悪魔の国

謎の人

文字の大きさ
16 / 19

15話 反旗

しおりを挟む
「蔵馬少尉。本当に助かった。感謝する。」

突然の通信は、三課指揮長の澤部からだった。


「あー澤部中佐殿。お疲れ様です。それで、どうしたんですか?」


「あぁ。evilの根城と思われていた三ヶ所。結果から言えばその中の局員とevilは死んでいた。だがその中に、丹波総一郎の死体もあった。」


「…それで?」


「二課、三課の発見した死体を調べたところ、死体の外傷には、共通点があった。体全体の切り傷。腹部を抉り取られたような穴。首をはねられたものも。」


「つまりコード07。さっきの黒い奴ということですか。…わかりませんね。」


「やはりか?」


「敵の親玉が何もしてないのにいなくなりました、めでたしめでたし。本来の作戦通りならその時点でこの作戦は成功と言っていいでしょう。しかし黒の動きが不可解すぎる。奴はevilの隠し玉と睨んでいたのですがね。」



そう言いながら蔵馬は07が消えた場所にしゃがみ込み、その場の血痕を確認した。

07が逃げたのであれば、血の跡を追えば辿り着けるはずである。

だが血痕はその場にあるだけで、右にも左にも散らばっていない。

どうやら消えたという表現はあながち間違ってはいないようだ。


蔵馬は再び立ち上がり、こう続けた。


「仮に第三勢力の介入となると、我々はかなり危険な状態です。敵の目的も、位置も、何も分かっていない。他の課は今何を?」


「二課は一部の小隊を13エリア支部局に残し、虱潰しに付近の建物内を捜索。及び駆除。
四課もほぼ同様に、警戒態勢を取りながら捜査範囲の拡大。だそうだ。」


「…あぁ、四課。喫茶店の方からも死体が?」


「いや、そこからは何も出なかったそうだ。完全にもぬけの殻だと。そう聞いている。」



「…、特務官。地図。」



一旦マイクを消音にし、少し考え込むようにしてから、蔵馬は早めの口調でそう言った。

六道寺の汎用型腕時計からホログラム化された13、14エリアの縮小地図が展開する。

それから蔵馬は、ある一つの結論を証明する為の過程作りの様に、こう続ける。


「evilは死体で発見されたもので全員ですか?」


「正確な数はまだ分かっていないが、かなりの数が駆除されていたのは確かだ。…だが、私と村上の予測では、まだエリア内にevilはいると考えている。」


「つまり、まだevilは死体以外で見つかっていない。と?」


「…そうだ。さっきの黒いのがevilだとするのならば、あれが最初だ。」


「…なるほど。」





あくまで仮説の話だ。

07が殺したとされる、両支部局の局員とevil。

そして、07自身の襲来。

仮にそれが、私達を含めた機動官たちを、その場に縛る時間稼ぎの為だけの陽動で、

その状況を仕組んだ何者かがいたとしたら?



『生存したevilが見つかっていない。』



支部局に縛り付けられた二、三課は省いたとして、問題は四課。

私達が生存したevilを見つけられていないのは、私達に見つからない方向に逃亡しているからだ。

見つからない方向、すなわち私達の捜索範囲外を担当している四課の方向。その方向しか存在しない。

外側と内側、二重に包囲網を展開した今作戦において、私達の目をくぐるのであれば、『生存したevil』はどうあがいても四課と接敵するルートを通るしかないのだ。


しかし、現に『生存したevil』は発見されておらず、四課からは、もぬけの殻という報告のみ。


つまり、四課は既に壊滅している可能性が高い。




ここまでの私の仮説が正しかった場合。彼らの目的は何なのか。




答えは明白だ。




四課を壊滅させたその先に存在するもの。ということになる。







蔵馬は地図を照合する。

13、14エリア支部局を一直線で結び、中心点から少し13エリア支部局側にずれた位置に存在する、四課が担当した喫茶店。それを突破した先に位置するもの。



それは。



「…第4ゲート。」




「特務官、司令部に伝えろ。evilの狙いは第4ゲートの可能性大。急げ!」

六道寺はすぐさま司令部に通達する。


「中佐。聞いての通りです、第4ゲートだ。奴らの目的は!」



刹那。14エリア支部局のメインモニターが起動する。そこに、一人の男が映っていた。






【この世界に存在する、追われ、奪われ、絶望し果てた同胞たちへ告げる。


私は俳徒。全てのevilを導く、新たな指導者だ。】
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Amor et odium

佐藤絹恵(サトウ.キヌエ)
ファンタジー
時代は中世ヨーロッパ中期 人々はキリスト教の神を信仰し 神を軸(じく)に生活を送っていた 聖書に書かれている事は 神の御言葉であり絶対 …しかし… 人々は知らない 神が既に人間に興味が無い事を そして…悪魔と呼ばれる我々が 人間を見守っている事を知らない 近頃 人間の神の信仰が薄れ 聖職者は腐敗し 好き勝手し始めていた 結果…民が餌食の的に… ・ ・ ・ 流石に 卑劣な人間の行いに看過出来ぬ 人間界に干渉させてもらうぞ

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

三十年後に届いた白い手紙

RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。 彼は最後まで、何も語らなかった。 その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。 戴冠舞踏会の夜。 公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。 それは復讐でも、告発でもない。 三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、 「渡されなかった約束」のための手紙だった。 沈黙のまま命を捨てた男と、 三十年、ただ待ち続けた女。 そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。 これは、 遅れて届いた手紙が、 人生と運命を静かに書き換えていく物語。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

処理中です...