iPhone15 pro 512GB

ちゃんと

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​「「「いらっしゃいませ!!!」」」
​入り口のドアが開き、約束の時間十分前にサクラはやってきた。
​ニットやパンプスが黒でまとまっていることで、マゼンタのハイウエストのスカートが際立ち、彼女の華奢でスラッと伸びた脚を引き立てていた。
​座高長めの私への当て付けか。
早速私の僻み癖が出そうになったが、気を取り直し話しかけた。
​「こちらで手続きを」
​手で場所を示しながら言うと、サクラはクスッと笑った。
​「何で敬語なの?」
​「仕事中しか使わない言葉は、タメ口で話そうとしてもバグるから、です」
​「ウケる!」
​ウケたようでよかったです。
​彼女を席に案内して、自分も席についた。
さぁ、手続きしようと手続き用タブレットを触って思い出した。
​「機種、何にするんだっけ?」
​「iPhone!!」
​「うん、だと思った」
​彼女の手元の機種もiPhoneだからね。
そりゃ当然だ。
​そこからしばらくiPhoneの実機コーナーに二人で行き、容量と色を選んだ。
幸い、今日入荷した在庫があるのをみていたのでホッとした。
​それからまた席に戻り、プラン変更などの説明をし、それを入力していった。
機種変更の手続きはあっという間に進み、サインをしてもらい手続きは終了した。
我ながらそつなくこなせたと思い満足した。
​あとは端末の開封とキズがないかをお客様に確認してもらい、簡単な動作チェックをしてお渡しするだけとなった。
その説明をすると、サクラはなぜか不服そうな顔をした。
​「もう終わり?」
​何で物足りなさそうなんだ。
​「データ移行とかしたくて早く帰りたくない? てきぱき終わらす方がお客様に喜んでもらえるんだけど」
​サクラはそれを聞いているのかいないのか。うーんと唸ってしばらくなにか考えているようだったが、急に顔を上げて捲し立てた。
​「ケータイケース! 買いに行くから付き合って!」
​この辺だと確か、イオンにケース専門店があった。
あの売り場ならデカデカと機種名が書いてあって迷わないだろう。
そこに私は必要か?
そう思ったが、ストレートにその言葉が出るはずもなく。
​「私遅番だから終わるの二十時過ぎるかも。何時間も待つから自分で行ったほうが」
​「待つ!! 全然大丈夫!」
​相手が面倒になって断ってくれるのを期待し、抵抗したが即答だった。
行くしかないみたいだ。
​「ならLINE ID教えとくね。仕事終わったあとでメッセージ送るから登録しておいて」
​「何でLINE? インスタやってないの?」
​「うん、やってない」
​……嘘だった。
基本ノラネコとラーメンしか上げてない。
それに比べてサクラのインスタは絶対キラキラしてるだろう。
勝手に比べてしまって惨めな気持ちになるのは御免被る。
​一度家に帰ると退店していったサクラを見送って早数時間。
仕事を終わらせロッカールームについてスマホの画面を確認すると、19:48と表示されていた。そして緑の吹き出しのアイコンがついていた。
​はやる気持ちを抑えロック解除し確認すると、「sakura」からLINEがきていた。
トーク画面を開くと、かわいらしいクマのスタンプがひとつ押されていた。
​【今終わった】
とメッセージを打ち込んだ。
すると即座に既読がついた。
​その早さにちょっと焦った。
やべぇ、早く着替えないと。
​メッセージを送るのは着替えて職場を出てからでもよかったかなと少し反省した。
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