俺と彼女とタイムスリップと

淳平

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25話「体育祭」後編その2

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 唯は運動神経が良い。 だから当然足も速いわけで、リレーにも立候補したわけでもないのに皆から推薦されるほどだ。
 俺の幼馴染にしては出来すぎだと思うほど唯は優れた人なのだ。
 欠点などはあまりない。 強いて言うのであれば、胸が小さいところだ。
 神は全ては与えてくれなかったようで唯は平均の女子高生に比べて胸がかなり小さい。 もしかしたら太った男の方があるんじゃないだろうか。
 だが唯。 そう落ち込むことはないぞ。 俺は貧乳も好きだ。 控えめでいいじゃないか。 貧乳嫌いな男なんて見つけたら俺が殴ってやる。 まあ、もちろん巨乳も好きだ。

 そういえば昔、唯が貧乳で悩んでいた時があった。
 そうあれは中学二年の夏。

 俺と唯は夏休みの登校日の帰り道、通学路にある本屋に寄った。
 その日はとても暑い日で、家までその暑さに耐えられないと判断し、クーラーが効いているであろう本屋で涼もうとしたのだ。
 店内に入り、俺たちは各々店内を回っていった。
 俺は当時(今もだが)漫画しか読まないので、真っ先に漫画コーナーへと向かった。

 そして一通りコーナーを回ってそろそろ帰るかと思い、俺を唯を探すとことにした。
 その本屋は二階建ての本屋で一階は活字本とか雑誌とかが置いてあって、二階は漫画とかラノベとかが置いてあった。
 一階に戻ると、雑誌コーナーですぐ唯を見つけることができた。

「おい、唯。 そろそろ帰るぞ」

 と呼びかけても返事がない。
 どうやら本に夢中で俺の声には気付いていないようだ。
 一体何の本を読んでるんだろう。 そう思い俺は唯の背後から本を覗いた。
 表紙は普通の女子向け雑誌だな。 中身は何が書いてあるんだ?

「貧乳のあなたも今日から巨乳! 脱貧乳化体操!」

 中身を覗くとそう書かれた見出しの特集ページが載っていた。
 唯はそれを真剣な目で熟読している。

「ふーん、なるほどねー」

 と感心も持ちながら一生懸命その本を読んでいるのだ。
 その姿が可愛くも可笑しくもあって俺は耐えきれなくなって笑ってしまった。
 俺の笑い声に気付いた唯は後ろを振り返り、顔を真っ赤にしたと思うといきなり俺に腹パンを繰り出した。

「痛てえ! いきなり何すんだよ!」
「うるさいこのストーカー! いきなり私の後ろに立つな!」
「いや、ストーカーは違うだろ!」
「それより……見たの?」

 唯は恥ずかしそうに俺に問う。

「ぷっはははは! 見たよ。 まあ唯。 気にすることねえってー。 こういうのは個人差があ……」

 最後まで言う前にもう一度唯の腹パンを食らった。

「淳一のバカ! もう知らない!」

 そう言って唯は本屋から出ていった。
 案の定、それがあってから一週間は口をきいてくれなかった。

 そんなことを思い出した。
 唯は今でも貧乳を気にしているのだろうか。
 当時の俺はただただバカにしていたのだが。
 今だから言いたい。
 きっと女の子からしたら自分の体の問題だ。 きっと気になるデリケートな問題であろう。
 でも俺は思う。 貧乳に悩む女子達。 俺にとってはそういうことで悩んでることが可愛いと思うし、たまらなく愛しいと思うのだ。
 まあ、あるに越したことはないけどな。

 リレーが始まった。 唯はアンカーらしく待機をしていた。

「おー! 青組の山口、めっちゃ乳揺れてるぞ!」

 クラスのバカがそう叫ぶ。
 全くこいつは……と思いながらも俺も見てしまうのだが。

 リレーは接戦となり、赤組の俺たちと青組との僅かな差となっていた。

「うちのアンカーは誰だ?」
「安藤だよ」
「安藤かぁ。 あいつまな板だからなあ」
「青組は堤下じゃん! めっちゃ揺れるぞ!」
「堤下応援しようぜ!」

 クラスのバカがそんなことを話していた。
 さすが俺も我慢できなくなり、

「お前ら、乳はレースに関係ねえだろ! いくら唯が貧乳だからってクラスメイト応援しないでどうすんだ! いくら唯が貧乳だからってよ!」

 と怒鳴った。

「あ、ああ……悪い」
「そうだよないくら安藤が貧乳だからってな」

 クラスのバカたちは納得したようにそう言った。
 唯って一体……

「よーし、こうなったら全力で安藤応援しようぜ!」
「おーーー!」

 その後クラスの一丸となった応援の結果もあってか唯はトップで走りきった。
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