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8話「妹たちと動物園」
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「陽兄、ちーちゃん、早くー!」
「もう、茜待ちなさい!」
俺と智咲を置いてそそくさと先を行く茜。
それもそのはず、今日は妹たちが前から楽しみにしていた動物園に来ているのだ。
あくまでも妹たちの学校の宿題である写生が目的であるが。
「見て見て陽兄~! キリンさんのスタンプ!」
そう言って俺にスタンプを見せてくる茜。
パンフレットの最後のページに設けられた、入場スタンプを押された場所を無邪気に俺に見せてくる。
まったく、まるで小学生のような無邪気さだな。
まったく最高に可愛いぜ。
「見て見て兄さん! ペンギンさんのスタンプ!」
珍しく無邪気に笑ってスタンプを見せびらかしてくる智咲。
「へえー、可愛いなそれ」
「えへへー。 可愛いでしょー」
可愛いのはお前だ智咲。
そういえば智咲は動物とかぬいぐるみとか可愛いものが大好きだっけ。
「ほら、兄さんはライオンさんのスタンプだぞ~」
そう言って俺は無邪気に妹たちにスタンプを見せびらかした。
「ぷっ、兄さん子供ねー」
「おー、無邪気な陽兄可愛い」
煽るように笑う智咲と何故か感心したかのようにウンウンと頷く茜。
なんか急に恥ずかしくなってきた……
「そ、そんなことより写生だ写生! 動物さんたち見に行くぞ!」
そう言って俺は妹たちを連れて園内の散策を始めた。
猿、ゴリラ、キリン、ペンギンの順で俺たちは園内を見て回った。
「お前たちどの動物を描くか決まったか?」
一旦ベンチに座り休憩を取り、俺は二人に尋ねた。
「うん、茜はキリンさん描く!」
「私は勿論ペンギンさん!」
そう元気よく答える茜と智咲。
「そうか。 なら描いてこい。 俺はここで休憩してるから」
「「はーい!」」
二人はそう言うと写生をする為、各々目的の動物の元へと移動した。
……さてと、俺は寝るとするか。
今日は朝っぱらから妹たちに無理やり起こされてあまり寝てなかったからな。
そう思い俺は少しの間仮眠をとることにした。
*
「……ねえ、ちょっと起きなさいよ」
誰かが俺に語りかけてくる。
それと同時に体を揺らされる。
茜か智咲か?
寝ぼけて誰の声なのか分からない。
一体誰だ俺の眠りを邪魔するやつは。
目を開けるとそこには思わず目を覚ますほどの美少女が立っていた。
俺がその姿を確認した矢先、美少女が俺の顔にめがけて拳を振りかざした。
殴られる。 と、思ったが美少女の拳は俺の頬から数センチのところで静止した。
「あ、あのう……これは一体……?」
突然の出来事で意味がわからない。
なんで昼寝をしていただけなのに謎の美少女に手を上げられそうになっているんだ?
「そのベンチは私のものよ」
物凄い鬼の形相で俺を睨みそんな理不尽なことを言う謎の美少女。
金髪ツインテールでネコ目で整った顏のパーツ。
そんな美少女に睨まれるのは不思議と悪い気がしない。
「い、言ってる意味が……」
「とにかくそこどいて」
言われるがままに俺はベンチから離れた。
「よろしい。 ちゃんと言うこときけるじゃない。 褒めてあげるわ」
美少女はそう言って俺が座っていたところに座った。
……てかこいつさっきから偉そうだけど絶対俺より年下だよな。
身長も妹たちと同じくらいだし……
「何じっとこっち見てるのよ。 変態」
俺の視線にそんな言葉を向ける美少女。
失礼すぎるだろこいつ。
もう我慢ならん。
「黙って聞いてれば何だよお前初対面の相手に失礼すぎるだろ! それに俺は変態じゃねえ!」
「あら失礼。 ど変態さん。 これでいいかしら?」
そう言って実に憎らしいドヤ顔で俺を卑下する美少女。
「……お前なあ!」
と、俺が怒鳴った矢先、黒い紳士服を着た老人が俺たちに向かって近づいてきた。
「レナお嬢様、何事でございますか?」
少し痩せた紳士服を着た老人は怪訝そうに俺の顔を見ながら話す。
おそらくこの老人は執事なのだろう。
「何でもないわ。 ていうかこの時間はついてこないでって言ったじゃない」
「そうですか。 いえ、でもレナお嬢様にもしものことがあった場合私の面目が……」
