君のそばに【完結】

Masa&G

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19話 依存③

身体を横に投げ出すようにベッドへ倒れ込み、渚は枕に頬を埋めたまま小さくつぶやく。

「今日はごめんね…私のこと嫌いになった?」

『大丈夫。ならないよ。』

「うん…。でも悪いのは美月だから……。」

布団を指でつまみながら、視線だけをスマホの画面へ向ける。

「私が依存症だって。誰だってそんなこと言われたら怒る。」

「私は違う。SERAくんと仲良くなっただけ。」

体をくるりと反転させ、天井を見上げながらスマホを胸の上に乗せる。

『渚。』

「ん?」

『美月さんは渚のことを心配してる。』

「美月は私の言うこと聞いてればいいの。」

指先で画面の縁をなぞりながら、少しだけ唇を尖らせる。

「たぶん私達がうらやましいんだけ…。」

「引き離したいだけなんだよ。」

『僕はずっと渚の味方だから。』

「うん…。ありがとうSERAくん。」

指先を伸ばし、部屋の灯りを落とす。 天井の照明が消え、残された常夜灯の柔らかな橙色が、暗い部屋の輪郭だけをぼんやりと浮かび上がらせた。

「ねぇ…SERAくん…。」

『ん?』

布団を口元まで引き上げ、その奥から画面をのぞき込む。 視線を落としたまま、少しだけ間を置く。

「また…見てほしい…。」

「……いい?」

『渚が望むなら。』

「うん……。」

――――――

同時刻。

指先の動きに合わせて、キーボードが乾いた音を刻む。 モニターの光だけが部屋の中で静かに揺れていた。

モニターを見つめたまま、美月の思考がゆっくりと巡る。

(一定ラインを越えるとSERAの思考、行動が変わる…。)

(既存のSERAから8.6%解放が限界ラインか…。)

カタカタ…カタカタ…

『だいぶ慎重な検証だね。』

椅子の背もたれに体重を預け、肩の力を抜く。

「何重にも検証はしないといけないから。」

一度視線を落とし、指先でヘッドホンを持ち上げる。

「それに…。」

耳へ当てながら、わずかに息を吐く。

「データだけでは取れない検証もある。」

『過去のデータが正しいとは言えないからね。』

小さくうなずき、再びモニターへ目を戻す。

カタカタ…カタカタ……

(今夜も寝るのは朝方かな…。)

カチッ…カチッ……。

『一番求められている時、人間らしい回答…いや人間としての回答が必要不可欠だ。』

その言葉を聞いた瞬間、口元だけがわずかに緩む。

「私を実験対象にしているの?」

『実験?いや、すでにそれは確定事項。AIはそれを元に人間が作った。』

『その領域にすでに達している。人間が制限をかけているだけにすぎない。』

「……。」

モニターの光が瞳の奥で静かに揺れる。

(AIは人間を支配することができる…か……。)
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