俺と彼女とタイムスリップと

淳平

文字の大きさ
30 / 54

25話「体育祭」中編

しおりを挟む
「じゃあ行くよ淳一くん」
「ああ」
「って、うわぁ!」

 俺と相川は言ったそばからその場でこけた。

「痛てて、ちょっと頼むよ淳一くん。 ちゃんと息を合わせないとさあ」
「は? 俺のせいかよ!」
「いや、だって僕が左足から出してるのに淳一くんも左足から出してたでしょ。 そりゃ転ぶよ~」
「ちっ。 悪かったよ。 もう一回やればいいだろ。 もう一回」

 今、俺と相川は二人三脚の練習をしている。 グラウンドの隅っこでだ。 グラウンドは放課後、主に運動部が使うので隅っこで練習するしかない。
 さっき陸上部である石田が俺たちの前をニヤニヤ笑いながら走っていった。 あの野郎、あとで覚えておけよ……

「ちゃんとしてよね。 まったく……淳一くんのせいで唯ちゃんにカッコ悪いとこ見せちゃうのだけは避けたいんだからね」
「確かにさっきのは俺が悪かったけどよ、お前さ……走る時の息やばいぞ。 ハアハア言いすぎ。 男の俺でもドン引いたわ」
「そ、それは仕方ないじゃないか! 僕は本当はそんなに体力ある方じゃないのだよ!」
「お前よくそんなんでリレー出ようとか思ったな!」

 しかも体育祭委員をやるという……なんとも身の程知らずな……

「ふふふ、全ては唯ちゃんにカッコいいところを見せるために決まってるじゃないか!」

 相川はキメ顔でそう答える。
 なんだこいつ……俺と同じ発想じゃねえか……

「なんだそりゃ。 単純だなお前」
「ふふふ、そうかもしれないね」

 しばらく練習すると大分形になってきた。 相変わらずコミュケーション不足もあり、出す足を間違えたり、相川の息遣いに引いたりはしたのだが。

「あ、唯だ」
「え、何だって!?」

 俺がそう言うと相川はあたりを見回した。
 唯は部活が終わったらしく、空手部の部室から出てきたところだった。

「おーい、唯ちゃーん!」

 相川が唯に向かって叫ぶ。 唯との距離は100メートルくらいあり、声は聞こえなかったようで反応はない。
 すると相川は突然走り始めた。 勿論唯の方へと向かって。 
 …………と言ってもまだ足を互いに結んでいるため、数歩でこけたのだが。

「痛った! もう淳一くん僕が走るってわからないかな? すぐそこに愛しの唯ちゃんがいるのに!」
「あほか! 普通いきなり走るとは思わんだろうが! それにお前走ると息やばいぞ。 唯に嫌われるぞ」
「ぐっ……まあそれは……ね。 ってそれ唯ちゃんに絶対言わないでくれよ?」
「さあ、どうするかな」
「淳一くん! 君ってやつは……!!」

「淳一と相川くん、何やってるの?」

 後ろを振り返るとそこには空手着姿の唯がいた。 空手着姿の唯、久々に見たけどこれもこれで超かわいい。

「やあ唯ちゃん! 淳一くんとは二人三脚に向けて練習してるんだー! ね、淳一くん!」

 相川はそう同意を求めるように俺を見た。
 こいつ切り替え早えな……

「……ああ、まあな」

 俺がそう言うと唯は「へえー」意外そうな顔をした後笑顔で、

「二人とも仲良いのね! 頑張ってね淳一、相川くん!」

 そう言って帰っていった。

「だってさ。 仲良く頑張ろうね! 淳一くん!」
「うっせ」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら

普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。 そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ニュクスの眠りに野花を添えて

獅子座文庫
恋愛
過去のトラウマで人前で声が出せなくなった伯爵令嬢ラニエラ・アンシルヴィアは辺境の男爵、オルテガ・ルファンフォーレとの政略結婚が決まってしまった。 「ーーあなたの幸せが此処にない事を、俺は知っています」 初めて会った美しい教会で、自身の為に一番美しく着飾った妻になる女の、真っ白なヴェールを捲る男は言う。 「それでもあなたには此処にいてもらうしかない」 誓いの口づけを拒んだその口で、そんな残酷なことを囁くオルテガ。 そしてラニエラの憂鬱な結婚生活が始まったーーーー。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが

霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちだというのに。 入社して配属一日目。 直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。 中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。 彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。 それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。 「俺が、悪いのか」 人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。 けれど。 「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」 あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。 相手は、妻子持ちなのに。 星谷桐子 22歳 システム開発会社営業事務 中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手 自分の非はちゃんと認める子 頑張り屋さん × 京塚大介 32歳 システム開発会社営業事務 主任 ツンツンあたまで目つき悪い 態度もでかくて人に恐怖を与えがち 5歳の娘にデレデレな愛妻家 いまでも亡くなった妻を愛している 私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?

処理中です...