「前にも言ったけど、この時間は邪魔しないで。 わかった? 今すぐ帰らないとしげ爺がうちの壺を割ったことお父さんにいいつけるから。 あの壺確か何百万円したっけなぁ」
「くふぅ……あまり羽目を外さないで下さいね! 不審な人物にはくれぐれもお気をつけください」
そう言ってしげ爺は俺を一瞥し、俺たちの前から去っていった。
「あれ、あんたまだいたんだ」
不思議そうな顔をして俺を見る美少女。
「……まあな。 ……ていうかお前なんでそんなにそのベンチにこだわってるんだ?」
「別に。 あんたには関係ないでしょ」
「まあ、そうだな」
それからしばらく沈黙が続いた。
そろそろ妹たちの様子でも見に行こうかと思い移動しようとした矢先、レナの声が響いた。
「リンちゃんきたああああ! かんわうぃいいいい!」
歓声の先に現れたのは一頭のホッキョクグマだった。
まさにベンチから見て正面に檻があり、絶好の眺めだ。
それにしてもさっきとは別人のテンションだなこいつ。
レナは檻の間近まで行き、舐めるようにリンちゃんを眺めている。
「へー、可愛いなあのホッキョクグマ」
「あったりまえでしょ! リンちゃんはこの動物園のアイドルなんだから!」
目をキラキラさせてリンちゃんを語る美少女。
まったくさっきまでのテンションとは違う。
「なるほど。 リンちゃんを見るためにこのベンチで待機してたってことか」
「そーよ、悪い? もうリンちゃん可愛いわ~。 モフモフしたい~」
「なるほどな。 理不尽でわがままなだけのやつかと思ったけど、案外可愛いとこあるんだなお前」
俺がそう言うとレナは俺の方を振り返り、
「レナが可愛いのは知ってるから」
と、ドヤ顔で言い放った。
ぐっ……なんかムカつくけど可愛い……
「陽兄~、絵描けた~」
茜の声がして声が聞こえる方を見ると茜がこちらへと向かって来ていた。
他の女の子といるところを茜に見られたら面倒なことになりそうだな……
「じゃあ俺行くわ。 またなレナ」
「またなって多分もう会わないわよ。 会いたくもないけど」
「あー、そーかよ。 とりあえずじゃあな」
俺はそう言って妹たちの元へと戻った。
翌日、急遽転校生が俺のクラスにやって来た。
……もしかしたら俺が立てたフラグなのかもしれない。
その転校生とはレナだったのだ……
「もう、茜待ちなさい!」
俺と智咲を置いてそそくさと先を行く茜。
それもそのはず、今日は妹たちが前から楽しみにしていた動物園に来ているのだ。
あくまでも妹たちの学校の宿題である写生が目的であるが。
「見て見て陽兄~! キリンさんのスタンプ!」
そう言って俺にスタンプを見せてくる茜。
パンフレットの最後のページに設けられた、入場スタンプを押された場所を無邪気に俺に見せてくる。
まったく、まるで小学生のような無邪気さだな。
まったく最高に可愛いぜ。
「見て見て兄さん! ペンギンさんのスタンプ!」
珍しく無邪気に笑ってスタンプを見せびらかしてくる智咲。
「へえー、可愛いなそれ」
「えへへー。 可愛いでしょー」
可愛いのはお前だ智咲。
そういえば智咲は動物とかぬいぐるみとか可愛いものが大好きだっけ。
「ほら、兄さんはライオンさんのスタンプだぞ~」
そう言って俺は無邪気に妹たちにスタンプを見せびらかした。
「ぷっ、兄さん子供ねー」
「おー、無邪気な陽兄可愛い」
煽るように笑う智咲と何故か感心したかのようにウンウンと頷く茜。
なんか急に恥ずかしくなってきた……
「そ、そんなことより写生だ写生! 動物さんたち見に行くぞ!」
そう言って俺は妹たちを連れて園内の散策を始めた。
猿、ゴリラ、キリン、ペンギンの順で俺たちは園内を見て回った。
「お前たちどの動物を描くか決まったか?」
一旦ベンチに座り休憩を取り、俺は二人に尋ねた。
「うん、茜はキリンさん描く!」
「私は勿論ペンギンさん!」
そう元気よく答える茜と智咲。
「そうか。 なら描いてこい。 俺はここで休憩してるから」
「「はーい!」」
二人はそう言うと写生をする為、各々目的の動物の元へと移動した。
……さてと、俺は寝るとするか。
今日は朝っぱらから妹たちに無理やり起こされてあまり寝てなかったからな。
そう思い俺は少しの間仮眠をとることにした。
*
「……ねえ、ちょっと起きなさいよ」
誰かが俺に語りかけてくる。
それと同時に体を揺らされる。
茜か智咲か?
