iPhone15 pro 512GB

ちゃんと

文字の大きさ
6 / 7

6

しおりを挟む
相手がする質問をそのままこちらも尋ねる手法で、気がついたらイオンまでの道のりどころか、ケース専門店まで会話のラリーを続けることに成功した。
​会話の内容をまとめると、サクラは県内のブライダルの専門学校を卒業したあと、当時の交際相手に誘われ季節労働に行ったらしいのだが、交際相手が働かなくなり愛想を尽かして別れて帰ってきたらしかった。
しばらく貯金を切り崩して生きていたが、実家も手狭なため一人暮らしをするため働きたいようだ。
​そこまで聞いたところで売り場に到着した。
​そのあまりの品揃えのよさに二人して感嘆の声が出た。
……なんでサクラまで驚いてるんだろ。
​「ナイチにこういうのなかったの?」
​「そりゃああったよ」
​「あったんかい」
​「でもほとんど行かなかった。大体ネットで買ってたから」
​「なるほどね」
​また商品棚に向かい合った。ギリギリ手の届く高さまで、沢山のグッズが並べられていた。
​ケース以外にもフィルムやAirPodsのケースのケースやら、関連商品がてんこ盛りで見てて飽きなかった。
​誰かと来てたことを忘れるくらいに夢中になって店内を回っていると、サクラから声がかかり我に返った。
​「エリ! どっちがいいと思う?」
​出たー!!!
彼氏がうんざりするシチュ一位のやつ!(私調べ)
男子からしたら大した違いのない二つから選択を迫られ、彼女が無意識に選んでる方を指差せなかったら最後、無慈悲にキレられる完全損なイベント!!
​絶対サクラもそのタイプじゃん。
​しくじったらキレられることは諦めて回答することにした。
サクラが見せてきたのはどっちも手帳型で、片方は花柄デザインで、もう片方は千葉のランドの白いアヒルさんモチーフのやつ。
​どっちも彼女が持ってそうとは思った。
​私の意見は、
​「私はお花の方がいいと思うかなぁ。サクラって感じがしてかわいいと思う」 
​さて当たりか外れか。
サクラの目線はケースと自身を反復横飛びしたのちこちらを見た。
​「え、そう?」
​嬉しそうにはにかんだ。
サクラがどんな解釈をしたのかあんまりわからなかったが、満足したようでよかった。
​「ありがとう!」
​そう言い意気揚々とレジに向かっていったのでよしとした。
​終わった。緊張が解けたのかすごくおなかがすいてきた。
そうだった。まだ夕飯食べてなかったわ。
​時刻を確認すると21:32。
​確か家の冷蔵庫に前日作った肉じゃがが残ってた。
サクラを家に送って、帰って食うか。
​それかサクラの家の近くにいくつかラーメン屋があったはず。送り届けてそこに行くか。
​どうしようかなーと夕飯に思いを馳せていると、会計を終えたサクラが戻ってきた。
​「おまたせ!」
​なぜか突進された。
そうだ学生時代からこういうコミュニケーションをとるタイプだったなサクラは。
​「帰ろうか」
​と言いかけたが
​「お腹すいてない? ご飯ごちそうするよ!」
​とサクラの声にかき消された。
​え、どうしよう。
予想外の展開に少し驚いた。
​他人と食べるご飯が苦手な繊細な部分と、食べるのが好きで食い意地が張ってる部分と、自分の中にある二極が対決した。
その勝者は。
​「うん。お腹すいた。サクラは何食べたい?」
​後者WIN。
ご飯をご馳走してくれる人に悪いやつはいない(います)。
​フードコートはもうラストオーダーが過ぎていたので、イオンをあとにした。
場所はまだ決まってないけど、サクラの家の付近ならまだやってる飲食店があるだろうと踏んで、そこに向かって車を走らせた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

盗み聞き

凛子
恋愛
あ、そういうこと。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

巨乳すぎる新入社員が社内で〇〇されちゃった件

ナッツアーモンド
恋愛
中高生の時から巨乳すぎることがコンプレックスで悩んでいる、相模S子。新入社員として入った会社でS子を待ち受ける運命とは....。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

暴君幼なじみは逃がしてくれない~囚われ愛は深く濃く

なかな悠桃
恋愛
暴君な溺愛幼なじみに振り回される女の子のお話。 ※誤字脱字はご了承くださいm(__)m

処理中です...