無属性魔術師の軌跡

nanasi

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第一話

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建物の中に赤子の泣き声が響く。
眠っていたかのように失っていた意識も
この時、取り戻した。
ただ自分が考えていることは一つだけ、
異世界転生したはずなのに、周囲が病院のような場所であること。
母親と父親らしき人が自分に呼びかける。
自分でもなぜこんなに泣いているのか、なぜ意識はこんなに冷静なのかわからない。

「アラン、生まれて来てくれてありがとう」

母親が涙ぐみながら話しかける。
自分の名前はアランと言うらしい。

——————————

二歳になった
少しこの世界で生活してきてわかったことがある。
文明レベルは、元の世界とあまり変わらない。
しかし、この世界には魔法があり、基本的に電力の代わりに魔力が用いるなど、色々な使い方をしている。
また、母が読み聞かせてくれた絵本などに魔物や冒険者が出てきたから、この世界は、剣と魔法のファンタジーと言っても差し支えはないだろう。
正直、早く魔法を使いたいので、母に頼んでみる。

「まほう見たい」
「アランにはまだ魔法は早いわよ。魔法は五歳にならないと使えないの、でもママの魔法を見たいんだったら見せてあげられるわ」

返事をして見せてもらった魔法は想像以上だった。
水球が浮かんでいる。
前世では絶対に無理であろうその現象をみると、興奮が止まらなくなった。

「もっと」
「ダメよ、危ないから」

頼んでも見せてくれないので、これ以上は諦めたがその夜はあまり寝付けなかった。

あれから三年が経ち、五歳になった。
この世界では五歳で魔法を授かり、十五歳で成人になる。
今日がその日である。

魔法は、様々な属性がある。
基本的には、
五大属性である火属性、木属性、土属性、雷属性、水属性
そして、光属性と闇属性である。
光属性と似ているもので、神聖魔法があるが、それは詠唱をすることで誰でも基本的に使える。

魔法の説明はこれくらいにして大人しく始まるのを待っていると、目の前でカツアゲされている獣人の男の子が居た。
異世界でもこういうのあるんだな

それから数分して始まった。
アランだから割と最初の方に呼ばれるはずだ。

案の定二番目に呼ばれた。
部屋に入ると初老の男性が一人、
促されるままに椅子に座ると、脳に声が響いてきた。
この感覚は転生する直前に感じたものと同じように感じた。

「無属性」

無属性とか聞いたことないな
これだけで終わりか、回転率意識なんかな

「何属性でしたか？」

神父が話しかけてくる。
意外と口が臭い、神聖魔法で他人は治療できても自分の口の臭さは治せないみたいだ。

「無属性です」
「なるほど」

地獄みたいな空気が流れてる。
帰っていいのかな

「帰ってもいいですか？」
「だめです」
「え？」
「冗談です。帰ってもらって構いません」
「ありがとうございました」

一応お礼だけ言って部屋を出る。

———————

あれからさらに十年何もなく、すくすくと育った僕は、
魔法とかそんなにやってないからできないし、
ずっとゴロゴロしてるから体力もない。
成人すると冒険者登録ができるため、成人したら冒険者になる予定だ。
貯金はそこそこあるし、装備はある程度揃えられる。
成人の儀はないため、十五歳の誕生日が成人となる日である
すぐに家を出る。
家出という形になってしまうが、仕方ない。
街には、冒険者ギルドがある。
街へは徒歩で六時間程度で着く。
朝出発すればお昼過ぎに着く予定だ。

思ったよりも遠く途中休憩を挟んだため、夕方に着いた。
街に入るのには銅貨が十枚必要である。
この時間でも街に入れるかどうか考えているうちに
列は進んでいき、自分の番になった。
銅貨十枚は少し高いと思う。
日本円にして百円くらいと考えると十分安いけど、、
冒険者ギルドは街の中心の方にある。
中に入ると、筋肉達がたくさん居た。
女性もいるが、男性の方が多い印象を受けた。
筋肉が体積大きいだけかもしれないけど。
受付は真面目そうなイケメンだった。

「すみません、冒険者登録をしたいのですが」
「かしこまりました、こちらのカードに血液を垂らすと登録ができます。お先に登録料の銀貨一枚をいただきます」

銀貨を手渡した後に渡されたのは、クレジットカードや交通系ICカードのような形状をしたカードだった。
一緒にもらった針で血を垂らす。
カードは光を帯びて、輝き出す。
光が治まると、カードには文字が浮き出た。

アラン(15歳) Lv.1
職業 : 無職
魔力属性 : 無属性

カードの色は紫だ。

「無職って何ですか？」
「まだ職業が定まっていない状態ということです。ギルドで職業訓練を受けると職業の決定・変更ができます。」

思わず聞いてしまった。
冒険者として活動するまでまだまだ時間がかかりそうだ。

「ありがとうございました」

節約のために今日は野宿することにした。

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