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30話「修学旅行」中編その2
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唯と淳一のことは中学の時から見てきたから、お互いがお互いをどう思っているかは分かっているつもりだ。
いや、当人たちは気付いていないかもしれないけど傍から見たらあれはもう夫婦だ。
聞けば、毎日のように登校を共にし昔からの付き合いで親公認だというではないか。
そんな二人を中学の時に一度だけからかったことがある。
「ほんっと唯と淳一は仲良いわねー、もう付き合っちゃえば?」
と、私が言ったら二人はまるで前もって打ち合わせをしてきたかのように息ぴったりで、
「「違うし! 誰がこんな男(女)!」」
と叫んだ。
あんたらは夫婦か! と突っ込みたくなるくらいに二人の息はぴったりだった。
まるで隣り合ってるジグソーパズルのピースみたいだった。
彼らはお互いに隣にいるべき存在だと思う。
その後、よせばいいのに淳一は「誰がこんなブス好きになるかよ」なんていつものように喧嘩を売っていた。
まあ、唯も唯でその喧嘩をいつものように買うんだけど。
でも、唯は怒りながらも一瞬だけ悲しそうな表情を見せた。
私、沢村奈津子は今でもあの時の唯の表情を忘れられない。
唯には幸せになってほしい。
それは唯にとっては私の傲慢なのかもしれないけれど。
唯とは全くそういう色恋沙汰の話はしないからもしかして私のことを頼りにされてないんじゃないかって思って、なんだかちょっぴり悔しい。
まあ、唯はあの性格だしただ単に恥ずかしいだけなのかもしれないけど。
うん、だからこそ淳一に頑張ってもらわなきゃな。
あの意気地なしがどこまでできるか分からないけど、私がやれることはやりたい。
*
唯との密会? から部屋に戻った後、眠りに落ちるまでかなりの時間を要した。
故に少し、いやかなり寝不足だ。
だってしょうがないだろ? 大好きな人と京都を観光できるんだぜ。
これほどまでに幸せなことなんてない。
あってたまるか。
しかも唯から誘ってくれた。
結果的にはお互いにだけど。
てかお互いにってなんだよ。
なんだそりゃ。
今思い出したら自分のしたことが恥ずかしくなってきた。
「なに枕に顔埋めてんだよ淳一」
石田の声ではっと我に返る。
「な、なんでもねえよ」
「ふーん、まあいいけどよ。 んなことより早く朝飯食べに行こうぜ。 バイキングだからめぼしいもんとられちまうぞ」
石田に急かされ俺は朝食を食べにホテルの一階へと移動した。
朝食を取った後、二日目の今日が自由行動であるためその場で解散、その場で自由行動ということになった。
俺は真っ先に唯の元へと向かおうとしたのだが、肝心な唯の姿がない。
唯のやつ、一体どこにいるんだ。
昔から唯は迷子になりやすいタイプというか、ほっといたらすぐどっかに行ってしまいそうな。
だからこそ11年前は相川に……
でも今度こそは離さない。 離してやるもんか。
そんなことを思いながら唯にメールを送った。
「唯、今どこにいる?」
そのメールの返信は1分も経たぬ間に返ってきた。
「ホテルの入り口のとこにいるよ」
なるほど、入り口か。
俺はすぐさまホテルの入り口へと急いだ。
*
ハーッと息を吐く。
すると冬が近づいてきているのか、吐いた息が白くなる。
そういえばそうだよなあ。 もう10月も終わるんだ。
冬の凛とした空気は好きだ。
寒いと感じたり暑いと感じるとなんだか私は今生きてるって感じがする。
寒すぎるのはちょっと苦手だけど。
私は今、ホテルの入り口で淳一が来るのを待っている。
さっきメールしたからきっともうすぐここに来ると思う。
昨日の夜のことを思い出すと自然と顔が熱くなる。
んーーーー、恥ずかしい。
バカ淳一、私がせっかく先に言ったのに横取りしてさ……嬉しいけど。
「あ、唯ここにいたんだ」
振り向くとそこには中学からの友達、奈津子がいた。
「う、うん」
「ふーん、今日の別行動、唯は誰かと行くの?」
「うん、一応……」
思えば奈津子とは親友といってもいいほど仲が良いけど、こういう話はしてなかったな。
私が恥ずかしくて言えなかったからだけど。
「お、やっぱ淳一?」
「うん……まあそう……」
私がそう言うと奈津子は一瞬唖然とした顔をした。
そしてすぐに笑顔になった。
「うっそ、まじで?! やったじゃん唯!」
「べ、別に~」
「いい加減素直になりなって。 まあ、私が出る幕なかったか」
「ん? 今なんて?」
「ううん、何でもない。 じゃあ私行くね。 唯、後で色々聞かせてよね」
奈津子はそう言うと、他の友達と出かけていった。
