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13話 【喰者『ヴォア』】の能力者
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異変を感じた少年は、すぐさま攻撃を止める。黒は少年へと帰った。
しかし、帰還する量が少ない。喰われたのだ。目の前の青年、六道寺天弥に。
「…あれが例の。」
「ああ、『コード07』だろうな。理由は分からんが、奴には銃火器の類のものは、傷一つつかなかった。だが、こちらの攻撃の通るタイミングがあった。あの黒いのを消費し切った時だ。その時だけ攻撃が通る。しかしそれでも火力が足りない。すぐに再生してしまうんだこれが。」
「火力、ですか。」
その時、六道寺の右手に、先程喰らった黒が現出する。
バチバチと音を立てながらそれらは形を変え、槌頭が長く肥大した戦棍へと変化する。
「それなら、問題ありません。」
彼は一人戦棍片手に、少年に、07に向かって飛び出した。
07は大きく後ろに後退しながら右手から黒達を創出する。
稲妻の様に軌道を変えながら、六道寺を屠らんとばかりに襲い掛かる。
その黒に少しの恐怖も抱かず突撃する六道寺は、
飛び交う黒い稲妻を左で喰らい、
喰えぬものを避け、
少年の左横腹に、戦棍による強烈な殴打の一撃。
「!?!?」
衝撃で07の体は左横腹を中心に折れ曲がり、軌道すら目で追うことのできぬ速度で、激しい衝撃音と共にそのままビルの壁にめり込んだ。
07の黒の消費はさほどのものではないにも関わらず、
ダメージを与えられる六道寺の火力はまさに常軌を逸していた。
これには流石の蔵馬も笑うしかなかった。
「全く、羨ましいねぇ能力者ってのは。」
07は来るであろう六道寺の追い打ちに対して、牽制程度に彼へ黒槍を飛ばす。
六道寺はそれを最小限の動きのみで躱した。
その間に07は地上へ降り、体勢を立て直す。
しかし、先ほどの攻撃は余程応えたようだ。体全体の軸が、少し右へずれている。
07は、体中から粒子を発現させた。
再び黒が螺旋を描き、彼を四方から守るようにして台風さながら回転する。
「ああ、それは愚策だ。」
頭上には、高く跳躍した蔵馬が、07の脳天目掛けて、そこいらの三課から頂戴した短機関銃を構えていた。
しかし何を恐れることがあろうか。
機関砲をも受け止め消力させた黒ならば、只上に適量の黒を集中させるだけで難なく防げる。
途端、彼女のある意味哀れみを含んだ言葉が聞こえた。
「…ホント馬鹿だな。お前。」
意識と黒を上に集中させた瞬間、正面から六道寺が高速で突っ込んでくる。
彼が手にしているのは戦棍では無かった。先ほど07が現出させたような、異常に鋭い穂先に、大きく発達した身で構築された巨大な黒槍へと姿を変えていた。
「くッ…!」
急いで黒を正面に戻そうとするが、それでもこの一撃を止めきれるか分からない。
「はあぁぁあぁ―ッ!!」
受け止めきれない。
いや、そもそも受け止めるという表現は適切では無い。
07を貫かんとする黒槍は、螺旋の黒と接触した途端に浸食し始め、形そのものを崩してきたのだ。
だが、同じく黒槍も、接触と同時に形が崩れていき、結局07の懐に届く頃には、異形の槍へと姿を変えていた。
しかしその異形の槍でも、07の体を屠るには十分すぎる力だった。
「グああぁぁあぁ…!!」
崩壊しかけた黒の嵐壁を突破し六道寺は、07の右横腹を駆け抜けざまに穿った。
しかし、帰還する量が少ない。喰われたのだ。目の前の青年、六道寺天弥に。
「…あれが例の。」
「ああ、『コード07』だろうな。理由は分からんが、奴には銃火器の類のものは、傷一つつかなかった。だが、こちらの攻撃の通るタイミングがあった。あの黒いのを消費し切った時だ。その時だけ攻撃が通る。しかしそれでも火力が足りない。すぐに再生してしまうんだこれが。」
「火力、ですか。」
その時、六道寺の右手に、先程喰らった黒が現出する。
バチバチと音を立てながらそれらは形を変え、槌頭が長く肥大した戦棍へと変化する。
「それなら、問題ありません。」
彼は一人戦棍片手に、少年に、07に向かって飛び出した。
07は大きく後ろに後退しながら右手から黒達を創出する。
稲妻の様に軌道を変えながら、六道寺を屠らんとばかりに襲い掛かる。
その黒に少しの恐怖も抱かず突撃する六道寺は、
飛び交う黒い稲妻を左で喰らい、
喰えぬものを避け、
少年の左横腹に、戦棍による強烈な殴打の一撃。
「!?!?」
衝撃で07の体は左横腹を中心に折れ曲がり、軌道すら目で追うことのできぬ速度で、激しい衝撃音と共にそのままビルの壁にめり込んだ。
07の黒の消費はさほどのものではないにも関わらず、
ダメージを与えられる六道寺の火力はまさに常軌を逸していた。
これには流石の蔵馬も笑うしかなかった。
「全く、羨ましいねぇ能力者ってのは。」
07は来るであろう六道寺の追い打ちに対して、牽制程度に彼へ黒槍を飛ばす。
六道寺はそれを最小限の動きのみで躱した。
その間に07は地上へ降り、体勢を立て直す。
しかし、先ほどの攻撃は余程応えたようだ。体全体の軸が、少し右へずれている。
07は、体中から粒子を発現させた。
再び黒が螺旋を描き、彼を四方から守るようにして台風さながら回転する。
「ああ、それは愚策だ。」
頭上には、高く跳躍した蔵馬が、07の脳天目掛けて、そこいらの三課から頂戴した短機関銃を構えていた。
しかし何を恐れることがあろうか。
機関砲をも受け止め消力させた黒ならば、只上に適量の黒を集中させるだけで難なく防げる。
途端、彼女のある意味哀れみを含んだ言葉が聞こえた。
「…ホント馬鹿だな。お前。」
意識と黒を上に集中させた瞬間、正面から六道寺が高速で突っ込んでくる。
彼が手にしているのは戦棍では無かった。先ほど07が現出させたような、異常に鋭い穂先に、大きく発達した身で構築された巨大な黒槍へと姿を変えていた。
「くッ…!」
急いで黒を正面に戻そうとするが、それでもこの一撃を止めきれるか分からない。
「はあぁぁあぁ―ッ!!」
受け止めきれない。
いや、そもそも受け止めるという表現は適切では無い。
07を貫かんとする黒槍は、螺旋の黒と接触した途端に浸食し始め、形そのものを崩してきたのだ。
だが、同じく黒槍も、接触と同時に形が崩れていき、結局07の懐に届く頃には、異形の槍へと姿を変えていた。
しかしその異形の槍でも、07の体を屠るには十分すぎる力だった。
「グああぁぁあぁ…!!」
崩壊しかけた黒の嵐壁を突破し六道寺は、07の右横腹を駆け抜けざまに穿った。
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