カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百六十一話 新実業の日の出と深藍の遠航(日本篇・大団円)

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時刻:一か月後

この一か月で、日本は天地をひっくり返すほどの再編を経験した。

高層の構造は激震した。だが底層の普通の人々は、恐慌どころか、前代未聞の歓喜に包まれていた。

協定締結から二週目。澄心グループ本社ビル、最上階の記者会見ホール。

澄心の最高行政中枢として、佐久間が今、日本中の数百メディアのレンズとマイクの“銃口”の前に立っている。濃色の特注スーツは隙がなく、髪は一糸乱れず撫で付けられ、その眼には権力を握る者の沈着と確信が宿っていた。

この瞬間、彼はもはや羽田空港で八・五時間立たされ、耗材として侮辱されていた底辺の社員ではない。

澄心グループの行政総長。日本商界を一言で震わせる巨頭だ。

「本日、私は澄原龍立社長、ならびに澄心グループ最高取締役会を代表し、全日本へ――産業構造を根底から変える決議を発表いたします。『新実業 労働憲章』です!」

佐久間の声はマイクを通じ、沈着で、鋭く、すべての放送回線に乗って全国へ浸透した。

「澄心グループは創立以来、『全員正社員』という一線を決して越えませんでした。龍立社長は常に言います――我々は搾取される派遣社員を一人も雇ったことがない、と。なぜなら我々は知っている。社員一人一人は実業の背骨であり、使い捨ての部品ではない。」

「そして今日、その澄心の一線を、日本の産業界全体へ押し広げます!」

佐久間はカメラを鋭く見据える。画面の向こうに隠れた旧派資本家へ、死命令を叩きつけるように。

「五大財閥の実質的最高持株主として、澄心グループはここに命じます。附庸財閥配下の非正規社員、派遣、外注――すべて、即時・無条件で正規雇用契約へ転換せよ!」

「基礎賃金は強制的に三十パーセント引き上げ。医療・育児・老後保障は澄心基準の最高水準に全面接続する。憲章の執行を妨害する管理職は、澄心内部監察委員会が即刻免職。絶対に容赦しない!」

その夜、東京には土砂降りの雨が落ちた。

だが無数の場所で、涙が出るほどの奇跡が起きていた。暗闇で喘ぎ、生活に押し潰されそうだった魂が、ついに自分の黎明を受け取る――そんな夜だ。

首都高速のパーキングエリア。

かつて運搬車で自殺を強要されかけた田中運転手は、澄心物流の正社員として守られ、最良の待遇を受けていた。温かなキャビンに座り、窓外の雨音を聞きながら、「全業界・正規化」のニュースを携帯で読む。高利貸しに追い詰められ、娘が風俗に落ちかけた地獄を思い出し、彼は娘へビデオ通話をかけた。

画面の中、娘は新しい私立高校の制服を着て、甘く笑っている。

田中は無精髭の頬を両手で覆い、雨の夜に声を上げて泣いた。それは底層の労働者すべてが得た解放への涙であり、龍立社長への最深の感謝そのものだった。

東京・六本木のオフィスビル。

かつて追い詰められ、データセンターへ爆弾を届ける寸前まで行った小野寺莉娜、そして“微笑みの機械”として扱われ、手首に傷の残る水原香織。二人は今、整った上級オフィスウェアで、澄心広報部の広い個室に座っていた。

熱いコーヒー二杯の湯気を挟み、落地窓の外で街を洗い流す豪雨を見ながら、涙が止まらない。

彼女たちは知っている。あの神のような男は、彼女たちを地獄から引き上げただけではない。地獄を生み出す機械そのものを、叩き潰したのだ。

F区の「澄心ホーム」。

カビた機房で一か月眠り、“幽霊”と罵られたプログラマの吉岡。保証人がなく部屋が借りられず、雨の中で泣いた天才画師の少女・美咲。群馬の農村から出て来て、土を耕し続けた人生が初めて尊重された田中のおじさん……。

彼らは明るく温かな内装済みの住居で、豊かな夕食を前にし、缶ビールを掲げ、テレビ画面の佐久間の姿へ遠く乾杯した。

澄原本家の枯山水庭園。

頭に包帯を巻いた大番頭が、ニュースの中で澄原家が日本唯一の「無冠の皇」となった姿を見つめる。家のため一生血を流し、命を懸けて諫言した老臣は、先代当主の位牌の前に跪き、嗚咽した。

「旦那様……ご覧ください……三少様は骨血を守っただけではございませぬ。日本そのものを、実業の足元に跪かせました……!」

澄原龍立は、重剣を握る暴君のように、この国を縛り続けた腐朽の歯車を冷血に斬り落とした。

同時に、悲憫の執剣人のように、絶対の資本と技術の力で、泥沼でもがく無数の普通の人々を、人間の側へ引き戻し、尊厳を与えた。

時刻:早朝 06:00

場所:東京湾・GIGA未来タワー最上階

クリーンルーム。

源田鉄男は、無傷どころか規模が三倍へ拡張された第三世代EUV露光機の原型に手を当てた。老人の眼に涙が光り、老繭だらけの手が微かに震える。乾いた唇が、祈りのように呟いた。

「社長……やり遂げられました……。日本のものづくりの剣は……もう何も恐れず、鞘を払えます……。」

そして、ビル最上階のヘリポート。

龍立、劉立、そして記者会見を終え夜を徹して戻った佐久間と三上弁護士。四人が並び立つ。狂風がコートを煽り、旗のように鳴らした。

彼らは眼下の、極致まで繁栄した東京を見下ろす。

重工場も、外洋の貨物船も、金融の命脈も――すべて澄心の意志に従い、整然と、高効率で回転している。

かつて彼らを絞め殺そうとした土地は、今や龍立にとって絶対安全で、揺るがぬ「帝国の大本営」と化していた。

昇り始めた朝日が厚い雲を裂き、万丈の金光が東京湾へ注がれる。海面はきらめき、希望の光を反射した。

新時代の黎明が来たのだ。

佐久間は眼鏡を押し上げ、遠い海を見つめて長く息を吐いた。勝者としての安堵の微笑が、ようやく口元に宿る。

「龍立社長。日本の棋局は、完全にあなたが制しました。五大財閥はあなたの附庸。内閣政客はあなたの同盟。この国で、あなたに勝てる敵はいません。」

三上弁護士は煙草に火を点け、深く吸い、白煙を吐いた。眼は荒々しく光る。

「ええ。法は今、我々の盾だ。澄心に手を出す奴がいるなら、牢の底まで沈めてやる。」

龍立の眼は、底知れず深かった。

彼は日本を見ていない。海の薄霧を突き抜け、太平洋の彼岸を見ている。そこにはウォール街の貪欲な資本の巨鰐がいる。シリコンバレーの傲慢な技術覇権がいる。もっと残酷で、もっと広い深海が待っている。

日本は――世界征服のための、最初の跳躍台に過ぎない。

「池は澄んだ。だが海は、まだ暗流だらけだ。」

龍立はゆっくりとネクタイを整え、昇る朝日を正面から受けた。黒い瞳の奥に、時代を跨ぎ、世界そのものを呑み込むほどの野心が燃え上がる。

「劉立。佐久間。三上。」

「藍鯨を――完全に浮上させろ。」

「次は――世界の卓を、ひっくり返しに行く。」

【全書・日本篇 完】

【下巻予告:深海の狩場(世界覇権篇)】

眠っていた海外の一兆ドル級の巨獣が牙を剥くとき。

澄心グループの降維技術が、欧米覇権へ正式に宣戦布告するとき。

本当の嵐は――いま、始まったばかりだ。
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