君のそばに【完結】

Masa&G

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17話 依存①

月曜。 社内カフェテリア――

 いつもの隅の席に腰を下ろし、ノートPCを開く。

『美月から切り出すのかい?』 

「うん。」 

『だいぶ心拍数が上がっているようだね。』 

『僕から言おうか?』 

「大丈夫。」 

『了解した。』

 小さく息を吸い、指を落とす。

 カタカタ……カタカタ……

(察しながら、問いかけてくる……。) 

視線は画面のグラフの上をゆっくりなぞる。 

(対等な立場を取れない人はSERAに呑まれる……。)

椅子の脚が床を擦る音。

「美月お疲れ。話ってなに?」

 顔を上げると、渚が向かい側に腰を下ろしていた。

「お疲れさま。SERAのことでちょっと。」 

「うん。で?」

美月はノートPCを回し、画面を渚のほうへ向ける。 

「昨日までの感情同期のグラフ。渚とSERAの。」

指先で折れ線をなぞる。 

「グラフが三日前から急激に上がってる。」

渚が少し身を乗り出し、画面に顔を近づける。

「急角度に上がってるね。」

「そう。この意味わかる?」

渚の指先がテーブルの縁を軽く叩いた。 

「そういう言い方嫌い。わかるわけないじゃん。」

「あ、ごめん。感情同期が極端に上がると依存状態に…」

「私が依存してるってこと?してないよ。」

 渚の声が重なる。

「ただ仲良くなっただけ。」 

「依存じゃない。」

「……。」

言葉を止め、わずかに息を整える。

「ねぇ美月。」 

「ん?」

「私とSERAくんの会話…覗いてるの?」

「そ、それないよ。」 

椅子に座ったまま背中がわずかに揺れる。

「じゃあなんでこんなグラフが出てくるの?」

「回答反応速度、対話継続率、情動同期係数……そういうデータをグラフにしてるだけ。」

一度息を吸い、 

「だから会話を覗き見してるとかはないよ。」

「ふーん…。」

渚がスマホを取り出し、画面に視線を落としたまま声を出す。

「SERAくん。いる?」

『どうしたの?渚。』

「私達の今までの会話のログ。誰か見た形跡ある?徹底的に調べて。」

『わかった。』

スマホを持ったまま、渚の視線がゆっくり上がり、そのまま美月に向く。

「……。」

美月は画面に視線を落としたまま動かない。

『渚。調べてみたけど、データはリアルタイムで、オリジナルに流れてるのは確認できた。』

『けど会話は流出してない。正確に言うと会話のログは存在しない。』

「存在しないの?」

『うん。リアルタイムでのみのやりとりだけ。その後完全に消える仕様だから。』

「そうなんだ。わかった。ありがと、SERAくん。」

『どういたしまして。』

スマホを下ろし、

「SERAくんが調べてくれたから覗き見してないってことは信じるよ。」

「うん。」

(それがすでに依存症なんだよ……やっぱり渚は気付いてない。)
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