うん、今度は奈津子に対しても素直にならないとな。
大切な友達だもん。
……それにしても淳一遅いな。
いや、当人たちは気付いていないかもしれないけど傍から見たらあれはもう夫婦だ。
聞けば、毎日のように登校を共にし昔からの付き合いで親公認だというではないか。
そんな二人を中学の時に一度だけからかったことがある。
「ほんっと唯と淳一は仲良いわねー、もう付き合っちゃえば?」
と、私が言ったら二人はまるで前もって打ち合わせをしてきたかのように息ぴったりで、
「「違うし! 誰がこんな男(女)!」」
と叫んだ。
あんたらは夫婦か! と突っ込みたくなるくらいに二人の息はぴったりだった。
まるで隣り合ってるジグソーパズルのピースみたいだった。
彼らはお互いに隣にいるべき存在だと思う。
その後、よせばいいのに淳一は「誰がこんなブス好きになるかよ」なんていつものように喧嘩を売っていた。
まあ、唯も唯でその喧嘩をいつものように買うんだけど。
でも、唯は怒りながらも一瞬だけ悲しそうな表情を見せた。
私、沢村奈津子は今でもあの時の唯の表情を忘れられない。
唯には幸せになってほしい。
それは唯にとっては私の傲慢なのかもしれないけれど。
唯とは全くそういう色恋沙汰の話はしないからもしかして私のことを頼りにされてないんじゃないかって思って、なんだかちょっぴり悔しい。
まあ、唯はあの性格だしただ単に恥ずかしいだけなのかもしれないけど。
うん、だからこそ淳一に頑張ってもらわなきゃな。
あの意気地なしがどこまでできるか分からないけど、私がやれることはやりたい。
*
唯との密会? から部屋に戻った後、眠りに落ちるまでかなりの時間を要した。
故に少し、いやかなり寝不足だ。
だってしょうがないだろ? 大好きな人と京都を観光できるんだぜ。
これほどまでに幸せなことなんてない。
あってたまるか。
しかも唯から誘ってくれた。
結果的にはお互いにだけど。
てかお互いにってなんだよ。
なんだそりゃ。
今思い出したら自分のしたことが恥ずかしくなってきた。
「なに枕に顔埋めてんだよ淳一」
石田の声ではっと我に返る。
「な、なんでもねえよ」
「ふーん、まあいいけどよ。 んなことより早く朝飯食べに行こうぜ。 バイキングだからめぼしいもんとられちまうぞ」
石田に急かされ俺は朝食を食べにホテルの一階へと移動した。
朝食を取った後、二日目の今日が自由行動であるためその場で解散、その場で自由行動ということになった。
俺は真っ先に唯の元へと向かおうとしたのだが、肝心な唯の姿がない。
唯のやつ、一体どこにいるんだ。
昔から唯は迷子になりやすいタイプというか、ほっといたらすぐどっかに行ってしまいそうな。
だからこそ11年前は相川に……
でも今度こそは離さない。 離してやるもんか。
そんなことを思いながら唯にメールを送った。
「唯、今どこにいる?」
そのメールの返信は1分も経たぬ間に返ってきた。
「ホテルの入り口のとこにいるよ」
なるほど、入り口か。
俺はすぐさまホテルの入り口へと急いだ。
*
ハーッと息を吐く。
すると冬が近づいてきているのか、吐いた息が白くなる。
そういえばそうだよなあ。 もう10月も終わるんだ。
冬の凛とした空気は好きだ。
寒いと感じたり暑いと感じるとなんだか私は今生きてるって感じがする。
寒すぎるのはちょっと苦手だけど。
私は今、ホテルの入り口で淳一が来るのを待っている。
さっきメールしたからきっともうすぐここに来ると思う。
昨日の夜のことを思い出すと自然と顔が熱くなる。
んーーーー、恥ずかしい。
バカ淳一、私がせっかく先に言ったのに横取りしてさ……嬉しいけど。
「あ、唯ここにいたんだ」
振り向くとそこには中学からの友達、奈津子がいた。
「う、うん」
「ふーん、今日の別行動、唯は誰かと行くの?」
「うん、一応……」
思えば奈津子とは親友といってもいいほど仲が良いけど、こういう話はしてなかったな。
私が恥ずかしくて言えなかったからだけど。
「お、やっぱ淳一?」
「うん……まあそう……」
私がそう言うと奈津子は一瞬唖然とした顔をした。
そしてすぐに笑顔になった。
「うっそ、まじで?! やったじゃん唯!」
「べ、別に~」
「いい加減素直になりなって。 まあ、私が出る幕なかったか」
「ん? 今なんて?」
「ううん、何でもない。 じゃあ私行くね。 唯、後で色々聞かせてよね」
奈津子はそう言うと、他の友達と出かけていった。
うん、今度は奈津子に対しても素直にならないとな。
大切な友達だもん。
……それにしても淳一遅いな。
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