ツンデレ妹とヤンデレ妹に愛されすぎて困ってます!

淳平

文字の大きさ
24 / 27

11話「妹たちと運動会」 前編

しおりを挟む
 すっかり秋も深まってきた10月の中旬。
 読書の秋、食欲の秋、運動の秋……と、まあ秋と言えば色々あるわけで。
 俺は今、愛する我が妹たちの運動会を見に来ている。
 愛する我が妹たちが活躍する姿を一目見ようと俺はビデオカメラ片手に、親バカな保護者のごとく猛烈に張り切っていた。
 そんな俺の隣には……

「ほら! ほら、あそこにちーちゃんが! あ、隣に茜たんもいるわよ! ちょっとあんた、ちゃんとカメラ回してる? ちゃんと撮らないとただじゃおかないから!」
「うるせえな! シスコンな俺がそんな失態を犯すわけないだろうが。 さっきからお前の声ばっか拾ってんだよ! 俺の「愛しの妹ビデオ」のためにも少しは静かにしてくれ」
「くっ……そんなこと言われたら黙るしかないじゃない」

 レナはそう言うと反省したかのように口を閉じた。
 時は遡り一週間前、俺は妹たちに運動会にお招きされたのだった。
 中学生になった二人の晴れ舞台だ。 行かないわけがない。
 そんな浮かれた俺は思わずレナにそのことを話してしまったわけだ。
 例のごとくあることないことを言いふらすとレナに脅迫され仕方なくこうしてレナと我が愛しの妹たちの運動会を見に来たのである。

「陽兄~!」

 一連の騒ぎで俺たちのことに気付いた茜が笑顔で手を振ってきた。
 赤いハチマキを額に着けた茜。 小学生のような幼さが残る笑顔。
 我が妹ながら……いや我が妹よ、可愛すぎる。
 思わず大声で茜と智咲の名前を叫び手を振った。
 笑顔で応える茜。 勿論可愛い。 その隣で恥ずかしそうにこっちを睨む智咲。 くっそ可愛い。

「ちょっとあんた、レナには静かにしろって言っておいて何よそれ。 ……「ちーあか」可愛いから許すけど」

 何だよ「ちーあか」って。 あ、智咲と茜のことか。 ……なんだその名づけ方。 単純すぎるだろ。
 開会式が終わり、恒例のラジオ体操が終わり、徒競走が始まった。
 茜と智咲の出番は借り物競争、二人三脚、クラス別リレーだ。
 だから妹たちの出番ではない今は休憩時間みたいなものだ。
 俺は一旦カメラを止め、ビニールシートに腰を下ろした。

「しばらくは休戦ってことね」
「お前な、これは戦争じゃねえんだよ」
「戦争みたいなもんよ。 一秒でも長く妹ちゃんの姿を目に焼きつけたいじゃない。 瞬きする暇さえだってないわよ。 だから今のうちに体を休ませないといけないわ」
「お前な……確かにそうだな」

 俺とレナは拳を握り、戦に備えることにした。

「おーい、陽ちゃーん」

 背後から名前を呼ばれ握っていた拳を解き振り返るとそこには菜摘の姿があった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ヤンデレ男子の告白を断ってから毎日家の前で待ち伏せされるようになった話

チハヤ
恋愛
「告白の返事を撤回してくれるまで帰らない」と付きまとわれても迷惑なので今日こそ跳ねのけようと思います――。 ヤンデレ男子×他に好きな人がいるヒロインのとある冬の日の出来事。 メリバです。

冗談のつもりでいたら本気だったらしい

下菊みこと
恋愛
やばいタイプのヤンデレに捕まってしまったお話。 めちゃくちゃご都合主義のSS。 小説家になろう様でも投稿しています。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?

玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。 ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。 これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。 そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ! そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――? おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!? ※小説家になろう・カクヨムにも掲載

ストーカーから逃げ切ったつもりが、今度はヤンデレ騎士団に追われています。

由汰のらん
恋愛
ストーカーから逃げていたある日、ハルは異世界に召喚されてしまう。 しかし神官によれば、どうやらハルは間違って召喚された模様。さらに王子に盾ついてしまったことがきっかけで、ハルは国外追放されてしまう。 さらに連行されている道中、魔族に襲われ、ハルの荷馬車は置き去りに。 そのさなか、黒い閃光を放つ騎士が、ハルに取引を持ちかけてきた。 「貴様の血を差し出せ。さすれば助けてやろう。」 やたら態度のでかい騎士は、なんとダンピールだった! しかしハルの血が特殊だと知った騎士はハルを連れ帰って? いっそ美味しい血と癒しを与えるダンピール騎士団のセラピストを目指します!

彼氏がヤンデレてることに気付いたのでデッドエンド回避します

恋愛
ヤンデレ乙女ゲー主人公に転生した女の子が好かれたいやら殺されたくないやらでわたわたする話。基本ほのぼのしてます。食べてばっかり。 なろうに別名義で投稿しています。 かなり昔に書いたものなので今と芸風(?)が違うのですが、楽しんでいただけると嬉しいです。 一部加筆修正しています。 2025/9/9完結しました。ありがとうございました。

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...