50 / 56
スピンオフ『西川&沙織の恋愛作戦』
第8話 ボーリング作戦②
しおりを挟む
「じゃあチーム戦にすっか!」
軽い調子で西川が声を上げる。
「俺と沙織で組むから、桜木と宮司ちゃんでよろしく~」
当然のように言い切る西川に、沙織が一瞬だけ視線を向ける。
「宮司さんよろしくね。」
桜木が穏やかに微笑みながら手を差し出す。
「あ、はい。お願いします。」
彩音もそれに合わせて笑顔で応じた。
レーンの奥でピンが倒れる音が響く。
その音にかき消されるように、西川がニヤリと口角を上げた。
「じゃあ負けたほうが、そこのアイス自販機のアイスおごりで。」
すかさず沙織が身を寄せ、小声で囁く。
(負け戦なの忘れてないよね?)
「……」
一拍置いて、西川の表情が固まる。
(忘れてたわ…)
(沙織は戦力外だった…)
「じゃあ本気でやらないとね。」
落ち着いた声で桜木が言う。
「ですね。勝ちましょう!」
彩音も素直にうなずく。
(…この二人…本気でくる…)
西川が内心でそう呟いた、そのときだった。
いつの間にか、守護霊さんがレーンのすぐそばまで近づいていた。
レーンの表面はワックスで光っており、滑らかな反射が不自然なほど強い。
彩音ははっとして、小さく手招きをした。
(守護霊さん!そっちはダメ!)
守護霊さんが首をかしげる。彩音は身をかがめ、小声で続けた。
(あそこにはワックス塗ってあるから、すべって転んじゃうよ?)
守護霊さんは理解したように、こくりとうなづく。
(それに…)
彩音はぐっと顔を近づけ、声をさらに落とした。
(転んだらあの先の暗い穴まで滑っていって…)
レーンの奥、ピンを回収する暗いスペースをちらりと示す。
ごくり、と守護霊さんが息を飲む。
(落ちたら二度と会えない…)
「!!」
守護霊さんが高速で顔を左右に振る。ふるふるふる、と必死さが伝わる勢いだった。
(うそうそ、冗談。でも滑るのはほんとだから気を付けてね。)
彩音が慌てて付け足す。
守護霊さんは真剣な表情でこくりとうなづいた。
レーンの向こうで、再びボールが転がる音が響く。
軽い調子で西川が声を上げる。
「俺と沙織で組むから、桜木と宮司ちゃんでよろしく~」
当然のように言い切る西川に、沙織が一瞬だけ視線を向ける。
「宮司さんよろしくね。」
桜木が穏やかに微笑みながら手を差し出す。
「あ、はい。お願いします。」
彩音もそれに合わせて笑顔で応じた。
レーンの奥でピンが倒れる音が響く。
その音にかき消されるように、西川がニヤリと口角を上げた。
「じゃあ負けたほうが、そこのアイス自販機のアイスおごりで。」
すかさず沙織が身を寄せ、小声で囁く。
(負け戦なの忘れてないよね?)
「……」
一拍置いて、西川の表情が固まる。
(忘れてたわ…)
(沙織は戦力外だった…)
「じゃあ本気でやらないとね。」
落ち着いた声で桜木が言う。
「ですね。勝ちましょう!」
彩音も素直にうなずく。
(…この二人…本気でくる…)
西川が内心でそう呟いた、そのときだった。
いつの間にか、守護霊さんがレーンのすぐそばまで近づいていた。
レーンの表面はワックスで光っており、滑らかな反射が不自然なほど強い。
彩音ははっとして、小さく手招きをした。
(守護霊さん!そっちはダメ!)
守護霊さんが首をかしげる。彩音は身をかがめ、小声で続けた。
(あそこにはワックス塗ってあるから、すべって転んじゃうよ?)
守護霊さんは理解したように、こくりとうなづく。
(それに…)
彩音はぐっと顔を近づけ、声をさらに落とした。
(転んだらあの先の暗い穴まで滑っていって…)
レーンの奥、ピンを回収する暗いスペースをちらりと示す。
ごくり、と守護霊さんが息を飲む。
(落ちたら二度と会えない…)
「!!」
守護霊さんが高速で顔を左右に振る。ふるふるふる、と必死さが伝わる勢いだった。
(うそうそ、冗談。でも滑るのはほんとだから気を付けてね。)
彩音が慌てて付け足す。
守護霊さんは真剣な表情でこくりとうなづいた。
レーンの向こうで、再びボールが転がる音が響く。
32
あなたにおすすめの小説
私の守護霊さん『ラクロス編』
Masa&G
キャラ文芸
本作は、本編『私の守護霊さん』の番外編です。
本編では描ききれなかった「ラクロス編」を、単独でも読める形でお届けします。番外編だけでも内容はわかりますが、本編を先に読んでいただくと、より物語に入り込みやすくなると思います。
「絶対にレギュラーを取って、東京代表に行きたい――」
そんな想いを胸に、宮司彩音は日々ラクロスの練習に明け暮れている。
同じポジションには、絶対的エースアタッカー・梶原真夏。埋まらない実力差に折れそうになる彩音のそばには、今日も無言の相棒・守護霊さんがいた。
守護霊さんの全力バックアップのもと、彩音の“レギュラー奪取&東京代表への挑戦”が始まる──。
【純愛百合】檸檬色に染まる泉【純愛GL】
里見 亮和
キャラ文芸
”世界で一番美しいと思ってしまった憧れの女性”
女子高生の私が、生まれてはじめて我を忘れて好きになったひと。
雑誌で見つけた、たった一枚の写真しか手掛かりがないその女性が……
手なんか届くはずがなかった憧れの女性が……
いま……私の目の前にいる。
奇跡みたいな出会いは、優しいだけじゃ終わらない。
近づくほど切なくて、触れるほど苦しくて、それでも離れられない。
憧れの先にある“本当の答え”に辿り着くまでの、静かな純愛GL。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
付喪神狩
やまだごんた
キャラ文芸
