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3話・振り回すのが好き
6 *
しおりを挟む舌が、ペニスを這う感覚。
こんなの……俺は、知らない。
「んんっ、やっ、やだ……っ。舌、動かす――ん、っ!」
裏筋を、高遠原の舌がなぞった。
根元から、先端。そうされると、腰の辺りにゾワゾワとした感覚が流れる。
俺は咄嗟にシーツを握り締めて、高遠原からのフェラに耐えた。
「さっ、先っぽ、やだ……っ! あっ! やだ、やだってば……んっ!」
いやだと主張したら、高遠原はそこを執拗に攻める。
身をよじったところで、意味はない。
「ぁあ、あっ!」
高遠原は着実に、俺が感じるポイントを探っている。
好いところに舌が当たると、腰が跳ねた。
唾液の音が聞こえると、耳を塞ぎたくなる。
だけど逃げようとしたら、気持ち良くされて。
(こ、んなの……っ)
頭も、体も、変になる。
大嫌いな男にこんなことをされて、いやでいやで堪らないはずなのに。
「たっ、高遠原ぁ……っ!」
口の中に出したくて、仕方ない。
――射精したい。
――早く、解放してほしい。
高遠原にペニスを喉奥まで咥え込まれると、目の前に星が散りそうだった。
「あっ、ぁあ、っ! も、もぉ、だめだ……んぁ、っ! で、出ちゃう、からぁ、っ!」
体が硬直してしまいそうで、必死に首を横へ振る。
だけど、高遠原は止まってくれない。
一際深いところまで、ペニスを咥えられて。
「ひっ、ぁああっ!」
我慢なんて、できっこなかった。
情けない声をあげて、俺は高遠原の口に精液を吐き出す。
「……ッ」
一瞬だけ、高遠原が驚いたように声を漏らした気がする。
そうとは気付いても、射精は止められない。
「ぅ、うぁ……ん、くっ!」
出している最中なのに、高遠原は俺のペニスを吸った。
それが気持ちよくて、俺はしっかりと射精しきる。
「はっ、ぁ……っ」
絶頂後特有の、脱力感。それと同じくらいの満足感に、吐息を漏らす。
射精を終えた俺は、ベッドにぐったりと横たわる。
(凄く……気持ち、よかった……っ)
高遠原が悦んだのも、納得かもしれない。
……ん? 高遠原が……?
ぼんやりとした頭が、急に覚醒する。
「お、お前……っ! い、今のは、違うからなっ!」
俺のペニスから口を離した高遠原に、慌てて言葉で噛みつく。
そうだ、そうだった。相手は高遠原だ。
更なる弱みを握られてしまった俺は、俺の精液を飲み込んだであろう高遠原を睨みつける。
だが、そんなのどこ吹く風。
「腰浮かせてたクセに、よく言うぜ」
高遠原は相変わらず、強気だ。
口元を指で拭って、高遠原は勝気に笑う。
悔しいことに、そんな顔すらも端整だ。
(く、屈辱だ……っ!)
結局、その日はそれ以上なにもされなかったけれど。
これで俺たちの関係が終わることは……なかった。
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