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第二章 覚醒編
13 覚醒
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「……まあ、死んじまったのは仕方ねぇ。生捕って話だったけどよぉ死体でも許してもらえんだろ!」
耳障りな声で僕の意識は強制的に現実に戻される。
男のげびた笑みが視界の端に映る。
こいつだ。
こいつがアリスを殺した。
僕の大切な人を殺したのだ。
許せない。
許せるはずもない。
怒りで頭が沸騰しそうだ。
「クハハっ! 護衛が生きてるなんて滑稽だなぁ!? ガキが死んで気分はどうだあぁ!?」
僕にまだ意識があることを見た男が話しかけてくる。
口腔は吐血で溢れ、喉を切り裂かれてろくに声も出ない僕に、答えを望んでいるわけではないのだろう。
アリスを目の前で失った僕の反応を楽しんでいるのだ。
男のにやけヅラを見るだけで腑が煮え繰り返る。
「安心しろよぉ! これからお前も後を追わせてやるからなぁあ!」
男が嬉々として曲刀を振り回す。舌なめずりをするさまは、僕をどう殺そうか悩んでいるように見える。
「決めたぜぇ! 手足を切り刻んで、皮を剥いで、腹を切り開いて腹ん中ぐちゃぐちゃにしてやるぜ! じっくり殺してやるから楽しみにしてな! クハハハハハハハ!」
男がごちゃごちゃ言っている。うるさい。黙れ。
僕がお前を倒す。
手の感覚は戻りつつある。かろうじてだがナイフは握れるだろう。
あとは足が回復してれば動ける。
立ち上がる動作をすると、蓄積されたダメージで思うように足が動かなかった。
まだ足は動かないか。
でも、諦めない。
僕はこいつを倒すまで死んでも死なない。
「その前にコレ邪魔だな」
次の瞬間男のとった行動に、頭の何かがぷつんと切れた。
理性だったのか、何が何でも人殺しはしたくないという感情か。
糸が切れたことで限界を超えた。
「グぅおおおおおおおおおおお!」
気がつけば僕は吠えていた。
血反吐が出て喉は焼き切れるように熱い。
しかし咆哮は止まらない。
今しがた男はアリスを蹴飛ばした。
アリスの体をゴミのように扱ったのだ。
「ウオおおおおオオオオオオオ!」
喉から血を吹き出しながら、叫ぶ。
立ち上がる。
バキバキボキッ!!
体が悲鳴を上げ、肋骨が折れ、腕があらぬ方向へひしゃげているのがわかる。
それでも動く。
こんな痛みや苦しみ、アリスがうけた傷と比べれば生ぬるい。アリスの背中は肉が裂かれ背骨が剥き出しで、体内がはっきりとみえる状態だった。
相当な痛みと苦しみだったはずだ。
アリスより痛みを感じていない僕が屈するのは違う。
この程度の傷、痛みなど感じない。
痒いくらいだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー~
熟練度が一定に達しました。
スキル 痛覚耐性を取得しました。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
久々の声だ。
余計なことを。
スキルにより痒みが和らいだことに対して内心毒づく。これじゃ痛みを感じられないじゃないか。アリスが受けた傷のほんの一端でも感じていたかったのに。
しかし痛覚耐性のおかげで僕は立ち上がることに成功した。
「んぉ? 意識が飛びかけるほど重症で立ち上がっただと? どんな手品だぁ?」
男の驚く顔が滑稽で不覚にも笑ってしまった。
手品もクソもない。気合いで立っているのだから。
この男を何が何でも殺してやるっていう気合いだ。
「しかしまあ随分とふらついてんじゃねえかぁあ? 寝ちまって楽になれよぉお! この死骸みたいにヨォお!!」
ガッ!
