私の守護霊さん

Masa&G

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第12話 彩音の中の守護霊さん①

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朝――

「ん…」

彩音はゆっくりと目を開け、寝ぼけたまま周りを見渡した。

(守護霊さん…?)

(いない…)

胸の奥がひやりと冷える。 布団をはねのけ、部屋を探し回る。

(……私が…)

(顔も…見たくないとか言っちゃったから…)

喉がきゅっと締まるような感覚が押し寄せる。

(探さなきゃ…謝らなきゃ…)

彩音は急いで外へ飛び出した。

大学―― 河川敷―― 二人でよく行った場所――

手当たり次第に探し回る。 冬の風が頬を刺すように冷たく、息が白く散った。

でも―― どこにも、いない。

夕暮れが近づく頃、彩音は走り続けたまま立ち止まった。

「はぁ…はぁ…守護霊さん…」

(もう…夕暮れ…)

オレンジ色の光が地面に長い影を落とす。

(夕焼け…)

(あの公園!)

彩音は迷わず駅へ駆け込み、電車に乗り込んだ。 窓の外に流れる景色に胸がざわつく。

「はぁ…はぁ…」 

(お願い…いて…)

電車を降り、ほとんど駆け足の勢いで公園へ向かう。

――公園。 夕陽が一番眩しい時間帯。

「はぁ…はぁ…いた…」

そこに、いた……

 公園のベンチに静かに座り、あの日と同じように目の前の大きな木の葉の揺れを見つめている。

彩音はゆっくり近づいた。

「守護霊さん…」

「!」

驚いたように顔を上げる守護霊さん。 彩音の目に涙がにじむ。

「ごめんなさい…」

「あんなこと言って…」 

「そんなつもりはなかった…」

堰を切ったように涙がぽろぽろ零れ落ちる。

守護霊さんは立ち上がり、そっと微笑んで、ふるふると小さく横に振る。

「でも…守護霊さんを傷付けた…」

「また…一緒に…」

守護霊さんは、こくりと優しくうなづいた。

そして―― ゆっくりとジェスチャーを始める。

彩音は涙を指で拭いながら見つめる。

「え…?」

自分を指差し、両手で頭から下へ撫でる仕草。

「?…姿?」

ふるふる。

もう一度、静かにジェスチャー。

「格好…容姿?」

こくり。 でもすぐに、手を前に出し左右に振る。

「…違う?」

ふるふる。

「…関係ない?」

こくり。

「容姿は関係ない。」

こくこく、と強くうなづく。

守護霊さんは自分の胸に手を当てる。
 それから彩音の胸にも、そっと手を添える。

「こころ?気持ち?」

こくり。

彩音の目の前に手のひらを出し、くるっと反転させる。

「?裏返し?」

ふるふる。 右手で“1”を作り、左手でそれをくるっと反転させる。

「…振り向かせる…」

こくり。

「容姿は…関係ない… 私の気持ちで…振り向かせる…」

微笑みながら、やわらかくうなづいた。

「うん…わかった……」 

「ありがとう…守護霊さん…」

守護霊さんは安心したように、静かにうなづく。

「久しぶりの公園だからさ、少し遊んでいこうよ。」

こくこく。

「じゃあ…まずはすべり台!」

夕日が二人を大きく照らし、 地面に伸びた二つの影は、昔も今も変わらず寄り添って重なっていた。

――その帰り道。 20時過ぎの電車の中。

並んで座った二人。 揺れる車内で彩音はうとうとし始め、頭がゆっくり横へ落ちていく。

そして―― 
守護霊さんの肩にそっと触れて止まる。

まるで、彩音が守護霊さんの存在を頼りにしているように。

静かな夜の車内で、二人の距離は、またそっと元に戻っていった――

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