私の守護霊さん

Masa&G

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第17話 彩音の一人旅①(挿絵あり)

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都内の病院――

 昼の柔らかな光が窓から差し込み、フロア全体に春先特有のあたたかい空気が広がっていた。 

彩音は診察室の椅子に腰を下ろし、少し緊張した表情で医師の言葉を待つ。

「血液検査の結果は…うん…安定してますね。」

「免疫のほうも大丈夫。」

「そうですか。よかった。」

彩音の肩がほっと落ちる。 胸の奥で固まっていた不安が、ふわりと溶けていった。

「うん。半年間の記録見ても去年よりだいぶいいよ。 」

「部活、頑張ってるのかな?」 

「あ、はい。レギュラー取るために。」

にひっと笑う彩音。 

医師の表情も自然と柔らかくなる。

「そっか。それはいいことだね。無理しないで続けようね。」 

「はい!」 

「食事は? バランス取れてる?」 

「う…。」

「取れてない?」 

「気を付けてはいるんですけど…自炊が最近…」

「そっか。気を付けているんなら大丈夫。自炊しろとは言わないよ。 」 

「コンビニでも惣菜でもバランスが大事だから。」 

「はい。」

「いい結果は出てるからこのまま維持できるようやっていきましょう。」 

「はい。ありがとうございました。」

診察室を出た彩音は、手元の検査結果の紙を胸の前でそっと広げた。 

(よかった…全部標準…)

ふと隣を見ると、白い床にぽつんと置かれた身長体重計が目に入る。

 春の光が差し込み、金属部分に淡い反射が生まれていた。

(測ってみよ…)

ピッ… 表示板に数字が点灯する。

(155…高校から伸びてない…) 

(これが私の限界か…どうやったら限界突破できるんだろ…)

 (やっぱり牛乳かな…) 

(身長に牛乳だっけ?胸だけだっけ?これ以上大きくなったら不便だし…) 

(あとで調べよ。)

静かな院内で、ふと心が別の方向へ向く。 

(…守護霊さん…何してるのかな…)

――2時間前・アパート

「じゃあ行ってくるね。」 

こくり。

「…病院…行ってみる?」 

微笑んで、ふるふる。

「うん。わかった。じゃあ留守番お願いね。」

 こくり。

――病院の廊下を歩きながら

(守護霊さん…病院でなにかあったのかな…) 

(…聞かないけどね。そんなこと。そこはプライベートだし!)
 
「宮司さーん。宮司彩音さーん。」 

「はーい。」

受付へ返事をしながら、外へ出る。

――帰り道(お昼過ぎ)

春先のやわらかい日差しが、街路樹の新芽をきらきら照らしている。

 空気もどこか軽く、彩音の気分もふっと明るくなった。

(……バス…30分後か…)

 停留所の時刻表を見上げながら、彩音は周囲を見渡す。

(よし…たまには歩いて帰るかな…家まで3つ先だし…) 

(えっと…違うルートから帰ってみるか…)

スマホを開き、地図をスクロールする。
 地名がふと目に留まった。

(東京競馬場…近くなのに行ったことないや…) 

(ギャンブルやらないしね…近くまで行ってみよ…)

――東京競馬場の近く

「おぉ…」

青い空の下、競馬場の広大なスタンドが堂々とそびえている。 春の陽光に照らされて、白い外壁がまぶしく光る。

(競馬場だけあって広いなぁ…) 

(中に入れるのかな…)

入り口付近へ近づき、掲示板に視線を向ける。

(えーと…今日は土曜日…) 

(入場料200円…)

(よし…何事も経験!)

券売機の前へ進み、小さな決意でボタンを押す。

カチャカチャ…カコン…

(買っちゃったよ…馬券…)

(よし…いざ!) 

(…馬券じゃない…入場券ね…)

彩音は苦笑しながら、春の昼下がりの競馬場へ足を踏み入れた。

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