古い道具には年月と共に人の情念が蓄積され、それが意思を持ったものが付喪神と呼ばれる。
容姿端麗だが口も性格も女癖も悪い大和御門は日本で唯一の付喪神狩として、付喪神を祓う能力者。
自分に取り憑いた大口真神を引き連れ、同居中の相方・棚橋亨と繰り広げる現代異能バトル
紅蓮の鬼神と華印の乙女〜神隠しにあった穢れモノの私が、最愛に出逢うまで〜
五城楼スケ(デコスケ)
キャラ文芸
──人とあやかしたちが混在する、大正時代に似たもう一つの世界。
名家、天花寺(てんげいじ)家の娘である琴葉は14歳の頃、十日もの間行方不明になったことがあった。
発見された琴葉にその間の記憶は一切なく、そればかりか彼女の髪の毛は雪のように真っ白に変わってしまっていた。
そんな琴葉を家族や使用人たちは、人目に付かないよう屋敷の奥深くに隠し、”穢れモノ”と呼び虐げるようになった。
神隠しに遭った琴葉を穢らしいと嫌う父からは使用人より下に扱われ、義母や双子の義姉弟たちからいじめられていた琴葉が、十六歳の誕生日を迎える直前、ある転機が訪れる。
琴葉が十六歳になった時、天花寺家の遺産を琴葉が相続するように、と亡くなった母が遺言で残してくれていたのだ。
しかし、琴葉を狙う義兄と憎む義姉の策で、琴葉は絶体絶命の危機に陥ってしまう。
そんな彼女を救ったのは、どこか懐かしい気配を持つ、妖しくも美しい青年だった。
初めて会うはずの美青年は、何故か琴葉のことを知っているようで……?!
神聖な実がなる木を守護する家門に生まれながら、虐げられてきた少女、琴葉。
彼女が十六歳の誕生日を迎えた時、あやかしが、陰陽省が動き出す──。
偽夫婦お家騒動始末記
紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】
故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。
紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。
隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。
江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。
そして、拾った陰間、紫音の正体は。
活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。
母の下着 タンスと洗濯籠の秘密
MisakiNonagase
青春
この物語は、思春期という複雑で繊細な時期を生きる少年の内面と、彼を取り巻く家族の静かなる絆を描いた作品です。
颯真(そうま)という一人の高校生の、ある「秘密」を通して、私たちは成長の過程で誰もが抱くかもしれない戸惑い、罪悪感、そしてそれらを包み込む家族の無言の理解に触れます。
物語は、現在の颯真と恋人・彩花との関係から、中学時代にさかのぼる形で展開されます。そこで明らかになるのは、彼がかつて母親の下着に対して抱いた抑えがたい好奇心と、それに伴う一連の行為です。それは彼自身が「歪んだ」と感じる過去の断片であり、深い恥ずかしさと自己嫌悪を伴う記憶です。
しかし、この物語の核心は、単なる過去の告白にはありません。むしろ、その行為に「気づいていたはず」の母親が、なぜ一言も問い詰めず、誰にも告げず、ただ静かに見守り続けたのか——という問いにこそあります。そこには、親子という関係を超えた、深い人間理解と、言葉にされない優しさが横たわっています。
センシティブな題材を、露骨な描写や扇情的な表現に頼ることなく、あくまで颯真の内省的な視点から丁寧に紡ぎ出しています。読者は、主人公の痛みと恥ずかしさを共有しながら、同時に、彼を破綻から救った「沈黙の救済」の重みと温かさを感じ取ることでしょう。
これは、一つの過ちと、その赦しについての物語です。また、成長とは時に恥ずかしい過去を背負いながら、他者の無償の寛容さによって初めて前を向けるようになる過程であること、そして家族の愛が最も深く現れるのは、時に何も言わない瞬間であることを、静かにしかし確かに伝える物語です。
どうか、登場人物たちの静かなる心の襞に寄り添いながら、ページをめくってください。
幽縁ノ季楼守
儚方ノ堂
キャラ文芸
「季楼庵当主の代理を務めてもらう」
幼少期、神隠しにあった過去を待つ青年ユメビシ。
迷い込んだ先で、事件に巻き込まれ両手を失い、生死を彷徨うことに。
ただ「死にたくない」と望んだ願いは、ある故人の手を移植することで実現した。
これを境に不死の体質へと変貌したユメビシは、約70年の時を経て、因縁の土地『瞑之島(みんのとう)』へ帰還する。
しかし、どうして今自分がここにいるのか、その理由となる記憶がすっぽり抜け落ちた状態で……。
奇妙な忘却に焦りを抱えながら、手がかりを求め探索するさなか、島の中枢を担う組織『季楼庵(きろうあん)』の面々と関わりを持ち、次々と巻き起こる騒動に身を投じていくのだった。
現代において、人と人ならざる者が共存する瞑之島を舞台に、半ば強制的に当主代理に据えられたユメビシの非日常。
異色の現代ファンタジー✖️和風奇譚✖️ミステリー
様々な思惑が交錯する中、彼の帰還を以て、物語は一つの結末へ動き出す。
その約束は、何十年何百年経ち、たとえ本人達が覚えていなくとも。
幽かな縁で繋がり続け、決して解けない糸となる。
それを人は、因縁――またの名を『呪い』と呼ぶのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる