無属性魔術師の軌跡

nanasi

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第二話

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翌朝、目覚めてすぐにギルドに行った。
ギルドには隣に酒場がある。
酒場といっても夜だけで、朝や昼は普通の定食屋の雰囲気を感じられる。
何人かそこで食事をしている人たちも居た。


適当に腹ごしらえをしたところで、昨日聞いたように職業訓練を受けることにした。
やっぱり自分がなりたいのは、魔法使いだ。
ただどこで受付ができるかわからない。

ギルドの受付で聞いてみると、街の東にある訓練場の中の一つで行えるらしい。
そこに行ってみると複数建物があり、その内の一つに魔法と書かれていたため、その建物に入ろうとしたが扉が開かない
しばらく悩んでいると扉の隣にパネルのようなものがあるのに気がついた。
そこに、ギルドのカードをかざすことで扉が開いた。
中には人が一人、女性のようだ。

「君が新人の子?」
「多分、そうです」
「まず、魔力測定するからこっちの部屋に来て」

案内されるまま入った部屋は机と水晶以外何もなかった。

「この水晶に手をかざして」
「はい」

手をかざすと水晶が淡く光り始めた。
暫く待つと数字が浮かび上がって来た。

「1434?」
「それが魔力量、1400くらいだと普通の魔術師よりも少し多いくらいかな」

何とかうまく行きそうでよかった

「君、魔力の属性は?」
「無属性です」
「なるほどね、まあ何でもいいけど」

属性は大して関係ないようだ。

「じゃあ何か教えてもらうことって…」
「ないよ」
「はい?」
「ない」

思わず聞き返してしまった。

「特に教えることはないし、この本を読んで独学で頑張って」

いつのまにか現れた本を手渡され帰るように促される。

「返却は今週中に」

追い出されてしまったので仕方なく外に出るが、
行く宛もないため、宿を探すしかない。
ちなみに渡された本は『五歳からの魔術入門』、
バカにされてるのかもしれない。
とりあえず冒険者ギルドに戻り、宿を探そうとする予定だ。
ギルドに入ると、中は昨日よりは心なしか人が少ない気がした。
昨日と同じ人が居たので、宿を尋ねる。

「宿を探してるのですが、なるべく安価な宿はありませんか」
「ここら辺だと『流星の宿』がいいですかね」

一緒に地図も渡されたので、その場所に向かってみる。
見た目は普通の民宿のような感じだ。

「まだここって部屋空いてますか?」
「丁度残り一部屋だね。一泊銀貨五枚食事付き、料金は前払い。何泊するかい?」
「五泊で」

銀貨を二十五枚渡すと部屋の鍵を貰えた。
部屋はそこそこな広さという感じだ。

とりあえず、渡された本を開く。
最初は魔力を感じることかららしい。
この本の説明によると、魔力は胸のあたりにある器官で作られるらしい。
しばらく瞑想をしていると身体中を駆け巡る熱いものを感じた。
これが魔力だろうか。
次に魔力を操作する。
魔力操作は、身体の一部に魔力を集中させるイメージでやるとできるらしい。
目に魔力を集中させると、魔力が見えるようになるらしい。

いざ実践!

結論
本当に見えた。
窓の外を眺めると外がイルミネーションのように輝いていた。
電灯もやはり魔力が流れているらしく電灯の光とは別の光の流れが見えた。

他にも流石に部屋では試せないが、筋肉に集中させることで筋力が高くなったり、耳に集中させることで聴力が高くなったりするなど器官の働きを増強できるらしい。
勘の良い方ならわかると思うが、目に魔力を集中させた時と同じように感覚器官に魔力を集中させると魔力を感じられる。
一番わかりやすいのが目っていうだけで。

次のステップは魔法を使うこと。
しかし、この本に載っているのは基本的な属性だけで無属性の魔法は載っていない。
まあ、基本的に球形の魔法は全属性でできるらしいから、他の属性のやり方を参考にやってみる。
魔力を放出するイメージでそのイメージを離さずにその魔力を球形に整える。
魔力はある気がするけど、それを感じられるだけで何もない。
他の属性の魔法はその属性に沿ったものが現れるらしい。
何かに当ててみる。
部屋のベッドに押し付けてみると、マットレスが軽くへこんだ。
姿が見えないだけで魔法として固めると、実体はあるらしい。
多分魔力を見るとわかるが、見ないと普通の人にはわからない。
暗殺とかに使えそう。
魔力を固めて首を絞めるだけで最強の魔法みたいな。

そんな実験をしていると朝になってしまった。
あの本はもう読み終えたので返しに行く。
昨日と同じように扉を開けると、殺風景だった部屋が書物の山に変わっていた。

「すみません」

声をかけるが反応がない。
下の方で寝息のような音がしたので、そちらを見ると昨日の女性が眠っていた。
起こすのも悪いと感じたので、一旦魔法の練習をすることにした。
街の北端にある林に行って木を練習台に魔法を撃つことにした。

昨日練習したように球体を作り、木に当ててみる。
大きな音をして、木が倒れた。
もっと銃弾のような形にして空気抵抗を減らして放つイメージでやると、木を貫通できるかもしれない。

何回か試行錯誤を繰り返していると、貫通した。
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