先ずは好きだと言ってくれ

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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続 2章【先ずは想いに上限を設けてくれ】

18 *

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 何度も体を揺さ振りながら、先輩は俺の体を触る。


「竹虎君が言う通り、少し瘦せたかもね。なにか、悩み事?」
「そういうわけでは、んっ。……ないと、思います……っ」
「それならいいんだけど、ダイエットのつもりなら嫌だな。これ以上細くなられたら、心配だよ」


 なるほど。先輩は多少肉付きのある体好きなのか。……明日はハンバーガーとコーラでも摂取して、体づくりを頑張ろう。

 軽い会話を交わしながらも、先輩は俺を抱く動きは止めない。不意に顔を下げて、先輩は俺の胸に唇を寄せた。


「はっ、ん……ッ」
「乳首、舐められるのも好き?」
「好きじゃ、な──んッ!」
「噛まれる方が好きなんだ? エッチだね、文一郎は」


 ──男の乳首なんぞを口に含んで笑っているアンタの方がスケベだろ!

 と口にできる余裕があれば、今頃は立場が逆転しているだろう。……いや、ないな。たぶん俺は、意気地がなくて先輩を抱けやしない。

 それに、こっちの方が。……いい、し。


「──ハッ! 今、なにかエッチなことを考えたでしょっ?」
「──気色の悪い特殊能力に目覚めないでください……っ」


 責めると、先輩はムッとした様子で眉を寄せた。


「酷いなぁ。……こっちは素直で可愛いのに」
「ひっ、ん、ッ!」
「舐めたら悦んでくれるし、噛んだら『もっと』って尖る。……可愛いなぁ、文一郎の乳首」
「こ、の……ッ!」


 プイッと、先輩から顔を背ける。
 なにが『可愛い』だ、馬鹿者め。そんなの……そういう、言葉は。


「──乳首じゃなくて、俺自身に言ってください。……ばか」


 悪態を吐いて、すぐさま。


「えっ? あっ、あのっ。せん、ぱい?」
「今のも、かなりキた。今日の文一郎、凄いね。僕を煽る能力にステータスが極振りだよ」
「なんでそんなゲームみたいな言い方──あッ! やっ、待って、いきなり……ッ!」


 動きが、変わった。

 俺を気遣っていたかのような腰遣いが、一変。先輩は俺をしっかりと抱き締めて、まるで逃がさないようにとでも言いたげに固定してくる。


「んッ、ん、ッ! 先輩っ、待って、はげし、あッ!」
「駄目。待てない」
「は、ぁ、んん、ッ!」


 ヤバい。駄目だ、そんなに突かれたら……ッ。


「やっ、俺、イっちゃ……ッ」
「うん、そうだね。僕も、君のナカに出したい」
「ひ、んっ、ん……ん、ッ!」


 ビクッ、と。堪らず、体を震わせる。
 そうして俺が射精すると、ケツの中に熱いものが注がれた。


「はっ、ぁ、あ……っ。出て、る……っ」


 ポソッと呟くと、先輩がジッと俺を見つめてくる。


「駄目だよ、文一郎。他の人には、さっきみたいに甘えたりしたら。可愛い君は、僕だけのものでいて」


 こうして体を許すのはアンタだけだと言うのに、この人はそれでもまだ足りないらしい。
 だけど、そんな嫉妬深いところも堪らないなんて。本当に、勘弁してくれ。

 俺はいつだって、心のどこかで『これ以上は惚れられない』と思っている。
 それなのに、この人は『まだいけるよね?』と言い、笑って俺に上限を超えさせるのだ。


「約束だよ、文一郎」


 庇護欲を強く持つ俺に、そうではない感情を強く持たせようとしてくる。なんて、酷い人なのだろう。

 ──嗚呼、恋の神様。

 ──どうかこの想いに、上限を設けさせてくれませんか。

 ……なんて。


「んっ。……約束、します」


 久し振りに神頼みをしたくなるほど、俺は先輩の瞳にときめいてしまったのだった。





続 2章【先ずは想いに上限を設けさせてくれ】 了




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