俺と彼女とタイムスリップと

淳平

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25話「体育祭」後編その4

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 昼休憩が終わり、午後の部が始まり男子、女子の徒競走が始まった。 この徒競走が終わったら次は俺が出る二人三脚だ。
 そろそろ準備するかなと思い、相川がいる体育祭委員の席へと向かった。
 体育祭委員の席に向かうとそこには相川がいた。 徒競走で懸命に走っている生徒たちを見ているようだが、ただボーッとしているようにも見える。
 いや……というよりこいつ固まってやがる!

「おい、相川。 そろそろ準備するぞ」

 と声を掛けても反応はない。 
 仕方ないので唯直伝の腹パンを……と思ったが可哀想なので膝かっくんをお見舞いした。

「うわっ! って何するんだよ淳一くん!」

 さすがに膝かっくんをされて相川は我に帰ったようだ。 いきなりのことに驚き後ろを振り返る。

「悪い悪い。 声掛けても反応ないからさ」
「……それにしても悪意が感じるんだけど」
「まあ気にすんな。 それよりお前さ」
「うん? どうしたの?」
「もしかしてめちゃくちゃ緊張してる?」

 俺が尋ねると相川は急に顔を赤くした。

「な、ななな!! そ、そんなわけないじゃないか!」

 なんだこいつ……わかりやすすぎるだろ!

「……まあいいや、とりあえず徒競走終わったら二人三脚だからよ、 準備しようぜ」
「あ、うん。 そうだね」

 二人三脚が始まるまでまだ時間があるため、俺たちは本番前の練習をすることにした。

「よし、じゃあいくぞ」
「……」

 俺が呼びかけても相川の返事はない。

「おい、相川! 聞こえてんのか?」

 声を張ってそう言うと相川はようやく気がついたようだ。

「ああ、ごめん。 何か言った?」
「……お前大丈夫か? 緊張しすぎだろ」
「な! だから緊張なんかしてないよ! ちょっとぼーっとしてただけだよ!」
「ぼーっとしてただけにしてはさっきから足震えてるぞお前」

 そう、相川の足はさっきから貧乏ゆすりレベルで震えていた。

「き、気のせいじゃないのかな?」

 気のせいじゃないかな?

 それからしばらく練習をし、俺たちは本番に備えた。
 徒競走が終わり、「二人三脚に出場する生徒は集まってください」というアナウンスが流れた。
 そこでようやく俺は緊張してきた。
 ……まあ相川は相変わらずぶるぶる震えてるのだが。
 息苦しいような、腹が痛いような緊張した時になるこの感覚。
 なんだか懐かしい。
 社会人時代にも緊張するタイミングはあったが、こんなに緊張しているのは久しぶりだ。
 この感覚を今では心地よいとも思える俺ってちょっと気持ち悪いな……

「……淳一くん……僕、ちょっと吐きそう……」

 相川の顔を見ると確かに顔色が悪く今にも吐きそうだった。

「大丈夫か? 保健室でも行くか?」

 さすがに体調悪い中、無理に競技をさせるわけにはいかないと思い、俺はそう提案した。
 しかし、相川は首を横に振った。

「ぎゃ……逆境の中でも……突き進むのが……ロックンロールだから……」

 今にも死にそうな声で相川は呟く。
 お前、かっこいいこと言ってるけどそれ死亡フラグにしか聞こえないぞ……

「あ! 淳一と相川くん!」

 声の主は唯だった。
 相川はさっきまでぐったりしていたのだが、唯に声をかけられた途端ピシッと姿勢を整えた。

「やあ、唯ちゃん! 相川哲治、唯ちゃんのために頑張るよ!」
「うん、頑張ってね相川くん!」
「おい、唯。 俺にも頑張れは?」
「淳一にはさっき言ったじゃない。 二人とも頑張ってね。 じゃあ私、応援席で見てるから」 

 唯はいつもにも増して笑顔でそう言った。
 そして唯は応援席へと戻っていった。

「淳一くん! 絶対一位になろうね!」

 こいつ……唯に応援されていきなり元気になりやがった……
 まあ、俺もだけどな! やっぱり唯パワーはすげえってことだ。
 ありがとな唯。

 そうして唯パワーもあり、俺と相川はぶっちぎりの一位でゴールした。
 ゴールした後、嬉しすぎてうっかり抱き合ってしまった。
 すぐ我に返ってお互い体を離したけど。
 危ない危ない。 あくまでも相川は敵なのだ。
 俺たちの活躍もあり赤組は青組と接戦だったが、破れてしまい二位という結果になった。 
クラスの何人かがよっぽど悔しかったらしく泣いていた。昔はそんやつら心の中でバカにしていたが、今回はそうは思わなかった。
きっと俺にも一生懸命になれるものがあるからだろうとそう思った。

 体育祭が終わり家に帰り、ベッドに横になり俺はふと思った。
 そういえば最近由夏の顔を見ていないなと。 そんなことを考えていた。
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