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パラサイト
もしもし
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秋吉のすすめで、私は、今日の番組収録会場へと足を踏み入れた。
とはいえ、屋敷の応接間を少し飾った程度の違いでしかない。
長山は居なかった。
秋吉は、そこで安心したように少し大胆にソファーに座る人形の元へと早足で進む。
「こんにちわ、草柳さん。ああ、この人はお世話になってる池上さんです。」
と、秋吉は人形に芝居がかった挨拶をするが、勿論、人形は動かない。
私は、背筋を伸ばし、座る人形に近づいた。
ウエストが細い。
確かに、昼間見たレイと同じ雰囲気ではあるが、やはり人形、生気はない。
服装は、思ったより地味で露出は少なかった。
顔は、シリコン…なのか、柔らかい肌の質感があり、美しくもあるが、不気味な感じもした。
近寄ってみる。
秋吉がリラックスした笑いを浮かべて、動かない人形の耳元に話しかける。
「もしもし、レイさん、こんにちは。」
「ごきげんよう。」
Σ( ̄□ ̄)!し、しゃべった!
とっさに、少年時代、買ってもらったロボットの腕が飛んだときの衝撃を思い出した。
「ああ、夕方ですね。」
秋吉は慣れた手つきでレイの細い左手を取り、腕時計…のような、何かをみた。
「さわらないでください。」
ぷっ…(^・^)
レイに怒られた秋吉を見て笑いが込み上げる。
秋吉は、不満そうに私を見た。
「もう、笑わないでくださいよ。そうだ、池上さんも話してくださいよ。」
「いや、私は、いいよ。」
1歩下がって遠慮した。
興味はあるが、この歳で人形遊びをする趣味はなかった。
「いいじゃないですか、レイさんと話せる機会は、なかなか来ませんよ。」
秋吉はからかうように目を細める。
「簡単ですよ?『もしもしレイさん』と、言えばいいんです。」
「なんでしょう?」
レイが『もしもし』に反応した。
「ほらっ、」
と、秋吉が立ち上がり、私の肩に手をのせる。
「は、はじめまして(///∇///)」
顔が赤くなるのが分かる。何をしてるんだろう?私はっ。
が、レイは、私の動揺などガン無視して、私の方向を向くと、美しい黒い瞳をこちらに向けて、エアー好意を顔に浮かべながら
「お久しぶりです。池上センセイ。」
と、微笑んだ。
とはいえ、屋敷の応接間を少し飾った程度の違いでしかない。
長山は居なかった。
秋吉は、そこで安心したように少し大胆にソファーに座る人形の元へと早足で進む。
「こんにちわ、草柳さん。ああ、この人はお世話になってる池上さんです。」
と、秋吉は人形に芝居がかった挨拶をするが、勿論、人形は動かない。
私は、背筋を伸ばし、座る人形に近づいた。
ウエストが細い。
確かに、昼間見たレイと同じ雰囲気ではあるが、やはり人形、生気はない。
服装は、思ったより地味で露出は少なかった。
顔は、シリコン…なのか、柔らかい肌の質感があり、美しくもあるが、不気味な感じもした。
近寄ってみる。
秋吉がリラックスした笑いを浮かべて、動かない人形の耳元に話しかける。
「もしもし、レイさん、こんにちは。」
「ごきげんよう。」
Σ( ̄□ ̄)!し、しゃべった!
とっさに、少年時代、買ってもらったロボットの腕が飛んだときの衝撃を思い出した。
「ああ、夕方ですね。」
秋吉は慣れた手つきでレイの細い左手を取り、腕時計…のような、何かをみた。
「さわらないでください。」
ぷっ…(^・^)
レイに怒られた秋吉を見て笑いが込み上げる。
秋吉は、不満そうに私を見た。
「もう、笑わないでくださいよ。そうだ、池上さんも話してくださいよ。」
「いや、私は、いいよ。」
1歩下がって遠慮した。
興味はあるが、この歳で人形遊びをする趣味はなかった。
「いいじゃないですか、レイさんと話せる機会は、なかなか来ませんよ。」
秋吉はからかうように目を細める。
「簡単ですよ?『もしもしレイさん』と、言えばいいんです。」
「なんでしょう?」
レイが『もしもし』に反応した。
「ほらっ、」
と、秋吉が立ち上がり、私の肩に手をのせる。
「は、はじめまして(///∇///)」
顔が赤くなるのが分かる。何をしてるんだろう?私はっ。
が、レイは、私の動揺などガン無視して、私の方向を向くと、美しい黒い瞳をこちらに向けて、エアー好意を顔に浮かべながら
「お久しぶりです。池上センセイ。」
と、微笑んだ。
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