スノードロップに触れられない

ヘタノヨコヅキ@商業名:夢臣都芽照

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後日談【一般的とはほど遠い享楽的な休日】

8 *

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 体と体のぶつかる音が、リビングに響く。


「あっ、ぁあ、はっ! やっ、ぁん、っ!」


 何度も何度も後孔を差し穿たれる矢車は、自身を支える松葉瀬の腕にもたれかかることしかできない。

 背後から逸物で犯され、矢車は蕩けきった瞳でぼんやりとリビングの内装を見つめる。


「やっ、んんっ、あっ──ぁあっ!」


 ビクリと大きく、矢車の体が震えた。
 あられもない嬌声じみた声を上げる矢車は、持参したエプロンを白濁の液で汚す。


「またイッたのかよ。これで何回目だ?」
「はっ、ぁ……っ」
「男としては気分がいいけどな。前を触らなくてもイけるくらい、俺のモノがいいって言外に伝えられるのは」
「やん、っ! 待って、動かないで──あっ、あ、っ!」


 矢車の休息も待たずに、またしても松葉瀬は逸物を打ち付け始めた。

 肉壁を強引にこじ開けつつ、奥にある弱い部分を執拗に攻める。
 矢車の後孔からはしたない音が鳴ろうと、矢車の逸物がしとどに濡れそぼろうと、松葉瀬には関係がない。


「んっ、あっ! はぁ、あっ、んん、っ!」


 甘えん坊なくせに、素直になれない後輩。
 本当は誰よりも松葉瀬のことが好きなくせに、それを言えない男。
 そしてなによりも自分を求められたいくせに、上手な誘惑ができない残念な恋人。

 空回りを極める可哀想な番を見て、松葉瀬は口角を上げた。


「言えよ、菊臣。俺のことが好きだって。……そうしたら、テメェにも同じモンを返してやる」


 喘ぎ声を漏らしながら、矢車は懸命に松葉瀬を振り返る。

 松葉瀬から、好意を伝えられたい。
 しかし、自分がそれを口にするのは断固として拒否する。

 そんなワガママな葛藤を抱いていると、松葉瀬にはまるで矢車の内心が透けているかのように、ハッキリと見えた。

 矢車は口を開き、漏れ出る喘ぎ声を懸命に押さえつけながら、言葉を紡ぐ。


「ボク、は……っ。センパイの、ことが……っ」


 グリグリと、最奥が逸物に圧迫される。
 まるで、急かされているようだ。そう、矢車は思ったのだろう。


「センパイの、ことが……っ」


 矢車は言葉を区切り、コクリと喉を鳴らす。
 そのまま、矢車は……。


「──ホントは、そんなに嫌いじゃ……ない、ですよ……っ?」


 気丈に、微笑んだ。

 これが今の矢車にできる、最大限の譲歩。
 そうと分かっている松葉瀬からすると、この発言は酷く愉快に思えた。


「あぁ、そうかよ。生憎と俺も、そこまでテメェを目の敵にはしてねェんだわ」
「んっ、ふふっ。それじゃあボクたち、結構な仲良しさんかもしれないですねぇ……っ?」
「なんだよ、その括り方。なんか気色わりィ」
「んんっ!」


 距離を詰めて、松葉瀬は矢車のうなじに舌を這わせる。
 傷付いたそのうなじが、こんなにも慈しむべき対象に思えるのだから、アルファとオメガの【番】という関係性は厄介だ。

 ……しかし。


「センパイ、センパイ……っ! ボク、またイく……っ! イっちゃい、ますからぁ……っ!」
「そうかよ、好きにしろ。……俺も、テメェのナカには好きに出す」
「んっ、あはっ。センパイの、傲慢クズ……っ。……んっ、あっ、ぁあ、っ! ふあ、あぁっ!」


 そのくらいハッキリとした関係性があるからこそ、この二人にはちょうどいいのかもしれない。

 ……そう思える程度に、松葉瀬は自分が持つ【第二の性】というものを許容できた気がするのだから、不思議だった。




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