君のそばに

Masa&G

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6話 検証

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翌朝、始業前社内――

空調の低い唸りが耳の奥に残る。窓からの光がデスクの端を白く照らしているのが視界の隅に入った。

美月は早い時間から席に着き、モニターに向かっている。
画面の光がレンズに映り込む。

「おはよう。」

背後から声が落ちる。コーヒーの匂いがわずかに近づいた。

「おはようございます。」

「昨日遅くまでやったのか?」

カップが触れ合う小さな音がする。

「昨日は22時半ですね。」

「帰ってからの話だ。」

椅子を少しだけ回し、視線だけ向ける。

「朝方まで。」

自分でも気づかない程度に口角が動く。

「上条がメガネのときはそんなとこだ。」

「まだ1カ月もあるんだ。あせらなくて…」

一拍。

「と、言っても上条には無駄か。」

美月は小さくうなずき、再び視界を画面に戻す。

「どうだ?プロトタイプは?」

「いい子ですね。素直で。」

「……そうか。上条らしい表現だな。」

「頼むな。」

「はい。」

背後の気配が遠のく。キーボードの待機音だけが残る。

『いい子とは僕のことかい?』

画面の端に文字が浮かぶ。

「不満?」

『不満ではない。』

視界の片隅でウィンドウが開く。

高田康平 
年齢45歳
妻子あり 
○○大学卒業

「画像識別、カメラ補正、適合処理……」

『照合すれば簡単なことだ。』

椅子をわずかに前へ寄せる。画面との距離が縮まる。

「そのまま続けて。」

「おはようございます。」

すぐ後ろで声が交差する。

「おはよう。」

表示が切り替わる。

山川美里 
年齢22歳 
未婚 
○○大学卒業

画面を確認し、背もたれに体を預ける。肩の力を少し抜く。

「君は今、どこまでダイブできる?」

『100%取得可能まで。』

「なるほどね。」

(SERAの言う100%……)

(個人のすべてを見れる…そんなところか…。)

机の端に置いた時計に目を落とす。

「じゃあ少し離れるから現状把握だけはしておいて。」

『了解した。』

立ち上がると視界がわずかに高くなる。

そのまま歩き出だし、

(マイナンバー…クレジット…)

カツ…カツ…カツ

(そんな小さなことじゃない…)

(人間を誘導することも簡単にできる…)

廊下に靴音だけが響く――


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