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【巨乳な彼女がキライですッ!】

4話【あーそーゆーことね完全に理解した】

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 この高校の敷地内には、高い鐘塔がある。
 その鐘塔の頂上まで登り、深夜に鐘が鳴る時。その瞬間に自分の願い事を叫ぶと、なんでも叶う。……そんな、本当かどうか甚だ疑問な噂。

 僕はモチャモチャとお弁当を食べながら、曖昧に頷く。


「聞いたことは、あります……けど」
「興味、ある?」


 正直、全く興味が無い。叶えたい夢なんてないし、大前提として深夜に高校なんかに来たくもない。
 もしかして、その噂を確かめるために転校してきたのか? 鐘塔を目的に転校してきたなんて、どんなアニメでも見たことないぞ。たぶん。

 彼女は手を止めて、隣に座る僕をジッと見つめている。だからこそ、僕はなおさら『興味が無い』と言えなくなった。

 ──ちなみにこの後に僕がした発言こそが、冒頭に繋がる数分前の過ちだ。


「ま、まぁ……なくもない、です……かねぇ……?」


 ──瞬間。

 ──彼女が、おっぱいを押し付けてきた。

 ……訂正。僕に詰め寄ってきた。


「あなた、名前は……っ!」
「おっ、あっ! い、今田一人、です……ッ」
「ねぇ、今田君……っ」


 ショートケーキ以下略な甘ったるい声で、彼女は僕の名前を呼んだ。そのまま胸を、む、胸を……っ、お、押し当ててきた……ッ!

 なんで。なんでなんでなんでッ、こんなに近いんだッ!


「──悪いこと、シよ……?」


 体が、さらに密着される。思わず態勢がぐらつき倒れ込むも、彼女は引かない。むしろ、温かい脂肪の塊が制服の上から僕を圧迫した。
 ……はッ? メチャクチャいい匂い──じゃなくてッ! なんでこんなに近いおっぱい──違うそうじゃないッ!

 頭の中が、ドロドロに溶かされていくようで。初めからまとまっていなかった思考が、さらに冷静さを失っていく。


「ぼ、僕は……ッ」


 『悪いこと』と言うのは、おそらく……真夜中に鐘塔を登ろう、ということ。
 してはいけないことに、誘われている。断固として断りたいのに、彼女の体温と匂いが、僕の頭を埋め尽くす。

 ──このままじゃ、大事ななにかが終わる……ッ!

 大きく息を吸い込んだのち、僕は──叫んだ。


「──僕はッ、おっぱいなんかに負けませんからァアアッ!」
「──ひゃっ!」


 彼女を押し返し、手早くお弁当箱を回収し、逃走! 僕は彼女から逃げ、戻りたくもない教室に戻った。

 ……女の子の感触はその日一日忘れられなかった、という余談は置いておこう。 




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