短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【巨乳な彼女がキライですッ!】

3話【最初からクライマックスだぜ!】

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 そして、昼休み。冒頭の事件が起きる、直前の出来事。
 僕はいつも通り、一人でお弁当を食べていた。……【いつも通り】ってところに同情するな。別に寂しくなんかない。マジで!

 場所は屋上。……とかだったらいいけど、残念ながら屋上は出入り禁止。現実はアニメみたいに夢だらけじゃなかった。正直、屋上に入れないことは高校に入学して一番ショックだったことかもしれない。

 だから場所は、屋上前の階段。そろそろ冷えてくる時期だから、今度ブランケットを持って尻に敷こう。あっ、なんだろう。『尻に敷く』って、いいな、この響き。リアルが充実してるみたいだ。……だから、オイ。同情するなっての。
 という一人漫才は一旦休止し、僕はお弁当箱の蓋を開けた。

 ──その時だ。


「──えっ?」
「──えぁ?」


 ──来訪者が、階段の下からやって来たのは。

 しかも、その相手は──。


「友貝、藍……っ?」


 そう。……巨乳が巨乳で巨乳な転校生、友貝藍だった。
 彼女はなぜかお弁当箱を持っていて、そしてなぜかこんな場所へやって来た。

 ……んんっ? おかしい、おかしいぞ。彼女は今頃、クラスメイトたちと打ち解けてお弁当のおかずを交換するという、僕とは無縁のイベントをこなしているところじゃないのか。


「ひ、独り……ですか?」


 ──ウルせぇ、最初からクライマックスするな、核心を突いてくるな!

 という言葉はなんとか飲み込み、僕は彼女に向けていた視線をふいっと逸らす。一応言っとくが、おっぱいは見てないぞ。
 モチャモチャとご飯を食べ進める僕を見上げたまま、彼女は階段を上がり始める。

 ……って、んんんっ? いや、なんで上がってくるんだ? ここはどう見たって僕が座ってるんだから、普通近寄らないだろ? なに考えてるんだ、マジで!


「──それじゃあ隣、座るね」
「──いやなんでですか」


 コミュニケーション能力皆無な僕でも、思わずツッコミを入れる。これはもう仕方ない。
 しかし彼女はお弁当箱を広げて、昼休みを満喫し始めた。


「いや、なんでですかッ!」
「えっ? もしかしてここって、使用許可とか必要なの?」
「必要無いですけどッ!」


 なにがどうなって、謎の美少女転校生とご飯を食べなくちゃいけない! 誰か説明しろ! ……いや、説明するために人が増えるのは嫌だ! ヤッパリ自分で考えるわ、ごめん!

 というわけで、シンキングタイム。


「なんとなく、教室に居づらくて……」


 まさかのご本人ファイナルアンサー。最初からクライマックスが止まらない。
 彼女はここに来た理由を呟くと、ご飯を食べ進める。特に話すこともないから、僕もランチタイムを続行だ。

 ……。
 …………。

 ……き、気まずい。なぜなら話すことが、なにも無いのだから。

 こういう時って、僕はどうしたらいいんだ? 話題を振る? いやいやムリムリ、友達いない歴イコール年齢嘗めるな!

 すると突然、彼女が話しかけてきた。


「あの」
「なぁッ!」


 僕は思わず箸を落としかける。が、寸でのところで見事キャッチ。
 授業の班行動くらいでしか人と話さない僕の心臓が、バクバクと早鐘を打っているが……今はそれどころじゃない。

 なぜなら──。


「──鐘塔の噂って、知ってる?」


 彼女が、奇妙な話題を振ってきたのだから。 




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