朝から晩まで癒して

マール

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始まりは神殿と神様と

その日の夜は

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 3才で治癒魔法に目覚めたボクは、神殿で10年働いてる。昔の事は覚えてない。朝昼晩と食事が付いて屋根が付いている建物で寝ているんだ。神官様が仰るには贅沢なことなんだそう。

 神官様はフードでお顔を隠していて見分けさせてくれない。認識阻害って魔法使っているんだって。動きで毎日違う神官様と分かる。理由は里心付かせないためらしいけど、そもそも里心が分からないんだけどな。

 
 朝から晩まで神官様の言う通りに治癒魔法を使って求められるままに治している。
 今日も37組目の患者が終わった。


「……もう一度顔を見せておくれ」
「お父様」
 顔を火傷していたご令嬢が男性に縋り付いていた。親子と言うものらしい。

 らしい、と言うのもボクは自分の親を知らないし、よく分からない。

 親子が笑ってるからボクも笑みを真似する。その方が受けがいいそうだ。

「お大事になさってください」
 ボクと神官様は出て行く親子にそう言った。




 身体が冷えてきた。多分、夜が来たんだろう。最近、日が落ちると急激に寒くなる。

「神官様、寒いんだ」
「神子様、気のせいですよ。ゆっくりおやすみなさい」

 神官様はボクを見送った後、ガチャンと外から鍵を掛けた。






 諦めてベッドの中で目を閉じる。せめて厚みのあるシーツにしてくれたらいいのに。


 ベッドと小さな机と区切られた場所にトイレがある。飾りもないし、カーテンもない。窓は外から木戸を閉めるようになっている。簡単な作りだ。


 神殿の物は信者からのご寄付だから贅沢言っちゃダメなんだって。そうなんだろうな。




 ああ、寒い。




 朝が来たら暖かくなる。そして、薄手の服を着せられる。皆も同じだから外は暖かいんだろう。


 朝が来たら診療部屋にかよって休みなく治癒魔法使って日が落ちて寒くなったら帰る。いつもの繰り返しだ。





 最近、毎日どんどん冷えが酷くなって。とうとう歯の根が合わなくなってきた。



 だけど、神官様は取り合ってくれない。
「気のせいですよ」と、笑うばかりだ。




 寒くて




 寒くて




 朝になっても寒くて。






 とうとう、ボクは動けなくなった。
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