寝ぼけて誰の声なのか分からない。
一体誰だ俺の眠りを邪魔するやつは。
目を開けるとそこには思わず目を覚ますほどの美少女が立っていた。
俺がその姿を確認した矢先、美少女が俺の顔にめがけて拳を振りかざした。
殴られる。 と、思ったが美少女の拳は俺の頬から数センチのところで静止した。
「あ、あのう……これは一体……?」
突然の出来事で意味がわからない。
なんで昼寝をしていただけなのに謎の美少女に手を上げられそうになっているんだ?
「そのベンチは私のものよ」
物凄い鬼の形相で俺を睨みそんな理不尽なことを言う謎の美少女。
金髪ツインテールでネコ目で整った顏のパーツ。
そんな美少女に睨まれるのは不思議と悪い気がしない。
「い、言ってる意味が……」
「とにかくそこどいて」
言われるがままに俺はベンチから離れた。
「よろしい。 ちゃんと言うこときけるじゃない。 褒めてあげるわ」
美少女はそう言って俺が座っていたところに座った。
……てかこいつさっきから偉そうだけど絶対俺より年下だよな。
身長も妹たちと同じくらいだし……
「何じっとこっち見てるのよ。 変態」
俺の視線にそんな言葉を向ける美少女。
失礼すぎるだろこいつ。
もう我慢ならん。
「黙って聞いてれば何だよお前初対面の相手に失礼すぎるだろ! それに俺は変態じゃねえ!」
「あら失礼。 ど変態さん。 これでいいかしら?」
そう言って実に憎らしいドヤ顔で俺を卑下する美少女。
「……お前なあ!」
と、俺が怒鳴った矢先、黒い紳士服を着た老人が俺たちに向かって近づいてきた。
「レナお嬢様、何事でございますか?」
少し痩せた紳士服を着た老人は怪訝そうに俺の顔を見ながら話す。
おそらくこの老人は執事なのだろう。
「何でもないわ。 ていうかこの時間はついてこないでって言ったじゃない」
「そうですか。 いえ、でもレナお嬢様にもしものことがあった場合私の面目が……」
「前にも言ったけど、この時間は邪魔しないで。 わかった? 今すぐ帰らないとしげ爺がうちの壺を割ったことお父さんにいいつけるから。 あの壺確か何百万円したっけなぁ」
「くふぅ……あまり羽目を外さないで下さいね! 不審な人物にはくれぐれもお気をつけください」
そう言ってしげ爺は俺を一瞥し、俺たちの前から去っていった。
「あれ、あんたまだいたんだ」
不思議そうな顔をして俺を見る美少女。
「……まあな。 ……ていうかお前なんでそんなにそのベンチにこだわってるんだ?」
「別に。 あんたには関係ないでしょ」
「まあ、そうだな」
それからしばらく沈黙が続いた。
そろそろ妹たちの様子でも見に行こうかと思い移動しようとした矢先、レナの声が響いた。
「リンちゃんきたああああ! かんわうぃいいいい!」
歓声の先に現れたのは一頭のホッキョクグマだった。
まさにベンチから見て正面に檻があり、絶好の眺めだ。
それにしてもさっきとは別人のテンションだなこいつ。
レナは檻の間近まで行き、舐めるようにリンちゃんを眺めている。
「へー、可愛いなあのホッキョクグマ」
「あったりまえでしょ! リンちゃんはこの動物園のアイドルなんだから!」
目をキラキラさせてリンちゃんを語る美少女。
まったくさっきまでのテンションとは違う。
「なるほど。 リンちゃんを見るためにこのベンチで待機してたってことか」
「そーよ、悪い? もうリンちゃん可愛いわ~。 モフモフしたい~」
「なるほどな。 理不尽でわがままなだけのやつかと思ったけど、案外可愛いとこあるんだなお前」
俺がそう言うとレナは俺の方を振り返り、
「レナが可愛いのは知ってるから」
と、ドヤ顔で言い放った。
ぐっ……なんかムカつくけど可愛い……
「陽兄~、絵描けた~」
茜の声がして声が聞こえる方を見ると茜がこちらへと向かって来ていた。
他の女の子といるところを茜に見られたら面倒なことになりそうだな……
「じゃあ俺行くわ。 またなレナ」
「またなって多分もう会わないわよ。 会いたくもないけど」
「あー、そーかよ。 とりあえずじゃあな」
俺はそう言って妹たちの元へと戻った。
翌日、急遽転校生が俺のクラスにやって来た。
……もしかしたら俺が立てたフラグなのかもしれない。
その転校生とはレナだったのだ……
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