先ずは好きだと言ってくれ

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

文字の大きさ
158 / 251
続 3章【先ずは一番だと言ってくれないかな(牛丸視点)】

15 *

しおりを挟む



 すりすりと、指先で後孔を撫でる。
 文一郎はぴくぴくと体を跳ねさせながらも、僕を突き飛ばしたりはしなかった。


「指、増やすよ」
「……ッ」
「ふふっ、ありがとう」


 懸命に頷く文一郎の耳に、そっとキスを落とす。するとすぐに、ナカに挿れられた僕の指を、文一郎は締め付けた。


「耳、好きなのかな。それとも、キス?」
「黙秘権の行使、です」
「じゃあ、どっちも好きって思おうかな」
「ポジティブなヘンタイって、メチャメチャ手に余るじゃないですか……っ」


 二本目の指も、文一郎はなんとか受け止めてくれている。ならばと三本目を挿れると、若干だけれど確実に、文一郎の体が強張った。


「痛い? 指、減らそうか?」
「大丈夫、です。……ちょっと、まだ慣れていないだけなので、緊張しているだけですから……ッ」
「分かった、信じるよ。……嘘、吐かないでね?」
「嘘吐きの先輩に言われるなんて、屈辱的です……っ」


 三本の指を、ゆっくりと抜き差しする。その動きに合わせて、文一郎は体を震わせた。


「あ、っ。……ん、ぅ、んっ」


 ……痛くは、なさそう。むしろ、気持ち良さそうなくらいだ。

 指を抜き差しする動きを、徐々に加速。最初こそ驚いた様子だったものの、すぐに文一郎は指の動きに順応していった。……こういうところも賢いんだもんなぁ、僕の文一郎は。


「きもち、い、っ。先輩、いいです……っ」


 我慢しているからか、少しだけ掠れたような声。
 文一郎は素直に感じていることを伝えてから、そっと下を向いた。


「立って、いられない、かも……っ」
「あっ、ごめん。……移動、する?」
「そうじゃ、なくて。……誰かが、俺を支えたらいいと、思います……っ」


 チラリと、文一郎が僕を振り返る。


「指、抜いて。それから、俺の腰……掴んだら、いいんじゃないですか」


 つまり、それは。……【これ以上のお誘い】ってこと、かな?


「うぅっ。……僕、文一郎のそういうところが凄く好き」
「意味、分かんないです」
「そうだね、ごめんね。……ふふふっ、大好きっ」
「だから、意味が……。……まぁ、別にいいですけど」


 文一郎は僕を睨んだ後、すぐに視線をそっと伏せた。


「……腰、掴まないんですか」


 猛烈に遠回しすぎる、許可。
 僕はなんとか音を立てないように唾を飲み込んだ後、文一郎の後孔から指を引き抜いた。


「掴み、ます」
「ん、どうぞ」
「……文一郎のナカに、挿れたい、です」
「っ。……どう、ぞ」


 ピクンと、文一郎が震える。ヤッパリ、この行為に文一郎は今も緊張しているのだろう。
 それでも拒否しないし、受け入れてくれている。それは僕への優しさなのか、それとも。


「は、っ、あ……ッ。……ん、ぅ、ッ」


 徐々に僕のモノを受け入れながら、文一郎はどこか苦しそうな声を漏らす。それでも僕は文一郎の腰を掴み、逃がそうとはしない。掴んだ文一郎の体も、逃げようとはしていなかった。

 ……そうしてこの行為を受け入れてくれる理由がもしも、僕と同じ気持ちなのだとしたら。
 それが理由で僕を受け入れてくれているのだとしたら、とても嬉しいな。




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

オッサン課長のくせに、無自覚に色気がありすぎる~ヨレヨレ上司とエリート部下、恋は仕事の延長ですか?

