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【巨乳な彼女がキライですッ!】
6話【わたしとあなたは友達じゃないけど】
しおりを挟むあれから数日、彼女はただの一度も屋上前階段に姿を現さなかった。
彼女が瞳を輝かせて語っていた『鐘塔で願いを叫ぶ』という、夢。それを決行する日は、ついに明日。
……別に、寂しいとかじゃない。彼女と僕は違う世界に住んでいるんだし、そもそも僕は元から一人だったんだから。
なのに……この、胸にポッカリ穴が開いたような気持ちはなんなんだろう。
「……アニメ、見よ」
呟くと同時に、僕はスマホを眺めた。
* * *
夜の高校は、凄く静かだった。
教室はいつだって賑やかで、休み時間になる度に、私の周りには人が集まる。
だけどみんな、私の外見しか見てない。それは、みんなの【視線】で分かった。
でも、外見を見ちゃうのは仕方のないことだから。私が変わるしかないって、一時期は躍起にもなった。
それでも、全然ダメで。……だから私はこんな、信憑性のない【噂】なんかに頼ってる。
「よい、しょ……っと」
鐘塔に向かう門が、開いていた。
普段は閉まっているその門がどうして開いているのかは分からないけど、好都合。私は門をくぐって、鐘塔の入り口に向かう。そこの鍵が開いていることは、日中に確認済み。
門さえくぐれば、後は誰にも見つからないはず。そんな高をくくりながら、私は鐘塔に向かって歩き始める。
──その瞬間。
「──誰だッ!」
「──っ!」
背後から、声が聞こえた。
聞き覚えのあるその声は……たぶん、担任の先生だと思う。
──どうして、ここに?
鐘塔を見回る必要なんてないのに、先生が駆け寄ってくる。
「こんな時間になにをしているッ!」
もしも今日、捕まってしまったら? 生徒が二度と無断で入り込めないように、鐘塔の入り口が閉鎖されるかもしれない。そうなってしまったらもう、鐘塔には……っ。
「……っ!」
「コラッ、待てッ!」
急いで、私は鐘塔に向かって走り出した。走るのは苦手だけど、そんなこと言ってられないから。
だけど、鐘塔に入ったとしても……鐘塔のてっぺんに上がる階段で、捕まるかもしれない。そうしたら、どうしよう。
──誰かが、鐘塔の入り口を抑えてくれたら。
バタバタと走りながら思い浮かぶのは、屋上前階段でムスッとした顔を浮かべながらお弁当を食べていた、彼。
……もしも今、彼がいてくれたら──。
「──友貝さんッ!」
俯いていた顔を、上げた。
だって今、私は名前を呼ばれたから。
……でも、誰に?
「走ってくださいッ! ……もっと速くッ!」
ボサボサの黒髪に、お世辞でも『オシャレ』とは言ってあげられない眼鏡。
……あの人、は。
「──今田君っ!」
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