俺と彼女とタイムスリップと

淳平

文字の大きさ
31 / 54

25話「体育祭」後編その1

しおりを挟む
 相川と二人三脚をやることが決まってから二週間。
 あれから俺はというと放課後は大抵、相川と二人三脚の練習をしていた。
 まったく、これが無ければ相川となんて一秒たりとも一緒にいたくない。 ただ、唯の前でカッコいいとこを見せたいという互いの利害の一致で仕方なく付き合ってるだけだ。
 勘違いするなよ?

 そんなこんなで二週間が過ぎ(もちろんバンドの練習もしてるぞ)10月2日の今日は体育祭当日である。
 唯は体育祭委員の仕事があり、いつもより朝早く学校へ向かったため今朝は迎えに来なかった。
 俺もそろそろ行くかと玄関を出ようとすると母さんに声をかけられた。

「淳一、これ持ってきなさい」

 何だろうと母さんが渡してきたものを見るとそれは母さんが作ったであろう弁当だった。
 懐かしい母さんの弁当。 あれなんか泣きそう。

「ん。 んじゃ行ってくる」
「ああ、あとで唯ちゃんのお母さんと見に行くからちゃんと頑張るのよ」
「え、いいって見に来なくて!」
「残念。 行きますうー。 ビデオも撮るから頑張りなさい! 唯ちゃんとの結婚披露宴用に取るんだから!」
「あほか。 行ってきます」

 そう言って俺は家を後にした。
 そういえば高校は行ってから写真とか取らなくなったな。 中学卒業時に母さんと一緒に撮ったのは覚えてる。 それ以降はまったくと言っていいほど撮らなくなった。 そういう想い出に残るような写真を。
 俺自身、写真を撮られるのが恥ずかしくて苦手だってのもあったが、なんか面倒くさかったんだよな。
 まあ今もそうだけど。

 そんなことを考えているといつの間にか学校に到着していた。
 グラウンドには競技用のラインが引かれていたり、来賓席や保護者席、各々のクラスの席が用意されており、完全に体育祭仕様になっていた。
 今日は雲一つない青空で絶好の体育祭日和だと言えるだろう。 もう夏でもないのに日差しが強く既に汗をかいてしまう。

 俺のクラス席へと向かうとそこにはクラスメイトの殆どがもう着席していた。

「おーっす、淳一。 これ付けろ」

 石田が俺を見つけるなりハチマキを渡してきた。

「サンキュー」

 俺はさっそくハチマキを頭に巻いた。 体育祭ではこのハチマキをつけることが義務づけされている。
 ハチマキはクラス別に色が違っていて俺のクラスは赤だった。 まあいわゆる赤組ってやつだ。

 開会式が終わり、全校で一斉にラジオ体操を行なった。
 俺の学校の体育祭ではまずラジオ体操をやることになっている。 その後にそれぞれの競技に移る。

「まずは、1年生による玉入れです。 1年生の皆さんは準備してください」

 体育祭委員である唯がメガフォンを使い指示をする。
 ……頑張って委員の仕事をする唯もやっぱり最高に可愛いぜ……

 1年生の玉入れが終わり、その後2年生の綱引き、3年生の長縄と団体競技が続いた。
 そして団体競技の後個人競技に移り、女子によるクラス別リレーへと移った。

「おい淳一! 女子のリレー始まるぞ! 最前列で見ようぜ!」

 と石田が話す。 
 そう話すこいつの思惑は……
 走ってる体操着姿の女子の胸を最前列で見ることだ。 
 どうやら他の奴らも同じことを考えてるらしく応援席の最前列は男子で埋まっていく。
 本当に高校生ってガキだな……
 と言いながらも俺も最前列へと向かった。
 リレーには唯も出るのだ。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

お兄ちゃんはお兄ちゃんだけど、お兄ちゃんなのにお兄ちゃんじゃない!?

すずなり。
恋愛
幼いころ、母に施設に預けられた鈴(すず)。 お母さん「病気を治して迎えにくるから待ってて?」 その母は・・迎えにくることは無かった。 代わりに迎えに来た『父』と『兄』。 私の引き取り先は『本当の家』だった。 お父さん「鈴の家だよ?」 鈴「私・・一緒に暮らしていいんでしょうか・・。」 新しい家で始まる生活。 でも私は・・・お母さんの病気の遺伝子を受け継いでる・・・。 鈴「うぁ・・・・。」 兄「鈴!?」 倒れることが多くなっていく日々・・・。 そんな中でも『恋』は私の都合なんて考えてくれない。 『もう・・妹にみれない・・・。』 『お兄ちゃん・・・。』 「お前のこと、施設にいたころから好きだった・・・!」 「ーーーーっ!」 ※本編には病名や治療法、薬などいろいろ出てきますが、全て想像の世界のお話です。現実世界とは一切関係ありません。 ※コメントや感想などは受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 ※孤児、脱字などチェックはしてますが漏れもあります。ご容赦ください。 ※表現不足なども重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけたら幸いです。(それはもう『へぇー・・』ぐらいに。)

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ニュクスの眠りに野花を添えて

獅子座文庫
恋愛
過去のトラウマで人前で声が出せなくなった伯爵令嬢ラニエラ・アンシルヴィアは辺境の男爵、オルテガ・ルファンフォーレとの政略結婚が決まってしまった。 「ーーあなたの幸せが此処にない事を、俺は知っています」 初めて会った美しい教会で、自身の為に一番美しく着飾った妻になる女の、真っ白なヴェールを捲る男は言う。 「それでもあなたには此処にいてもらうしかない」 誓いの口づけを拒んだその口で、そんな残酷なことを囁くオルテガ。 そしてラニエラの憂鬱な結婚生活が始まったーーーー。

月の後宮~孤高の皇帝の寵姫~

真木
恋愛
新皇帝セルヴィウスが即位の日に閨に引きずり込んだのは、まだ十三歳の皇妹セシルだった。大好きだった兄皇帝の突然の行為に混乱し、心を閉ざすセシル。それから十年後、セシルの心が見えないまま、セルヴィウスはある決断をすることになるのだが……。

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

黒騎士団の娼婦

星森
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

処理中です...