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【巨乳な彼女がキライですッ!】
5話【つらいウザいうるさい】
しおりを挟むそれから数日間……僕の日常は、呆気無く乱されていった。
「だからね、決行するなら来週にしようと思ってるの! 転校したての今が一番許される時期かなって思って!」
「はぁ」
「色々とリサーチしてるんだ! 聴く? 興味ある?」
「まぁ」
屋上前の、階段。そこは僕にとって、唯一のオアシスだった。
──なのにどうして彼女は昼休みになると、毎回ここに来るようになってしまったのだろう?
さほど興味の無い話を延々と聞かされ、そろそろ相槌のレパートリーがなくなった時。彼女が片目をキラキラとさせながら、僕の顔を覗き込んできた。なにか意見が欲しいのか、あるいは肯定されたいのだろう。
僕はご飯をモチャモチャと咀嚼しながら、彼女を見ないで訊ねる。
「……そこまでして叶えたい願い事って、なんですか」
全く興味は無かったけど、こう毎日聞かされたら気になってくるのは【彼女を突き動かす動機】だ。しかも、この返しならきっと彼女は喜んで語り始めるだろうし。
ここ数日、彼女は僕の貴重な昼休みを潰して、何度も何度も鐘塔について話してきた。しかし肝心の【願い事】を、僕は知らない。
だから、訊ねた。なにもおかしなことはしていない。
するとなぜか、彼女は僕を見て、寂しそうに笑ったではないか。
「──私ね。……友達が、ほしいの」
……。
……はっ?
あまりにもあまりすぎる、返答。僕は思わず、箸を落としかけた。
「外見だけじゃなくて、中身を見てくれる。そんな友達が、ほしいの」
それは到底、予測できなかった願い事。寂し気に笑う彼女が、冗談を言っているとは思えない。
だからと言って……理解も、できなかった。
なぜなら──。
「見た目だけでもチヤホヤされてるなら、いいじゃないですか」
──僕の意見は、こうだからだ。
友達いない歴イコール年齢。モサモサ頭に眼鏡という地味を極めたこの外見な僕は誰かに好まれ、そして寄られたこともない。
だから、ただ挨拶をしただけの彼女がチヤホヤされたのは……とても、凄いことに思えたのだ。
しかし彼女は、それを欲していない。それは僕にとって、ちょっとした……嫌味のようなものに、聞こえた。
「随分と欲張りですね。僕はただの一度もそんな経験したことないのに」
「えっ? ……あっ。ちがっ、今のは自慢とかじゃなくて──」
「──だったらッ!」
瞬間。『カシャンッ!』という音を立てて、箸がお弁当箱に叩き付けられる。当然、その音の出どころは僕だ。
「なおさら、タチが悪いです……ッ!」
別に、友達なんてほしくない。一人で過ごす休み時間は充実していたし、昼休みだって一人で静かにアニメを見ていられるのだから、楽しい時間だった。
それを壊したのは、彼女だ。
──それが、ほんの少しだけ『いいかも』と。そう思い始めていたのは、事実かもしれない。
──だけど。……彼女はヤッパリ、僕とは違う世界で生きているのだ。
「沢山の人に愛されるといいですね」
お弁当箱を片付け、僕は立ち上がった。そしてそのまま、教室へ向かう。
無論その時、彼女がどんな表情で僕を見上げていたのか。僕は当然、知らない。
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