BL短編集[作:ヘタノヨ コヅキ]

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

文字の大きさ
20 / 99
【5/100】

オマケSS:絶望が世界を覆い尽くしても

しおりを挟む


◆小説用お題ったー。様より
~お題【絶望が世界を覆い尽くしても】~

【キャラ紹介】

箱根はこね雨竜うりゅう
 高校一年生。
 見た目は不良、心は純情、されど口は悪いし頭も悪い。
 登坂の落とし方を絶賛模索中。

登坂のぼりざかきり
 高校一年生。
 見た目は優等生、心はクール、されど素直でなんでも直球。
 箱根の扱い方がどんどんうまくなっている。





 俺──登坂霧は高校の入学式に、初対面の男に告白された。
 その内容が清々しいほどに最低だったのを、今でも痛烈に覚えている。


『交際を前提に性交してください!』


 答えは勿論、ノーだ。

 それなのに、見た目は不良で下心しかない同級生──箱根雨竜はと言うと、なぜか俺に付きまとい続けた。
 そして驚くことに、俺たちに対する周りからの評価は【親友】らしい。ふむ、実に解せない。

 そんなある日──と言うか、今日。

 ──箱根が突然、膝から崩れ落ちた。


「──絶望ッ!」


 シンプルにウザいし、無視したい。……が、周りにはクラスメートたちもいる。このまま目の前で項垂れた親友もどきを放っておくことは、得策ではないのだ。
 俺は箱根を見下ろしたまま、短く声を発する。


「──立て」
「氷より冷たい男だなッ!」


 そうかそうか。ふふっ、褒められて悪い気はしないな。

 項垂れたまま床を見つめる箱根に視線は向けず、俺は作業を進めながら声をかけ続ける。


「授業始まるぞ」
「だからなんだッ!」


 学生にとっての最重要項目を一蹴されてしまった。解せない。
 床に膝と手を付き、箱根は体を小刻みに震わせている。


「オレは、今日という日をメチャクチャ楽しみにしてたんだ……ッ! それなのに、なんで……なんでだよッ!」


 強い語気と、不良っぽい見た目。周りのクラスメートは怯えているのか、俺たちから距離を取っている。

 実際問題、箱根がなにに対してこんなに怒って──落ち込んでいるのかが、分からない。……が、コイツがこんなに取り乱すのは十中八九、俺が原因なのだろう。ならば、俺がどうにかするしかないのだ。

 場所は、男子更衣室。次の授業は、体育。俺たちは今、制服からジャージに着替えているところだ。
 俺がワイシャツを脱いだ途端、箱根は膝から崩れ落ち、叫び出した。

 ……ちなみに、俺はワイシャツの下にTシャツを着ていたのだが、悲壮に満ちた箱根との関連性が分からないので、これが原因ではないだろう。


「──いや、分かるだろッ!」


 どうやら心を読まれたらしい。恐怖を通り越して嫌悪だ。


「クソッ! この際『嫌悪』発言はスルーだッ! オイッ、登坂ッ!」


 やけにスタッカートを多用する奴だなとか思いつつ、俺はジャージに袖を通しながら、顔を上げている箱根を見下ろす。


「オレは今日ッ! お前の上半身を見るためだけに登校したんだぞッ!」
「へぇ」
「それなのにお前はッ! 世界を絶望で覆い尽くしたッ!」


 俺の上半身を『世界』と形容し、Tシャツを『絶望』と形容するのは止めて頂きたい。

 このまま放っておいてもいいかもしれないが、そろそろ体育館に向かわないと遅刻扱いになってしまう。箱根はどうでもいいが、俺はそれだと困る。
 面倒ではあったが、それらしい言い分を探してみた。


「……今日の体育、バスケのはずだから……腹くらいなら、見えるんじゃないか」


 いわゆる【腹チラ】というやつだな。
 更衣室のロッカーに制服をしまい込んでから、後ろを振り返る。

 ──すると。


「なにやってんだよ、登坂。早く行くぞ」


 さっきまで制服のままベソをかいていたはずの箱根が、ジャージに着替えて立っていた。軽くホラーである。

 溜め息を吐きつつ、けれど体育館へ向かうため、俺は箱根の隣を並んで歩いた。
 絶望が世界を覆い尽くしても、ちょっとの希望があれば……コイツはそれでいいらしい。

 ……まぁ、ズボンの中にシャツをインしているから、腹なんか見えないんだけど。





【5/100オマケSS:絶望が世界を覆い尽くしても】 了 




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

壁乳

リリーブルー
BL
ご来店ありがとうございます。ここは、壁越しに、触れ合える店。 最初は乳首から。指名を繰り返すと、徐々に、エリアが拡大していきます。 俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 じれじれラブコメディー。 4年ぶりに続きを書きました!更新していくのでよろしくお願いします。 (挿絵byリリーブルー)

灰かぶりの少年

うどん
BL
大きなお屋敷に仕える一人の少年。 とても美しい美貌の持ち主だが忌み嫌われ毎日被虐的な扱いをされるのであった・・・。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

隣の親父

むちむちボディ
BL
隣に住んでいる中年親父との出来事です。

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

後宮の男妃

紅林
BL
碧凌帝国には年老いた名君がいた。 もう間もなくその命尽きると噂される宮殿で皇帝の寵愛を一身に受けていると噂される男妃のお話。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

処理中です...