大嫌いな幼馴染みは嫌がらせが好き

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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6話・大事にするのが好き

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 以心伝心って、こういうことなのかな。

 思わずそう、笑ってしまいそうになった。


「……よう、諸星真冬くん」


 旧体育倉庫には既に、三人組の先輩が立っている。

 俺はてっきり……先輩たちは怒っているんだと思っていた。
 でも、何だか……?


(上機嫌に見えるのは、何でだ?)


 どこか、ご満悦そうな表情だ。

 その理由を、リーダー的先輩が教えてくれた。


「お前、胡桃沢詩織って女に告白されてただろ?」


 さっきの告白を、聞いていたらしい。

 詩織がしてくれた、演技の告白。きっと途中までしか聞いていないから、あの告白を本物だと思っているんだろう。

 俺はなにも答えず、先輩たちを見上げる。


「あれだけの美人さんです。もう、高遠原さんに近寄る理由はありませんよね?」
「最初からさ~……美鶴さんと貴方は~? ただの幼馴染み、だったんだし~?」


 本当に、途中までしか聞いていないんだ。
 俺が告白をオーケーしたと思っているんだろう。そして、それなら俺を許すとでも言いたげだ。

 ――詩織が、俺に与えてくれた勇気。

 ――それをないがしろにされているみたいで、すごく……ムカつく。


「……俺も、先輩たちに訊きたいことがあったんです」
「へぇ? 言ってみろよ。今はゴキゲンだからな、答えてやるかもな?」
「なら、答えてもらいますよ。……先輩たちは、俺と美鶴が泊まりをしてるって、誰から聞いたんですか」


 ――これで、美鶴が犯人じゃなかったら。

 三人は、一瞬だけ口を閉ざした。
 だけどすぐに、リーダー的先輩が口を開いた。


「――誰にも」


 それは、少しだけ……予想外の返事だ。
 想定していなかった答えに、言葉が出てこない。

 そうすると、丁寧な口調の先輩が続けた。


「カマをかけたんですよ。貴方たちが一緒に帰っているのも、行き先が高遠原さんの家なのも知っていたので」


 それだけの情報で、あんなに自信満々な態度だったのか。……役者に向いてると思う。


「なら、もう一個。……先輩たちは、美鶴になにをされたんですか。どうして俺のことを目の敵にして、どうして……美鶴を、挑発しようとしたんですか」


 好きになったなら、告白をするとかただ見ているだけとか……色々なやり方があるだろう。
 なのにこの人たちは、まるで美鶴のことを……恨んでいるみたいだった。


『――これは、お前がしたことの報いだ』


 あの言葉は、どういう意味だったんだろう。
 見当もつかない質問の答えを、今度はのんびりとした口調の先輩が……答えた。

 ――あまりにも、バカげた答えを。


「――ボクたちを惚れさせたくせに~……放置したんだよね~」




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