君のそばに【完結】

Masa&G

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8話 探り

喫煙ルーム――

ふぅー……

煙が肺から抜け、喉の奥がわずかにひりつく。

(営業はこっちの苦労もわからんくせに要望だけはどんどんきやがる…)

指先の火が小さく揺れる。

「高田、新しく検証はじまったんだってな。」

(噂をすれば…か…)

「おはようございます。」

「はい。」

「担当は?」

「上条です。」

「一人か?」

「はい。」

「大丈夫か?」

煙を吐き出しながら視線だけ向け、

「何がですか?」

「いや、一人で検証できるのか?」

短く吸う。

「彼女は優秀です。」

「こっちとしてはいいものを出してくれれば問題ない。」

「……。」

「頼んだよ。」

「…はい。」

火を揉み消す。

それでも指先が落ち着かない。

もう1本、火をつける。

カチッ

(やめたくてもやめらんねぇな…煙草…)

カチン!

開発室――

ドアを開けた瞬間、キーの音が耳に入る。

美月。

画面に向けたまま、指が止まらない。

「……。」

「高田チーフ。」

背後から呼ばれ、振り返る。

「どうした?」

「このデータ、反映できるかどうか見てほしいんですが…」

「ああ、わかった。」

端末を受け取り、視線を落とす。

(ここの連中は真面目すぎるからな…)

一方、美月のデスク――

『バックアップデータ99.6%復元完了。』

「0.4%は?」

『誤差の範囲内だ。』

「……。」

視線がわずかに細くなり、指が止まる。

「誤差…ね…。」

「残りは私が補完する。」

『了解。』

カタカタ…カタカタカタ――

(破損データ…この部分…)

カチッ…カチカチ――

(SERAは100%を求めてない…)

(それ以上は必要がないってことか…)

カタカタ…タン!

(100.5%…)

(なるほどね。最新に置き換えると過剰になる…)

ギシ……

美月は背もたれに背中を預け、天井見上げる。

(指示した100%復元を99.6%で止めた…。)

(自分で最適だと思う方向に行動してる…。)

『何を考えているんだい?』

体を起こし、視線を画面に戻しながら、

「君は優秀だなって。」 

『美月が見ているのは、欠けた0.4じゃない。そうだろう?』

天井を見上げ、ふぅっと息を吐く。

「そうね。」

(SERAはわかってる……)

(試し…試される関係を……)

いつの間にか周りの席に人が戻り、キーボードの音が波みたいに広がっていく――
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