れてるねここのスーパー」

 沙希の声にハッと我に帰る。
 どうやらいつの間にか目的地に到着していたようだ。
 外観からして昭和の空気が漂う老舗のスーパー。
 少しばかり寂れていても学生が多いこの辺では貴重な店であることは変わりない。

「あっくんは大体ここで買い物するの?」
「まあな。 といっても自炊してたのは上京してから最初の1カ月だけだから最近はまったく来てないな」
「ふーん、普段何食べてるの?」
「外食かコンビニ弁当」
「だめ!」
「へ?」
「だめだよあっくん。 ちゃんとしたもの食べなきゃ」

 突然沙希が声を張ったので思わず僕は目を丸くした。
 沙希はそう言うと何故か誇らしげな顔をして続けた。

「仕方ないからしばらく私がご飯を作ってあげましょう」
「いやいいよ。 悪いし」
「ううん、だめ。 あっくんには拒否権ないから。 私に任せてよ」

 そう言って沙希はニヤリと笑い俺の手を取った。

「ということで食材買いに行くよ」

 沙希は嬉しそうにスーパーの出入り口へと僕を誘導する。
 やっぱり僕はこうやって沙希に振り回されることが多い。
 この強引さにいつも僕は負けていた。
 ただそれも懐かしく愛おしいと感じている自分がいた。
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