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ちゃんと

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​なかなかどこにするか決まらず、ナビの画面に書かれた時刻は22:10。
​夕飯難民という即席の造語が脳内にちらついた。
焦って提案した松屋がサクラのお眼鏡にもかない、そこに向かうことになった。
​入り口の発券機で、私はチキンマサラカレーを、サクラはハンバーグ定食の何かを選んだ。
食券を買いつつサクラと松屋のハンバーグとカレーの美味しさを語り合った。
少しだけサクラへの好感度が上がった。
​慣れ親しんだ店内に入ると、どうやら二、三組お客さんがいるようだったが、快適そうな端っこの席が空いていたでそちらに掛けた。
​お茶をすすって待っていると二人の番号が呼ばれ、食券片手に受け取りに行った。
​それを持って席に着くやいなやカレーにがっついた。
​「うまぁ……」
​ごろごろと入ったチキンを頬張ると、鼻に抜けるスパイスの薫りが今日一日の疲れを吹き飛ばしてくれている気がした。
​「めっちゃうまそうに食うさ」
​サクラにも言われてしまった。
そういうサクラは緩慢な動きでゆったりと食べていた。
何て優雅さだ。
​「そういえばさ」
​サクラは話し始めた。
​私は口の中のチキンを飲み込んで相槌をした。
​「何?」
​「長期休みって言ったけどあれ嘘でさ」
​「?」
​最後の一口をかき集めようと躍起になって動かしてたスプーンを止めてサクラを見た。
悲しそうに目を伏せていて度肝を抜かれた。
​何やら重い話をするのだろうとわかった。
極力音がしないようスプーンを置いてサクラを見続けた。
​「なーんか、合わなかったんだよね、東京。みんな裏で何考えてるかわかんなくて。表面では仲良くしてる人たちでも一度誰か欠けたらその人の文句ばっか。それに合わせて思ってないお世辞も文句も言うのに疲れちゃった。気がついたら仕事に行きたくなくなってて。アヤに相談したら、とりあえず休職して戻ってきちゃえば? って言われて」
​サクラは続けた。
​「今やってる仕事に就くの、ずっと夢だったんだけど辞めちゃおうかなーって」
​それで地元が恋しくなってとりあえず帰ってきたのか。
​チェリーレッドの唇が言葉を吐き終えるまで
私はただそれを見つめることしか出来なかった。
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