二度目だ。
こいつはアリスを二回も蹴り飛ばした。
限界を超えてもなお、僕の体はさらに限界を超越する。
__殺す。
__殺す
__殺す。
先ほどまでの怒りや悲しみや憎しみという様々な感情はなりをひそめ、「殺す」という言葉だけが脳内を支配する。
この男を殺すことしか考えられない。
今まで感じたことのない感情だった。
これはなんだ。
名前もつけられない感情。
悪くはない。
余計なことを考えずに済むのは心地良い。
こいつを殺せれば、自分がどうなろうとどうでもいいのだ。
ーー瞬間。
新たなスキルが発現した。
「獣みたいに喚きやがってうっせんだよぉおお!!」
男が疾走する。今度こそ僕の意識をかりとろうとしているのがひしひしと伝わる。
しかし、僕は男の猛攻を余裕の笑みで向かえることが出来た。
体の傷が癒えているわけでもないのに、なぜか自分が地に這う姿が想像できない。
今しがた手に入れたスキルが僕に勝利を確信させてくれた。
男を殺すことを約束してくれた。
手にしたスキルの名は。
____限界突破。
ーーーーーーーーーーーー
スキル限界突破を発動します
ーーーーーーーーーーーー
その瞬間。意識が切り替わった。
僕は、俺になった。
耳障りな声で僕の意識は強制的に現実に戻される。
男のげびた笑みが視界の端に映る。
こいつだ。
こいつがアリスを殺した。
僕の大切な人を殺したのだ。
許せない。
許せるはずもない。
怒りで頭が沸騰しそうだ。
「クハハっ! 護衛が生きてるなんて滑稽だなぁ!? ガキが死んで気分はどうだあぁ!?」
僕にまだ意識があることを見た男が話しかけてくる。
口腔は吐血で溢れ、喉を切り裂かれてろくに声も出ない僕に、答えを望んでいるわけではないのだろう。
アリスを目の前で失った僕の反応を楽しんでいるのだ。
男のにやけヅラを見るだけで腑が煮え繰り返る。
「安心しろよぉ! これからお前も後を追わせてやるからなぁあ!」
男が嬉々として曲刀を振り回す。舌なめずりをするさまは、僕をどう殺そうか悩んでいるように見える。
「決めたぜぇ! 手足を切り刻んで、皮を剥いで、腹を切り開いて腹ん中ぐちゃぐちゃにしてやるぜ! じっくり殺してやるから楽しみにしてな! クハハハハハハハ!」
男がごちゃごちゃ言っている。うるさい。黙れ。
僕がお前を倒す。
手の感覚は戻りつつある。かろうじてだがナイフは握れるだろう。
あとは足が回復してれば動ける。
立ち上がる動作をすると、蓄積されたダメージで思うように足が動かなかった。
まだ足は動かないか。
でも、諦めない。
僕はこいつを倒すまで死んでも死なない。
「その前にコレ邪魔だな」
次の瞬間男のとった行動に、頭の何かがぷつんと切れた。
理性だったのか、何が何でも人殺しはしたくないという感情か。
糸が切れたことで限界を超えた。
「グぅおおおおおおおおおおお!」
気がつけば僕は吠えていた。
血反吐が出て喉は焼き切れるように熱い。
しかし咆哮は止まらない。
今しがた男はアリスを蹴飛ばした。
アリスの体をゴミのように扱ったのだ。
「ウオおおおおオオオオオオオ!」
喉から血を吹き出しながら、叫ぶ。
立ち上がる。
バキバキボキッ!!
体が悲鳴を上げ、肋骨が折れ、腕があらぬ方向へひしゃげているのがわかる。
それでも動く。
こんな痛みや苦しみ、アリスがうけた傷と比べれば生ぬるい。アリスの背中は肉が裂かれ背骨が剥き出しで、体内がはっきりとみえる状態だった。
相当な痛みと苦しみだったはずだ。
アリスより痛みを感じていない僕が屈するのは違う。
この程度の傷、痛みなど感じない。
痒いくらいだ。
ーーーーーーーーーーーーーーーー~
熟練度が一定に達しました。
スキル 痛覚耐性を取得しました。
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久々の声だ。
余計なことを。
スキルにより痒みが和らいだことに対して内心毒づく。これじゃ痛みを感じられないじゃないか。アリスが受けた傷のほんの一端でも感じていたかったのに。
しかし痛覚耐性のおかげで僕は立ち上がることに成功した。
「んぉ? 意識が飛びかけるほど重症で立ち上がっただと? どんな手品だぁ?」
男の驚く顔が滑稽で不覚にも笑ってしまった。
手品もクソもない。気合いで立っているのだから。
この男を何が何でも殺してやるっていう気合いだ。
「しかしまあ随分とふらついてんじゃねえかぁあ? 寝ちまって楽になれよぉお! この死骸みたいにヨォお!!」
ガッ!
二度目だ。
こいつはアリスを二回も蹴り飛ばした。
限界を超えてもなお、僕の体はさらに限界を超越する。
__殺す。
__殺す
__殺す。
先ほどまでの怒りや悲しみや憎しみという様々な感情はなりをひそめ、「殺す」という言葉だけが脳内を支配する。
この男を殺すことしか考えられない。
今まで感じたことのない感情だった。
これはなんだ。
名前もつけられない感情。
悪くはない。
余計なことを考えずに済むのは心地良い。
こいつを殺せれば、自分がどうなろうとどうでもいいのだ。
ーー瞬間。
新たなスキルが発現した。
「獣みたいに喚きやがってうっせんだよぉおお!!」
男が疾走する。今度こそ僕の意識をかりとろうとしているのがひしひしと伝わる。
しかし、僕は男の猛攻を余裕の笑みで向かえることが出来た。
体の傷が癒えているわけでもないのに、なぜか自分が地に這う姿が想像できない。
今しがた手に入れたスキルが僕に勝利を確信させてくれた。
男を殺すことを約束してくれた。
手にしたスキルの名は。
____限界突破。
ーーーーーーーーーーーー
スキル限界突破を発動します
ーーーーーーーーーーーー
その瞬間。意識が切り替わった。
僕は、俺になった。
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