短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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【残念イケメンVS残念イケメン(仮)?!】

6話【小野賀様は王子様?】

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 中庭から人目につかない校舎裏まで走った二人は、どちらも肩で息をしていた。


「ハァッ、ハァ……。な、情けないな、我之……ッ! この程度でッ、そこまで息を切らすとは……ッ!」
「キ、キミこそ……っ。思いっきりブーメラン発言だよ、それ……っ」


 悪態を吐きつつも、二人は互いに息を整える。
 そして、小野賀が口を開いた。


「こうしてお前と話すのは、久し振りだな」


 小野賀の言葉に、我之は俯く。


「えっと、小野賀。……あの時は、ごめん。校則違反、だったよね」


 素直な、謝罪の言葉。

 ──なのに小野賀は、噛みついた。


「ハァッ? 校則って……お前はなんの話をしているッ?」
「えっ? メイクをしようとした私に失望したんじゃないのかい?」
「ハァアッ? バカかッ! そんなワケないだろうがッ!」
「えっ、えぇっ? じゃあ、なんで私に怒ったんだい?」


 戸惑う我之に対し、小野賀は顔を背ける。

 そのままその場にどっかりと座り込むと、小野賀は珍しく歯切れが悪そうに語り始めた。


「……ッ、メイクはッ! ……メイクは、別に、いい。お前は素材がいいからな。きっと、映えるだろう……ッ」
「っ!」


 皆葉に言われたのと、同じ言葉。……なのに、全然違う。


「だったら……どうしてあの日、私たちに──」


 ポーカーフェイスを気取る余裕もなく、我之は顔を赤くした。

 ──しかしそれ以上に、小野賀の顔は赤い。


「──お前がッ! お前、が……その相手に、俺様を……俺様以外の男を選んだのが、面白くなかったんだ……ッ!」


 赤くなった小野賀を見下ろし、我之は言葉を失う。

 互いの鼓動が、互いに聞こえてしまうんじゃ。そう思ってしまうほど、二人の顔は赤い。


「お前の隣は……ッ! 俺様以外、ありえないだろうッ! ……お前はッ! お前は、違うのかッ!」


 真っ赤になりながら座り込む小野賀と、我之は同じ目線になるべく、しゃがみこむ。


「っ! ちっ、違わないっ! 違わない、よ……っ! 私は、だって……小野賀に、好かれたくて。小野賀に『可愛い』って言ってもらいたかったから、だから杏歩にメイクを頼んだんだっ!」

「ハァッ? 俺様にッ、かっ、かわっ、かわッ?」
「そうだよっ! 私は、小野賀の隣にいたいっ! だから……だからっ!」


 我之は両手で、赤くなった顔を隠す。


「──私を、小野賀だけのお姫様にしてください……っ」


 顔を隠す我之の手を、小野賀が掴む。
 真っ赤になった顔を隠したい我之は拒絶しようとするが、小野賀の方が力はある。

 手を除けて、赤くなった我之の顔を小野賀はしっかりと見つめた。


「──当然だッ! 俺様は、お前を略奪するつもりであの場に立ったのだからなッ!」


 ニヤリと笑う小野賀を見て、我之は大粒の涙を零す。

 ──そう。これは、小野賀壱馬と我之白華という【顔面が良すぎるカップル】が成立した瞬間なのであった!




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