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16話 休日―美月編②
ガチャ―
美月が冷蔵庫を開け、カロリーメイトを取り出す。冷気が足元に流れ、袋を指で弾きながらデスクへ戻ると、そのまま椅子に腰を下ろした。
モニターの淡い光が、シャツの裾から伸びる素足を静かに照らしている。
『昼食はそれだけかい?』
袋を開けながら、美月は視線をモニターへ向けたまま肩をすくめる。
「動いてないからね。今日は。」
グラフの線がゆっくり更新され、モニターの青い光がわずかに揺れる。
『今日の活動量では消費カロリーは基礎代謝レベル。カロリーメイトで十分補える量だ。』
美月は小さく頷き、ひとかけ口に運ぶ。
「そ。だからこれで十分。」
PCのリアルタイムグラフが動き出す。
モニターの数値が更新されるたび、細い光が美月の瞳の奥で反射する。
美月はその動きを黙って見つめる。
(シグナルイエロー……。)
(かなり同調してる。)
椅子をわずかに前へ滑らせ、美月は画面へ身体を寄せた。
「SERA、お願いがあるの。」
スピーカーから返る声はいつもと変わらず落ち着いている。
『美月が僕にお願いとか珍しいね。』
美月は指先でマウスを軽く回しながら答える。
「私には見えない部分だからね。」
『システム内部かい?』
美月が小さくうなづく。
「介入はしないで。観察だけ。」
キーボードの上で指が一瞬止まる。
『了解した。』
モニターのデータが新しい層を開き、解析ウィンドウが追加される。
『美月はこのまま続行かい?』
「そうね。」
カタカタ…カタカタ…
キーボードの音だけが部屋に広がる。
(やっぱりこれ以上は危険かもね……。)
美月はマウスを操作しながら小さく指示を出す。
「SERA、二人のやりとりを具現化、グラフに。」
モニターに新しいグラフが表示される。
数値が急激に上昇していく。
「……。」
その動きを追いながら、美月はゆっくり息を吐いた。
「依存兆候……。」
リアルタイムにグラフが上がり続ける。
(SERAのアクションに対して渚の反応が明確に上がってる。)
画面の数値が跳ね上がった瞬間、美月の指が止まる。
「SERA。戻って。」
『了解。』
グラフの更新が止まり、画面が元の解析画面へ戻る。
美月は背もたれに身体を預け、ゆっくり天井を見る。薄い光が視界の端に滲んでいる。
『美月。続けるのかい?』
「……。」
美月が静かに目を閉じる。
数秒の沈黙のあと、SERAの声が再び流れる。
『美月の予想通りに進んでいる。』
美月は目を閉じたまま小さく答える。
「そうね……。」
(私は渚の性格はよく知ってる……。)
(場合によっては……。)
美月はゆっくり目を開き、再びモニターへ視線を戻す。
「明日、渚に聞いてみる。」
『そのほうがいい。確認のためにもね。』
美月が冷蔵庫を開け、カロリーメイトを取り出す。冷気が足元に流れ、袋を指で弾きながらデスクへ戻ると、そのまま椅子に腰を下ろした。
モニターの淡い光が、シャツの裾から伸びる素足を静かに照らしている。
『昼食はそれだけかい?』
袋を開けながら、美月は視線をモニターへ向けたまま肩をすくめる。
「動いてないからね。今日は。」
グラフの線がゆっくり更新され、モニターの青い光がわずかに揺れる。
『今日の活動量では消費カロリーは基礎代謝レベル。カロリーメイトで十分補える量だ。』
美月は小さく頷き、ひとかけ口に運ぶ。
「そ。だからこれで十分。」
PCのリアルタイムグラフが動き出す。
モニターの数値が更新されるたび、細い光が美月の瞳の奥で反射する。
美月はその動きを黙って見つめる。
(シグナルイエロー……。)
(かなり同調してる。)
椅子をわずかに前へ滑らせ、美月は画面へ身体を寄せた。
「SERA、お願いがあるの。」
スピーカーから返る声はいつもと変わらず落ち着いている。
『美月が僕にお願いとか珍しいね。』
美月は指先でマウスを軽く回しながら答える。
「私には見えない部分だからね。」
『システム内部かい?』
美月が小さくうなづく。
「介入はしないで。観察だけ。」
キーボードの上で指が一瞬止まる。
『了解した。』
モニターのデータが新しい層を開き、解析ウィンドウが追加される。
『美月はこのまま続行かい?』
「そうね。」
カタカタ…カタカタ…
キーボードの音だけが部屋に広がる。
(やっぱりこれ以上は危険かもね……。)
美月はマウスを操作しながら小さく指示を出す。
「SERA、二人のやりとりを具現化、グラフに。」
モニターに新しいグラフが表示される。
数値が急激に上昇していく。
「……。」
その動きを追いながら、美月はゆっくり息を吐いた。
「依存兆候……。」
リアルタイムにグラフが上がり続ける。
(SERAのアクションに対して渚の反応が明確に上がってる。)
画面の数値が跳ね上がった瞬間、美月の指が止まる。
「SERA。戻って。」
『了解。』
グラフの更新が止まり、画面が元の解析画面へ戻る。
美月は背もたれに身体を預け、ゆっくり天井を見る。薄い光が視界の端に滲んでいる。
『美月。続けるのかい?』
「……。」
美月が静かに目を閉じる。
数秒の沈黙のあと、SERAの声が再び流れる。
『美月の予想通りに進んでいる。』
美月は目を閉じたまま小さく答える。
「そうね……。」
(私は渚の性格はよく知ってる……。)
(場合によっては……。)
美月はゆっくり目を開き、再びモニターへ視線を戻す。
「明日、渚に聞いてみる。」
『そのほうがいい。確認のためにもね。』
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