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第四十六話 不安を売る商人
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時間:翌日 午後14時
場所:東大進学塾・東京本校
グレーの外壁に、外からは窓がほとんど見えない。廊下に窓はない。「景色を見ると集中力が下がるから」という理由だそうだ。
壁一面には、血のような赤で書かれた横断幕。『一時間多く起きれば、階級が変わる!』『死ぬほど勉強すれば、死なない!』
教室では、百人近い生徒が、狭い自習ブースに押し込められていた。講師は教壇に立ち、教鞭を振り回しながら吠える。「お前みたいな脳味噌、将来は歌舞伎町で働くしかねぇぞ!」
指された女子生徒は、真っ青な顔で震えながら立ち上がる。他の生徒たちは、一様にうつろな目でノートにペンを走らせている。そこにあるのは恐怖だけだ。
◇
理事長室。黒川 厳(くろかわ・げん)。肥満体に油ぎった顔の男が、満面の笑みで龍立にお茶を差し出す。
「澄原様。お坊ちゃんを入塾させたいと?」黒川はニヤつく。「ここは日本一の進学実績を誇る塾です。年間学費は五百万。さらに、“完全閉鎖的管理契約”にサインしていただきます」
「完全閉鎖?」龍立は平坦な声で聞き返す。「それは、体罰と人格否定も含まれますか?」
黒川は一瞬言葉に詰まり、すぐに手を振った。「それは“挫折教育”ですよ。この社会は、弱肉強食です。私は、親たちの代わりに、この“クズ”どもを“エリート”に仕立て上げている」
「もし、お金が払えない家庭なら?」
「そんなの簡単ですよ」黒川は、当たり前のように答える。「ローンを組めばいい。家を売ればいい。私が売っているのは、“授業”じゃない。“階級への入場券”なんですよ」
「――もういい」龍立は、ゆっくりと立ち上がった。「あなたは教育者じゃない。 “不安”を商品にして売りさばく、ただの商人だ」
「あなたが育てているのはエリートじゃない。心をねじ曲げられた怪物だ。子どもを家畜のように扱う、あなたの金儲けの仕組みは――今日で終わりだ」
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指された女子生徒は、真っ青な顔で震えながら立ち上がる。他の生徒たちは、一様にうつろな目でノートにペンを走らせている。そこにあるのは恐怖だけだ。
◇
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「澄原様。お坊ちゃんを入塾させたいと?」黒川はニヤつく。「ここは日本一の進学実績を誇る塾です。年間学費は五百万。さらに、“完全閉鎖的管理契約”にサインしていただきます」
「完全閉鎖?」龍立は平坦な声で聞き返す。「それは、体罰と人格否定も含まれますか?」
黒川は一瞬言葉に詰まり、すぐに手を振った。「それは“挫折教育”ですよ。この社会は、弱肉強食です。私は、親たちの代わりに、この“クズ”どもを“エリート”に仕立て上げている」
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