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相手がする質問をそのままこちらも尋ねる手法で、気がついたらイオンまでの道のりどころか、ケース専門店まで会話のラリーを続けることに成功した。
会話の内容をまとめると、サクラは県内のブライダルの専門学校を卒業したあと、当時の交際相手に誘われ季節労働に行ったらしいのだが、交際相手が働かなくなり愛想を尽かして別れて帰ってきたらしかった。
しばらく貯金を切り崩して生きていたが、実家も手狭なため一人暮らしをするため働きたいようだ。
そこまで聞いたところで売り場に到着した。
そのあまりの品揃えのよさに二人して感嘆の声が出た。
……なんでサクラまで驚いてるんだろ。
「ナイチにこういうのなかったの?」
「そりゃああったよ」
「あったんかい」
「でもほとんど行かなかった。大体ネットで買ってたから」
「なるほどね」
また商品棚に向かい合った。ギリギリ手の届く高さまで、沢山のグッズが並べられていた。
ケース以外にもフィルムやAirPodsのケースのケースやら、関連商品がてんこ盛りで見てて飽きなかった。
誰かと来てたことを忘れるくらいに夢中になって店内を回っていると、サクラから声がかかり我に返った。
「エリ! どっちがいいと思う?」
出たー!!!
彼氏がうんざりするシチュ一位のやつ!(私調べ)
男子からしたら大した違いのない二つから選択を迫られ、彼女が無意識に選んでる方を指差せなかったら最後、無慈悲にキレられる完全損なイベント!!
絶対サクラもそのタイプじゃん。
しくじったらキレられることは諦めて回答することにした。
サクラが見せてきたのはどっちも手帳型で、片方は花柄デザインで、もう片方は千葉のランドの白いアヒルさんモチーフのやつ。
どっちも彼女が持ってそうとは思った。
私の意見は、
「私はお花の方がいいと思うかなぁ。サクラって感じがしてかわいいと思う」
さて当たりか外れか。
サクラの目線はケースと自身を反復横飛びしたのちこちらを見た。
「え、そう?」
嬉しそうにはにかんだ。
サクラがどんな解釈をしたのかあんまりわからなかったが、満足したようでよかった。
「ありがとう!」
そう言い意気揚々とレジに向かっていったのでよしとした。
終わった。緊張が解けたのかすごくおなかがすいてきた。
そうだった。まだ夕飯食べてなかったわ。
時刻を確認すると21:32。
確か家の冷蔵庫に前日作った肉じゃがが残ってた。
サクラを家に送って、帰って食うか。
それかサクラの家の近くにいくつかラーメン屋があったはず。送り届けてそこに行くか。
どうしようかなーと夕飯に思いを馳せていると、会計を終えたサクラが戻ってきた。
「おまたせ!」
なぜか突進された。
そうだ学生時代からこういうコミュニケーションをとるタイプだったなサクラは。
「帰ろうか」
と言いかけたが
「お腹すいてない? ご飯ごちそうするよ!」
とサクラの声にかき消された。
え、どうしよう。
予想外の展開に少し驚いた。
他人と食べるご飯が苦手な繊細な部分と、食べるのが好きで食い意地が張ってる部分と、自分の中にある二極が対決した。
その勝者は。
「うん。お腹すいた。サクラは何食べたい?」
後者WIN。
ご飯をご馳走してくれる人に悪いやつはいない(います)。
フードコートはもうラストオーダーが過ぎていたので、イオンをあとにした。
場所はまだ決まってないけど、サクラの家の付近ならまだやってる飲食店があるだろうと踏んで、そこに向かって車を走らせた。
会話の内容をまとめると、サクラは県内のブライダルの専門学校を卒業したあと、当時の交際相手に誘われ季節労働に行ったらしいのだが、交際相手が働かなくなり愛想を尽かして別れて帰ってきたらしかった。
しばらく貯金を切り崩して生きていたが、実家も手狭なため一人暮らしをするため働きたいようだ。
そこまで聞いたところで売り場に到着した。
そのあまりの品揃えのよさに二人して感嘆の声が出た。
……なんでサクラまで驚いてるんだろ。
「ナイチにこういうのなかったの?」
「そりゃああったよ」
「あったんかい」
「でもほとんど行かなかった。大体ネットで買ってたから」
「なるほどね」
また商品棚に向かい合った。ギリギリ手の届く高さまで、沢山のグッズが並べられていた。
ケース以外にもフィルムやAirPodsのケースのケースやら、関連商品がてんこ盛りで見てて飽きなかった。
誰かと来てたことを忘れるくらいに夢中になって店内を回っていると、サクラから声がかかり我に返った。
「エリ! どっちがいいと思う?」
出たー!!!
彼氏がうんざりするシチュ一位のやつ!(私調べ)
男子からしたら大した違いのない二つから選択を迫られ、彼女が無意識に選んでる方を指差せなかったら最後、無慈悲にキレられる完全損なイベント!!
絶対サクラもそのタイプじゃん。
しくじったらキレられることは諦めて回答することにした。
サクラが見せてきたのはどっちも手帳型で、片方は花柄デザインで、もう片方は千葉のランドの白いアヒルさんモチーフのやつ。
どっちも彼女が持ってそうとは思った。
私の意見は、
「私はお花の方がいいと思うかなぁ。サクラって感じがしてかわいいと思う」
さて当たりか外れか。
サクラの目線はケースと自身を反復横飛びしたのちこちらを見た。
「え、そう?」
嬉しそうにはにかんだ。
サクラがどんな解釈をしたのかあんまりわからなかったが、満足したようでよかった。
「ありがとう!」
そう言い意気揚々とレジに向かっていったのでよしとした。
終わった。緊張が解けたのかすごくおなかがすいてきた。
そうだった。まだ夕飯食べてなかったわ。
時刻を確認すると21:32。
確か家の冷蔵庫に前日作った肉じゃがが残ってた。
サクラを家に送って、帰って食うか。
それかサクラの家の近くにいくつかラーメン屋があったはず。送り届けてそこに行くか。
どうしようかなーと夕飯に思いを馳せていると、会計を終えたサクラが戻ってきた。
「おまたせ!」
なぜか突進された。
そうだ学生時代からこういうコミュニケーションをとるタイプだったなサクラは。
「帰ろうか」
と言いかけたが
「お腹すいてない? ご飯ごちそうするよ!」
とサクラの声にかき消された。
え、どうしよう。
予想外の展開に少し驚いた。
他人と食べるご飯が苦手な繊細な部分と、食べるのが好きで食い意地が張ってる部分と、自分の中にある二極が対決した。
その勝者は。
「うん。お腹すいた。サクラは何食べたい?」
後者WIN。
ご飯をご馳走してくれる人に悪いやつはいない(います)。
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