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5話 悪魔の影
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作戦開始時刻前。
第六都市管理局の一~五課は、それぞれの持ち場に着いていた。第六課は、軍事用ヘリでの空中からの偵察。大規模作戦前の現場には、各局員達の張り詰められた緊張がほとばしっていた。作戦会議の通り六課以外の各課は、包囲陣を維持する課と、evilの殲滅行動に出る課とで分けられた。
evilの拠点と目星を付けたポイントは3つ。1つは、会議で上がった例の地下喫茶。そして残り2つは、両エリアの支部局だった。
行動二課は13エリアの支部局、三課は14エリアの支部局、四課は残る地下喫茶を目的地とするルートを同時に辿る。二重で包囲陣を展開し、エリア内のevilを殲滅する運びである。
そして作戦指揮の意向で、急遽例外として、一課蔵馬少尉の、ゲリラ戦に特化した彼女の戦術を活かすため、
彼女の選別で6人の遊撃班を編成することになった。遊撃班には六道寺天弥も編成された。
「いやぁ、後方待機で少しでもこの胡散臭くて面倒くさそうな仕事を乗り越えられると思ったのだがね。仕方がない。私は優秀だからな。」
ハハハと笑っている蔵馬少尉。案外満更でも無い様である。
「よろしいのですか?私なんかを遊撃班に入れてしまって。」
「むしろ、ほかに誰がいると思ってるんだ?ここでの最高戦力は、…あ、失礼。君より私の方が強いから、君は2番目だな。この現場で2番目に戦力になるのは君だ、特務官。優秀な人材を後ろでサボらせる訳にはいかないだろう?私みたいに。」
ハハハと笑っている蔵馬少尉。今度は主張の強いジェスチャーを交えて言ってきた。
特に、自分が1番でお前は2番と、強く示された気がする。指で。
「司令部より各員へ。間も無く作戦を開始する。繰り返す。間も無く作戦を開始する。」
「さ、行こうか特務官。仕事の時間だ。」
各局員は武装を確認し、再度配置につく。エリア内は闇そのもので、遠目では建物の影を捉えることすら困難だった。そのため、あらかじめ殲滅行動隊にはヘルメット型の暗視ゴーグルが支給されていた。しかし少尉は「邪魔、肉眼の方がまし。」と、拒否した。
そして、司令部、名雲より号令が掛かる。
「では、殲滅行動隊。作戦開始。」
汚い声に、汚いからだ。こんな奴らは大嫌い。
下水道のドブネズミのように、うじゃうじゃうじゃうじゃわいてくる。
ていねいに、ていねいに、一匹ずつ、ぐちゃぐちゃオトをたててつぶしてく。
つぶれたあとの死骸はまるでお風呂上がりのしわくちゃお手て。
だれかが僕を呼んでいる。僕は声のする方へゆっくりゆっくり歩いてく。
大丈夫だよ!僕が来たから!
僕が来た時にはもう、そこにはちぎられたからだしかなくて、でもたしかにここから声がしてたんだ。
気のせいなのかな。聞き間違いかな。考えてるうち、また僕を呼ぶ声がする。
さっきのだれかは移動したんだ。早く行ってあげないと。
でも歩くのに疲れた。
足元もすべるし変なにおいもたくさんする。
寒いし暗いしもう疲れた。
でもね、悪い事ばかりじゃないんだ。
こんな寒い夜の日には、生暖かい血で体を洗おう。
第六都市管理局の一~五課は、それぞれの持ち場に着いていた。第六課は、軍事用ヘリでの空中からの偵察。大規模作戦前の現場には、各局員達の張り詰められた緊張がほとばしっていた。作戦会議の通り六課以外の各課は、包囲陣を維持する課と、evilの殲滅行動に出る課とで分けられた。
evilの拠点と目星を付けたポイントは3つ。1つは、会議で上がった例の地下喫茶。そして残り2つは、両エリアの支部局だった。
行動二課は13エリアの支部局、三課は14エリアの支部局、四課は残る地下喫茶を目的地とするルートを同時に辿る。二重で包囲陣を展開し、エリア内のevilを殲滅する運びである。
そして作戦指揮の意向で、急遽例外として、一課蔵馬少尉の、ゲリラ戦に特化した彼女の戦術を活かすため、
彼女の選別で6人の遊撃班を編成することになった。遊撃班には六道寺天弥も編成された。
「いやぁ、後方待機で少しでもこの胡散臭くて面倒くさそうな仕事を乗り越えられると思ったのだがね。仕方がない。私は優秀だからな。」
ハハハと笑っている蔵馬少尉。案外満更でも無い様である。
「よろしいのですか?私なんかを遊撃班に入れてしまって。」
「むしろ、ほかに誰がいると思ってるんだ?ここでの最高戦力は、…あ、失礼。君より私の方が強いから、君は2番目だな。この現場で2番目に戦力になるのは君だ、特務官。優秀な人材を後ろでサボらせる訳にはいかないだろう?私みたいに。」
ハハハと笑っている蔵馬少尉。今度は主張の強いジェスチャーを交えて言ってきた。
特に、自分が1番でお前は2番と、強く示された気がする。指で。
「司令部より各員へ。間も無く作戦を開始する。繰り返す。間も無く作戦を開始する。」
「さ、行こうか特務官。仕事の時間だ。」
各局員は武装を確認し、再度配置につく。エリア内は闇そのもので、遠目では建物の影を捉えることすら困難だった。そのため、あらかじめ殲滅行動隊にはヘルメット型の暗視ゴーグルが支給されていた。しかし少尉は「邪魔、肉眼の方がまし。」と、拒否した。
そして、司令部、名雲より号令が掛かる。
「では、殲滅行動隊。作戦開始。」
汚い声に、汚いからだ。こんな奴らは大嫌い。
下水道のドブネズミのように、うじゃうじゃうじゃうじゃわいてくる。
ていねいに、ていねいに、一匹ずつ、ぐちゃぐちゃオトをたててつぶしてく。
つぶれたあとの死骸はまるでお風呂上がりのしわくちゃお手て。
だれかが僕を呼んでいる。僕は声のする方へゆっくりゆっくり歩いてく。
大丈夫だよ!僕が来たから!
僕が来た時にはもう、そこにはちぎられたからだしかなくて、でもたしかにここから声がしてたんだ。
気のせいなのかな。聞き間違いかな。考えてるうち、また僕を呼ぶ声がする。
さっきのだれかは移動したんだ。早く行ってあげないと。
でも歩くのに疲れた。
足元もすべるし変なにおいもたくさんする。
寒いし暗いしもう疲れた。
でもね、悪い事ばかりじゃないんだ。
こんな寒い夜の日には、生暖かい血で体を洗おう。
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