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【アイスと写真と思春期と】
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しおりを挟むモヤモヤ?
……いや、ソワソワ?
なんか、こう……くすぐったい、感じ。
俺は手稲から視線を外して、カメラを持った新聞部部長を見る。
「ホラ! これでいいだろ!」
「お~、いいねいいね!」
カメラを向けられて、手稲がアイスを持ちながら笑う。
俺はなんとなく気恥ずかしくて、アイスを口に運びつつ、カメラを見た。
『カシャカシャ』と数回、シャッター音が聞こえる。
と思うと、新聞部部長がカメラを確認し始めた。
「……うん、オッケー! 問題無し!」
そう言った新聞部部長は、すぐさまカメラを持ち直す。
そして、帰り支度を始める。
「えっ? ちょっ、もう帰んのかよ?」
「早くデータをパソコンに移したいから!」
「忙しないなぁ……」
片手を上げて、新聞部部長が俺と手稲から離れた。
突然二人きりになり、妙な沈黙が俺たちの間に走る。
そこでふと、手稲の手に自分の手を重ねたままだったと、気付く。
「わ、悪い!」
「え?」
手稲は気にした様子もなく、目を丸くする。
手を繋ごうがなんだろうが、意識することでもないだろう。男同士だし、なによりもどうせ、俺はマスコットキャラなんだから。
……バスが来るまで、まだ時間がある。
お互いバス通学なのは知っているし、ここで急に別れるのは……なんとなく、変だ。
会話を探そうと、視線を彷徨わせる。
「……な、夏だなぁ?」
「ふふっ。急にどうしたの?」
「いや、ほら? 緑の匂い~……みたいな?」
「なにそれ?」
沈黙が気まずくて、変な話題をチョイスしてしまった。
バス停の近くには、緑が生い茂っている。
それが目に入ったから口にしてみたが、話題としてはイマイチ。
……と言うよりも、ナシナシのナシだろう。
しかし、手稲は話題に乗っかった。
「天気が良くて、草木の匂いがして……これって、夏の匂いって言うのかな?」
「『夏の匂い』って。……手稲は詩人だなぁ」
「それ、褒めてくれているの?」
笑った後、手稲はミルク味のアイスを舐める。
──なぜか、その光景が妙にエロく感じた。
……いやいや! 思春期か! 思春期だけども!
女子がアイスの棒を舐めたり咥えたりしてエロさを感じるならまだしも、相手は男だぞ!
しかも、女子からの人気ナンバーワンの超イケメンだ!
そんなキラキラ男がアイスを舐めてエロいなんて……っ。暑さでやられてるのか、俺は!
ソーダ味のアイスを一気に食べ進めて、体を冷ます。
手稲はそんな俺を、不思議そうに見つめた。
「顔が赤い気がするけど、どうかした?」
「気のせいじゃん! うん、気のせい!」
……ダメだ、顔が見られない。
手稲がミルク味のアイスを食べているところを見て、思春期男子のように意識しているなんて、言えるわけがないだろう。
……いや、思春期男子なのは否定しないけども。
だが、手稲は妙にしつこく俺を見つめる。
「手束?」
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「さっきまで普通に喋っていたでしょ? どうかしたの?」
そう言って、手稲はアイスを舐めた。
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