カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百二十八話 皮肉な土下座

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 時間:深夜 02:45

 場所:二階・兵頭極のオフィス

 兵頭はオフィスへ逃げ込み、防弾ドアを施錠する。震える手でスマホを取り出し、電話をかけた。

「親分! 助けてください! 澄原龍立が――! ずっと俺を守ってくれたじゃないですか! 金なら払います! いくらでも!」

 ――その瞬間。「ドン!!」

 防弾ドアが、龍立の一撃で吹き飛んだ。鍵が歪み、枠ごと倒れる。龍立と劉立が入る。殺気が室内を凍らせる。

 兵頭はリボルバーを構え、震えながら叫ぶ。「来るな! 九鬼組長がすぐ来る! お前ら死ぬぞ!」

 龍立は銃口を無視し、ソファに座った。脚を組む。「九鬼組? もう一度、電話してみろ」

 兵頭は混乱しながら再発信する。繋がった。だが聞こえたのは怒号ではなく、異様に卑屈で、媚びた声。

『兵頭くん……あの……澄原社長は、そちらに……?』

「い、います! 殺される! 親分助け――!」

『……電話を渡してくれ』

 龍立はスマホを受け取り、スピーカーにする。九鬼組長の声が、信じられないほど卑屈に響いた。

『澄原社長! 誠に申し訳ございません! 兵頭という犬が社長に噛みついたとは存じ上げず……! ご安心ください、九鬼組は一切関与しません! それどころか、あいつの命はご自由に! これは私からの詫びです! 改めて私が直接、謝罪に伺います……!』

「ツー、ツー」通話が切れた。

 兵頭は崩れ落ちた。彼が“絶対の盾”だと信じていた黒い後ろ盾が、龍立の資本と力の前で、瞬時に土下座し、彼を捨て駒として売った。

 ――これが現実。ヤクザは義理じゃない。利益だ。財閥の前で黒社会は、ただの番犬に過ぎない。

「聞こえたか?」龍立が立ち上がり、兵頭へ近づく。

 兵頭の銃が落ちた。床に転がる。彼は膝をつき、犬のように這って、龍立の靴に縋りつく。鼻水と涙で顔が崩れている。

「澄原社長! 命だけは! 金なら! 金ならある! 金庫に五億の現金! 全部差し出します! お願いします! 犬の命だと思って!」

 龍立は一蹴りで突き放した。金庫へ歩き、歪んだ鉄扉を片手で引き剥がす。中身は――現金ではなく、借用書、売買契約、奴隷契約、高利貸しの証文。

「……おまえの、これが金か?」龍立は紙束を掴み、兵頭の目の前で一枚ずつ裂いた。

「やめろォ!! それは俺の命だ!!」兵頭が奪おうとする。龍立は、破片を雪のように兵頭の顔へ撒いた。「今から――ただの紙だ」

 最後の審判。三上弁護士が、スーツ姿の精鋭弁護士団を引き連れて入ってきた。その背後には、東京地検特捜部の検事。三上は、裁判所の緊急命令を掲げ、宣言する。

「兵頭極。欺罔・脅迫で取得した監護権は、家庭裁判所により無効とされた。さらに、九鬼組長は保身のため、あなたの人身売買と薬物取引の証拠を、すべて警察に提供した。終わりです。残りの人生、刑務所で石鹸でも拾ってなさい」

 兵頭は死んだ犬のように引きずられていった。彼は龍立を見上げ、理解できない顔をした。なぜ黒も白も、この男に跪くのか。答えは一つ。龍立は“力”で、この街のルールを塗り替えた。
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