中岡 始
BL
「新しい営業課長は、超敏腕らしい」 そんな噂を聞いて、期待していた橘陽翔(28)。 しかし、本社に異動してきた榊圭吾(42)は―― ヨレヨレのスーツ、だるそうな関西弁、ネクタイはゆるゆる。 (……いやいや、これがウワサの敏腕課長⁉ 絶対ハズレ上司だろ) ところが、初めての商談でその評価は一変する。 榊は巧みな話術と冷静な判断で、取引先をあっさり落としにかかる。 (仕事できる……! でも、普段がズボラすぎるんだよな) ネクタイを締め直したり、書類のコーヒー染みを指摘したり―― なぜか陽翔は、榊の世話を焼くようになっていく。 そして気づく。 「この人、仕事中はめちゃくちゃデキるのに……なんでこんなに色気ダダ漏れなんだ?」 煙草をくゆらせる仕草。 ネクタイを緩める無防備な姿。 そのたびに、陽翔の理性は削られていく。 「俺、もう待てないんで……」 ついに陽翔は榊を追い詰めるが―― 「……お前、ほんまに俺のこと好きなんか?」 攻めるエリート部下 × 無自覚な色気ダダ漏れのオッサン上司。 じわじわ迫る恋の攻防戦、始まります。 【最新話:主任補佐のくせに、年下部下に見透かされている(気がする)ー関西弁とミルクティーと、春のすこし前に恋が始まった話】 主任補佐として、ちゃんとせなあかん── そう思っていたのに、君はなぜか、俺の“弱いとこ”ばっかり見抜いてくる。 春のすこし手前、まだ肌寒い季節。 新卒配属された年下部下・瀬戸 悠貴は、無表情で口数も少ないけれど、妙に人の感情に鋭い。 風邪気味で声がかすれた朝、佐倉 奏太は、彼にそっと差し出された「ミルクティー」に言葉を失う。 何も言わないのに、なぜか伝わってしまう。 拒むでも、求めるでもなく、ただそばにいようとするその距離感に──佐倉の心は少しずつ、ほどけていく。 年上なのに、守られるみたいで、悔しいけどうれしい。 これはまだ、恋になる“少し前”の物語。 関西弁とミルクティーに包まれた、ふたりだけの静かな始まり。 (5月14日より連載開始)

同居人の距離感がなんかおかしい

さくら優
BL
ひょんなことから会社の同期の家に居候することになった昂輝。でも待って!こいつなんか、距離感がおかしい!

Take On Me

マン太
BL
 親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。  初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。  岳とも次第に打ち解ける様になり…。    軽いノリのお話しを目指しています。  ※BLに分類していますが軽めです。  ※他サイトへも掲載しています。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】

彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』 高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。 その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。 そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?

宵にまぎれて兎は回る

宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…

エリート上司に完全に落とされるまで

琴音
BL
大手食品会社営業の楠木 智也(26)はある日会社の上司一ノ瀬 和樹(34)に告白されて付き合うことになった。 彼は会社ではよくわかんない、掴みどころのない不思議な人だった。スペックは申し分なく有能。いつもニコニコしててチームの空気はいい。俺はそんな彼が分からなくて距離を置いていたんだ。まあ、俺は問題児と会社では思われてるから、変にみんなと仲良くなりたいとも思ってはいなかった。その事情は一ノ瀬は知っている。なのに告白してくるとはいい度胸だと思う。 そんな彼と俺は上手くやれるのか不安の中スタート。俺は彼との付き合いの中で苦悩し、愛されて溺れていったんだ。 社会人同士の年の差カップルのお話です。智也は優柔不断で行き当たりばったり。自分の心すらよくわかってない。そんな智也を和樹は溺愛する。自分の男の本能をくすぐる智也が愛しくて堪らなくて、自分を知って欲しいが先行し過ぎていた。結果智也が不安に思っていることを見落とし、智也去ってしまう結果に。この後和樹は智也を取り戻せるのか。

双葉の恋 -crossroads of fate-

真田晃
BL
バイト先である、小さな喫茶店。 いつもの席でいつもの珈琲を注文する営業マンの彼に、僕は淡い想いを寄せていた。 しかし、恋人に酷い捨てられ方をされた過去があり、その傷が未だ癒えずにいる。 営業マンの彼、誠のと距離が縮まる中、僕を捨てた元彼、悠と突然の再会。 僕を捨てた筈なのに。変わらぬ態度と初めて見る殆さに、無下に突き放す事が出来ずにいた。 誠との関係が進展していく中、悠と過ごす内に次第に明らかになっていくあの日の『真実』。 それは余りに残酷な運命で、僕の想像を遥かに越えるものだった── ※これは、フィクションです。 想像で描かれたものであり、現実とは異なります。 ** 旧概要 バイト先の喫茶店にいつも来る スーツ姿の気になる彼。 僕をこの道に引き込んでおきながら 結婚してしまった元彼。 その間で悪戯に揺れ動く、僕の運命のお話。 僕たちの行く末は、なんと、お題次第!? (お題次第で話が進みますので、詳細に書けなかったり、飛んだり、やきもきする所があるかと思います…ご了承を) *ブログにて、キャライメージ画を載せております。(メーカーで作成) もしご興味がありましたら、見てやって下さい。 あるアプリでお題小説チャレンジをしています 毎日チームリーダーが3つのお題を出し、それを全て使ってSSを作ります その中で生まれたお話 何だか勿体ないので上げる事にしました 見切り発車で始まった為、どうなるか作者もわかりません… 毎日更新出来るように頑張ります! 注:タイトルにあるのがお題です

処理中です...